ハイエンドショウでいくつかDSDネイティブ再生対応DACが出てると言うことで見てきました。
DSDネイティブ再生が広がるのは良いんですが、「DSDネイティブ」と言うのは単にPCMに変換しないという程度の意味しかありません。つまり具体的なプロトコル(手順)の名称ではないので、実際には使われている方式が異なればそれに応じて対応するソフトや環境・使える音源も異なります。実際には様々な方式・システムが考えられるので、伝える時もそれが必要だと思います。今回はその辺を見て来ました。
*愛和のDSD対応システム
こちら愛和のホームページです。
http://ntw-aiwa.co.jp/
AX-U1Pの背面を見ると端子はUSBとHDMIが出ています。
今回新しいのはPCとUSBで接続するAX-U1Pという機器ですが、愛和はもともとUX-D1というHDMI経由でDSD入力のみ受けるDACを持っていました。このUX-D1 DACはもともと愛和のAX-WDというADコンバーターからHDMI経由でDSD信号を受けるシステムになっていたようです。つまりAX-WD ADCとUX-D1 DACが専用ペアのようにHDMIでつながれてデータはPCMではなくDSDで送られていたということですね。
http://ntw-aiwa.co.jp/axwd.html
ではなぜADC-DACというシステムを組んだかというと、ひとつはフォノイコからの入力対応ということで、この辺はAntelopeのRubiconでも似たようなAD-DAシステムを持ってるので、これは良いんですが、もう一つはAX-W3という消磁機とつなぐということらしくこれでシステムの、、、コホン。この辺は触れないでおきましょうか。
それはともかく、UX-D1 DACのDSD入力を生かして今度はPCからの再生に使えるようにしたのがこのAX-U1Pということのようです。端的にいうとAX-U1PはUX-D1 DACのUSBアダプターみたいなものですね。これはPlayback Designs MPSのUSB-Xみたいなものとも言えるでしょう。
AX-U1PはPCとUSB(mini)で接続してPCからはASIO経由でDSDネイティブ信号を受けて、HDMI経由でUX-D1に出力するDDCとかメディアコンバーターみたいなものです。ただPCからはアシンクロナスで転送を行って内蔵クロックで送出するなど凝った機構になっています。
PCにはFoobar2000で再生されていたので、おそらくASIO+SACDコンポーネントですね。(この辺は説明の方が不案内だったので推測)対応するのはDFFということになります。
DSFはAudioGateでDFFに変換してくださいとありましたが、HQ PlayerのASiO版を使えばMytekのところに書いたみたいにおそらくDSFでも直接再生ができるのではないかと思います。
こちらはブースにあった説明図
簡単にシステムを書くとこんな感じでしょう。
PC(foobar2k/ASIO/SACD)→ USB(ASIOによるネイティブ転送) → AX-U1P → HDMI(独自形式) → UX-D1 → RCAアナログ → アンプ
*スフォルツァートのDSD対応ネットワークプレーヤー
こちらスフォルツァートのホームページです。
http://www.sfz.co.jp/
以前スフォルツァートはトランスポートを出していましたが、これはアナログ出力がある今回新型のネットワークプレーヤーです。特徴はDSD音源の再生が可能という点です。表示を見るとDSDをデコードしていることがわかります。
ではどうやってDSDを再生しているかと言うと、NASにstefの例のWAVパック方式のDoPデータを入れて再生しているようです。WAVパック方式については前に書いたこちらの記事を参照ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/258376595.html
(注:上の記事を書いた時点ではDoPという言葉がありませんでしたので標準規格1.0と書いてますが、これは今でいうDoP 1.0のことです)
これ自体はDACなのでアナログで出力します。デジタルで出すわけではなく自己完結です。
内部ではきちんとDSDをデコードしてるんですが、なぜDFFとかDSFにしないかと言うと、スフォルツァートはストレージが基本NASなので、NASにDSD音源をいれた時にコントローラからDSDファイルが見えないからだそうです。この辺はネットワークプレーヤーの隠れた問題点なのかもしれませんね。
ただデコードしてるのはDoPなので、これにUSBをつけてPCと接続できるようにしても面白そうです。
その他少しハイエンドショウの他のトピックです。
ヘッドフォン祭の後でなんかほっとするゆったりしたショウでしたが、設立発表のあったばかりのゴールドムンドジャパンは注目度高かったですね。ぎっしり。ゴールドムンドとディナウディオの組み合わせのデモも新鮮。
ディナウディオではワイヤレススピーカーのXeoのデモを見て来ました。
白いDynaudio Xeo(シオ)5はフロアスタンドでだいたい2700ユーロ(27-8万円)とのこと。これは2.4G帯を使うロスレスワイヤレスで48/16までです(伝送方式名不明)。ただしトランスミッタ自体は96/24を受けることができます。Xeoにはデジタルアンプが内蔵されていますので、これだけで音が鳴ります。一台のトランスミッターで3セット別に音を出せるということで、設定がほぼ不要という点も手軽でよいとのこと。写真に写っているスピーカーケーブルは隣のFocus150のもので、Xeoはケーブルレスです。
アトールでもワイヤレス製品を披露していました。ワイヤレスもまじめに増えてきましたね。こちらはワイヤレスDACも用意されていますがデモしてたのはプリにワイヤレス受信ボードを追加するというものです。
これは伝送方式にKleerを使っていて、ノートPCからはUSBドングルで送信します。また面白いことにiPhone用のドックタイプの送信機も用意されています。
下記は「女性限定」というトライオードのセット。女性限定は特に理由はなく、しゃれだそうです。
あとは47研の8cmフルレンジ・コンパクトスピーカーが試聴もしましたが良かったですね。デスクトップによさそう。これも大村ユニットだそうです。
それと会場にはPS Audioのポール氏が来ていました(完実ブース)。お話ししたかったのですがちょっと機会を逸してしまいました。PS Audioの展開もちょっと気になるところです。
Music TO GO!
2012年05月19日
この記事へのトラックバック