人気のハイエンドポータブルアンプのiQubeに新型のiQube v3が登場します。
iQube V3+QA-350+Sys concept
1/18から発売予定です。こちらタイムロードさんのリリースです。
http://www.timelord.co.jp/brand/products/qables-com/iqube/v3/?mode=consumer
http://www.timelord.co.jp/blog/news/release_iqube-v3/?mode=consumer
iQubeというといまやハイエンド・ポータブルアンプの代名詞的なものですが、その始まりはつつましやかなものでした。一番はじめにiQubeがアナウンスされたときはHead-Fiではなく、いまはなきiPod StudioというiPod関係のフォーラムだったんですが、そこでオランダ以外の海外枠を募集したところ、私を含めて全世界でわずか数人と言うものでした。しかし、日本で国内発売されると少しずつ人気を延ばしていき、いまでは大変高い人気と不動の地位を占めるまでになっているのはやはり基本性能の高さです。
今回はそれにデジタル入力がついたと言うことでまた応用例が広がりますのでその辺を中心に紹介していきます。
*iQube V3の特徴
iQubeが発売されたのは2007年のことで、その年は真空管使ったMillet Hybridなどポータブルアンプ世界の大きな進化が見られた年でした。
ここで少しおさらいをしたいと思います。
iQubeの売りは元フィリップスにいたD級アンプ(デジタルアンプ)設計の第一人者のBruno Putzeyが設計した本格的なデジタルアンプが採用されたポータブルアンプであると言うことです。出力インピーダンスが非常に低い(スピーカーで言うダンピングファクターが高い)という点が特徴でヘッドフォンをがっしりと制御する力に長けていると言えます。スピーカー用のデジタルアンプだとNuForceのIA-7なんかがコンパクトの割には非常に高いダンピングファクターを誇っていますね。またiQubeのデジタルアンプならではの歪みのなさはすっきりと端整な音に現れているでしょう。
v1とv2はバッテリーが交換できなくなったこととUSB DACがついたことがあげられますが、v2とv3は光とSPDIFのデジタル入力が可能となったことが大きな特徴です。
仕様はUSBが48kHz/16bitまで、SPDIF/光入力は192/24までとなります。SPDIFは4ピンのミニ端子の入力で、RCAメス->ミニ端子のケーブルが付属しています。光は角型入力端子です。(後述)
*実際の使用例
アナログシステム
- iPod
一番ベーシックな構成です。
デジタルアンプ回路自体は変化がないようですが、そのほかにもパーツなどが交換されているのか、以前から持っているiQube v1とこのv3を比較すると音質もより向上しているように思えます。特にヴォーカルなど中音域の明瞭感があがり、全体的にもよりバランスの取れた自然な音再現になっているようです。
- Walkman Z
Walkman Zからラインアウトを取るにはオヤイデのLODを使用しました。これは低価格の割りに音が良いと思います。再生アプリはPowerAmpを使用して音源はアップルロスレスを使用できます。これもなかなか相性の良い組み合わせと言うか、iQubeの持っている正確な音再現がより磨かれるように感じられます。
デジタルシステム
- PC
光経由でPCにつないで音を出してみましたが、かなり明瞭感・解像感の高い音でDACの性能はかなり良いように思います。
ただ比較するとUSBがちょっと弱いかもしれません。USBだと48kHzが最大と言うこともあるので、PC/USBとは光や同軸デジタルが取り出せるDDC経由でつなぐと良いかもしれません。
- QLS QA-350
これが今回のハイライトですが、光入力と言うことでひさびさにポータブルデジタルシステムのこったのを組み合わせてみました。
以前デジタルのポータブルシステムと言うとトランスポート側はiRiverのiHP140を使うのが定番でした。たとえばiHP140とiBasso D10などです。これはデジタルを出せるDAPが光出力の付いたiHP-140しかないという限定された選択肢だったんですが、いまではこのQA-350のようにちゃんと高精度クロックやジッター低減された高音質のトランスポートとして設計された機器をポータブルでも使用することができるようになりました。
QLS QA-350のページはこちらです。
http://qlshifi.com/en/wzcapi/qa350_mod_v2.htm
QA-350は人気も高いSDカード・トランスポートであるQA-550のポータブル版です。QA-550との違いはトランスポート部は同じで、それにバッテリーとDAC、ヘッドフォンアンプ部がついていて、これだけでHM801みたいに単体のDAPとして機能します。私が買ったのはQA-350 mod v2というタイプでパーツ交換などいくつか公式改造がされたものです。
これはヘッドフォンアンプ部にAD8397を使用しています。8397自体はオペアンプですがバッファが内蔵されているのでこれ一発でヘッドフォンアンプとして機能します。8397自体嫌いではないんですが、Xinとやりとりしてたような時期の古いものなので、いまとなってはアンプ周りはディスクリートで組んでほしいと言うのがあります。その分でQA350をバッテリー式のトランスポートとしてv3のようなDAC内蔵の高性能アンプと組み合わせるのが理想的といえます。
ただ価格を考えると単体DAPとしても悪くはありません。
Sysconceptの光ケーブル
QA-350は光デジタルアウト(丸)とSPDIFアウト(RCA)の2系統があります。光は角ではなく丸端子なので注意ください。光デジタルケーブルはSys-ConceptのiHP140とiBasso D10をつなぐためのものを流用しました。Sys-conceptのケーブルはこちらのリンクです。
http://www.sysconcept.ca/product_reviews_info.php?products_id=349&reviews_id=86
これは最小距離をとるために機種ごとにカスタムオーダーしています。ここで流用するためには適当にクリーニングクロスなどをスペーサーにして距離を調整しています。
SPDIFは短いケーブルがないので、オス・オスのRCAジョイントプラグ(別売)を使用しました。それにiQubeに付属しているRCAメス-4pin miniのケーブル(上の写真)を使ってiQubeとつなぎます。このiQube側の端子はアナログ・デジタル共用で自動判別します。インピーダンス整合がどうこういうデジタルケーブルでこれでいいのかという気もしますが、きちんとロックします。
これで最短な気がしますが、やはりコンパクトな光ケーブルに比べるとかさばります。音も光とSPDIFで比べてみたところさほど変わらないのでコンパクトな光のほうで使っています。自作できる人ならもっとコンパクトに結線できるのかもしれません。
このシステムの音は濃くて実体感と言うかしっかりとした質感があります。単に解像感が高いとかシャープと言うよりは、質感が高い・情報量というか密度が高い音という感じですね。
ふつうのアナログシステムにもどすと、あっさりと薄味というかなにか物足りなくなります。
問題点はQA-350がWAV専用であり、操作性はRockbox+iHP140より使いにくいと言う点です。
またポータブルでDACも使うとバッテリーをかなり消費するように思います。
かさばるのも難点ですが光ケーブルを使うと意外とバックへの収まりは良いのでこれは実用範囲内です。
−SOLO+iPod
SoloはDDCとしてSPDIFが出せるので同様なシステムを組むことができます。iPod/iPhoneを使えるのは良いんですが、ただしこれだとケーブルを含めてかさぱってしまうので実際には使用していません。
ひさびさにデジタル入力がついた本格的なポータブルアンプと言うことで、いろいろと面白いシステムが工夫できるのではないでしょうか?
Music TO GO!
2012年01月15日
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