Music TO GO!

2011年11月27日

All Will Prosper - Goldmund

Goldmundはオーディオメーカーとは関係なく、Keith Keniffの音楽ユニットです。彼は一般的にはエレクトロニカ系のアーティストとしてHeliosなどのユニットで知られてますが、Goldmundはアコースティックユニット名です。従来はピアノのみでしたが、今回はギターも加わってます。
今作は彼の長年のテーマだったと言う南北戦争の時代の音楽を取り上げたアルバムです。シンプルなメロディとアコースティック楽器のみの素朴なアルバムですが、特徴的なのは楽器の擦れる音やペダルを踏む音など、楽器自体の出す環境音をわざと積極的にいれて音を作ってる点です。Goldmundでは以前のアルバムでもそうした試みを取り入れてますが、エレクトロニカで電子的にノイズをいれる手法のアコースティック版とも言えるでしょう。ただシンプルでは終わらないというエレクトロニカアーティストらしい進取の試みと言えそうです。そのため録音法も独自の技術を駆使しているということです。そういう点でこのアルバムはヘッドフォンやイヤフォンの方が楽しめると思います。
こちらiTunesリンクで試聴ができます。
http://itunes.apple.com/jp/album/all-will-prosper/id474044338

南北戦争と言うのはアメリカが南部と北部に別れて戦った内戦で1861年-1865年にわたり戦われました。以前アメリカで南北戦争を扱ったドキュメンタリーTVシリーズがありましたが、そのサントラはこの当時の音楽を収集したものの代表としても知られています。All Wil Prosperには伝統曲ではありませんが、そのTVシリーズのテーマ曲も収められています(Ashokan Farewell)。私もアイリッシュとアメリカ伝統音楽に興味あってこのサントラを買いました。
このころの曲で日本で一般的なのはアメージンググレースくらいですが、他の曲もメロディを聴くとなんかどこかで聞いたことあると思うでしょう。その理由はアイリッシュの道程シリーズとして前に書いたことがあります。興味ある方は下記リンクをご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/260143.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/292064.html
http://vaiopocket.seesaa.net/article/31098795.html

しかし"all will prosper"(みなに栄えあれ)と言うのは皮肉なタイトルです。南北戦争は第二次世界大戦を経たいまでも米国人の戦死者数では上位を占めているほど血生臭い戦いでした。
南北戦争の後半、コールドハーバーの戦いでは南軍の堅牢な陣地に北軍が無謀な突撃をかけ、暴雨風の中を人がなぎ倒されるように死んで行ったと言われます。戦争ではなく虐殺だと後に評された戦いですが、ある後日談でも知られるようになりました。
コールドハーバーの戦いのあと、戦場に倒れていた北軍兵士のポケットから血にまみれた日記が見つかりました。その日記の最後のページにはこう記されていました。
June 3. Cold Harbor. I was killed
「6月3日、コールドハーバー。私は殺された。」

過去形で書かれたのはもう今日の日記は書けないことを覚悟してみずから日記を締めくくろうと前夜に書いたのでしょう。この戦いの前夜、兵士たちはみな日記や手紙を書いていたと言います。そうした背景をこの静かな曲を聴きながら想うのも良いかもしれません。
国内版にはピアノソロ曲のダウンロードリンクがついています。右はドキュメンタリー"The Civil War"のサントラです。

     
posted by ささき at 21:56 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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