以前の最新ワイヤレス事情で紹介したAudioEngine D2のレビューがAudioStream誌(Streophile系)に乗っていました。
Audioengine D2 Wireless 24-Bit DAC & USB-S/PDIF Converter
http://www.audiostream.com/content/audioengine-d1-wireless-24-bit-dac-usb-spdif-converter
AudioEngine D2のホームページはこちらです。
http://audioengineusa.com/Store/Audioengine-D2
普通のワイヤレスDACは48/16が最大ですが、このAudioEngine D2はワイヤレスでビットパーフェクトのハイレゾ96kHz/24bit伝送を可能にしています。
D2には受信機と送信機がペアになります。例としてはMacにUSBでD2送信機を接続して、離れたところのアンプにD2受信機を接続して使います。D2送信機は光・USBデジタル入力を受けることができます。D2受信機はDACですので、アナログ出力ができます。また光デジタルを出力できるので無線USB DDCとしても使用できます。
この注目の無線伝送技術ですが、他と同様に2.4GHz帯を使用します。
2.4GHz帯を2MHzごとに37分割してチャンネルを形成します。あるチャンネルが空いていたら、伝送がRFノイズなどで使えなくなるか時間の50%になるまではそのチャンネルをそのまま使用して残りの50%は別のチャンネルにスイッチします。
基本的にチャンネルを使い続けるという点でこの形式はKleerに似ています。ただし分割数が異なり、Kleerは5MHz幅のチャンネルで16分割します。また50%という規則は無いと思います。Kleerについてはこちらの私が前に書いた記事を読んでください。
KleerとBluetooth
http://vaiopocket.seesaa.net/article/109198956.html
上のリンクでも書いていますが、このチャンネル形式の良いところは無線LANと干渉しないと言うことです。D2形式とKleerは無線LANの存在をはじめから考慮していますが、Bluetoothはある意味無線LANを無視して干渉し、干渉されてしまいます。Bluetoothの問題点はよくSBCに代表される伝送CODEC(圧縮方式)の品質の悪さが上げられますが、もうひとつ隠れて問題なことはこの無線LANとの相性の悪さというところです。
ただこうしたKleerやD2の方式とは違って、古い分で広くサポートされているので専用の送信機が不要であると言うのはBluetoothの大きなメリットではあります。
D2の伝送CODEC自体は触れられていないのでわかりませんが、ビットパーフェクトを標榜しているのでKleerみたいにロスレスでしょうね。ボリュームの変更などは音声チャンネルではなく、システムと言われているコントロール用のチャンネルを使うようなので、ボリューム変更自体は音質に影響しません。(ここもKleerと同じ?) また3基までの受信機に送信できるようです。(ここはKleerの4基と微妙に異なる?)
Kleerと微妙に違う点もありますが類似点も多いので、もしかするとKleerの技術供与なのかもしれません。しかし50%でスイッチすると言うのは特許回避っぽいようにも思えますので、独自開発かもしれません。この辺はちょっとわからないですね。
送信距離は100feetが仕様上の上限のようですが、実際にこの書いた人が家の中でレシーバーを持って歩いて試してみたら60feet (約18m)まではオーケーではないかと言ってます。別な意味で感心しますがさすがアメリカ、家が広い。
こうした高品質ワイヤレスと言うと、結局のところワイヤレスって有線に比べて音質はどうなの、というところが焦点になると思います。これはフォーラムなんか読んでいても、違う・違わないで結構論議あるところです。下記のCAスレッドにもこの辺の話題が乗ってます。
http://www.computeraudiophile.com/content/sound-quality-not-reliability-wired-vs-wireless
このD2の場合は下記のようにDDCとしてデジタルで無線を経由のありなしで確認したけれども、音質の差は無視できるほどと書いていますね。
*Mac→D2送信機→D2受信機→光→D1 DAC→アンプ
*Mac→光→D1 DAC→アンプ
AudioEngineではパソコンと電気的に切り離せるというところでの利点も書いています。
なかなかこのHDワイヤレスの分野も面白くなってくるかもしれませんね。
Music TO GO!
2012年02月16日
この記事へのトラックバック