Music TO GO!

2004年07月01日

3分でわかるアイリッシュの魅力

アイリッシュの魅力を3分でわかるというのは無理なものですが「初めて聴いて、懐かしい」というナイトノイズのCDスリーブのコメントを借りてその手がかりにすることは出来ます。
なぜ初めて聴いて懐かしいのか?トラッドというのは伝統音楽の意味のはずなのに普通「トラッド」というとアイリッシュを指すくらい一般的なのはなぜか?
それにはアイルランドの歴史から話を始めねばなりません。

もともとアイルランドは貧しく移民を多く出した国でした。彼らが移民船で大西洋を渡り新天地のアメリカに渡り住み、主に東部のアパラチア山脈の付近に多く移住しました。ここで伝統のアイリッシュを根付かせたのが「マウンテン・ミュージック」という音楽です。
それがいつしかコーチワゴンで開拓者が西部に広がるようになりそれが「カントリー、ウエスタン・フォーク」と変化していきます。ウエスタンでバイオリンが多く使われるのはそのためです。そのあたりではいまでもバイオリンを「フィドル」とアイルランド風に呼ぶことも多いようです(厳密に言うと違う楽器という話ですが)。
それが西海岸にまでたどり着くとこんどは60年代となりジョーンバエズやPPMなどの「フォークソング」へと発展します。実際にアイリッシュ由来の音楽も多くアレンジされています。
やや後年ですがサイモンとガーファンクルの「スカボローフェア」は代表的な例と言えるでしょう。

これが今度は電波とレコードに乗って遥か太平洋を渡り、日本でそのままフォークが根付きますが、やがてその影響を受けた「ニューミュージック」へと変わっていきます。
この大御所たちは今の邦楽(J-Pop)の開花の礎となって行きます。こうしてみると、初めて聴いて懐かしい、その感覚がなんとなく判るような気がします。
もともと日本人が聴いて琴線に触れる音楽はロシア民謡とアイリッシュと言われますが、その理由の一端はこの長い音の道のりにあると言えるでしょう。
posted by ささき at 21:49 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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