DSDネイティブ再生の標準規格であるDSD Audio over PCM Framesが1.1に更新されました。
http://dsd-guide.com/usb-link-dsd-audio-pcm-frames-andreas-koch
少し経緯を振り返ると、DSD対応DACにDSDのデータを送る際にPCMにいったん変換せずにDSDを直接送るのがDSDネイティブ再生です。PC/Macからこのように直接DSDデータを送るためにはいくつか方法があります。DSDの転送そのものがUSBのような汎用IFでは規格化されていないので出てきたのがこのPCMデータに似せてDSDをエンコードするという方式です。この方式には以前はPlayback Designの方式とdCS方式がありました。これは別のものだったのですが、それが手打ちされてPlaybackとdCSの連名で今年のはじめに標準規格1.0としてリリースされました。うちの下記の記事です。(そのためこの標準規格もdCS方式と呼ぶのはやや語弊があるかなとは思います)
http://vaiopocket.seesaa.net/article/253189067.html
細かくは見ていませんが、今回1.0からの変更はまずDSD128(5.6M)対応です。(見てなかったんですが1.0のマイクロバージョン変更で途中で加わっていたかもしれません)
これにはSolution1とSolution2という2方式が提案されていて、Solution1では352kHz対応の機器を使うことで単に従来規格を倍速でサポートするというものです。Solution2は少しややこしくAES/EBUなどそもそも352kHzがサポートできない方式においてサンプルレートを上げないで実現するというものです。この場合はマーカーも06/F9になります。
また名称からUSBが取れています。前は名称にUSB Linkというのがついていましたね。上でもAES/EBUの例がありますが、USBに限らず用いられることを想定しているということですね。
この規格をなんて呼ぶか考えていて標準1.0と書いてたんですが、今回DoPと略しているのでDSD Over PCMととりあえず書いてこうかと思ってます。DSD Over PCM 標準規格1.1(DoP 1.1)ですね。
それとサポートメンバーにCEntranceが増えてます。これはヘッドフォン祭にも来てくれてるマイケルです。CEntranceはDACportなどでも知られていますが、実はUSBのファームウェアを提供する大手でBenchmark、Lavry、PS Audio、Belcanto、Empiricalなどに提供しています。つまりCEntranceが加入するということはここに書かれていない他のメーカーにも影響を与えるということです。Wavelengthのゴードンもすでに入っているのでUSBファームウェア提供の大手はこれでカバーされた感じですね。
また、お待たせしましたという感じですがMytek Digitalが正式に加わっていますね。Mytekではすでにこの方式が実装されているようです。このほかにはMSB Technology、CH-Precision、Light Harmonic、Vitus Audioなどが加わっています。だいぶ増えてきましたが、日本のメーカーがないのが残念ではあります。
この規格がたとえばIEEEとかUSB.orgに提案されるかはわかりませんが、デファクトスタンダードの業界標準となってきたのは間違いないでしょう。標準方式を採用するというのは作る側では開発コストも低減できますし、使う側では利便性があります。これはDSDネイティブ再生というものが広がっていく契機になると思いますし、PCオーディオの幅を広げるでしょう。日本のメーカーもぜひ検討してサポート表明してほしいものだと思います。
Music TO GO!
2012年04月08日
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