Music TO GO!

2011年06月17日

Piano Trios (Kissine/Tchaikovsky) - ギドン・クレーメル

Piano Triosはピアノ三重奏曲集ということですが、このアルバムについてはジャズのピアノトリオという言葉をそのまま使いたくなります。まさにジャズのピアノトリオ・アルバムのようなプレーヤー間の緊張感のあるインタラクションというのを想起するからです。その「トリオ」はギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、ギードゥレ・ディルヴァナウスカイテ(チェロ)、カティア・ブニアティシヴィリ(ピアノ)の三人です。
チェロのディルヴァナウスカイテはクレーメル自ら率いるクレメラータ・バルティカのベテランメンバーということですが、このアルバムで注目は新鋭のカティア・ブニアティシヴィリというピアニストです。クレーメルとアルゲリッチの両巨匠に絶賛されたと言うことで注目されてきているピアニストということです。クレーメルは他のベテランアーティスト同様に若手登用に力を入れていますのでこのアルバムもその一環と言えるかもしれません。

特に素晴らしいのは二曲目のチャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出」でまさに圧巻で、三人がつむぎ出しぶつかりあう緊張感にあふれています。クレーメルのいつもの冷徹な鋭利さも切れてますが、ブニアティシヴィリのピアノはそれに負けないような存在感をみせています。またこれだけのものを引き出す録音もよいと思います。マイク配置などが巧みなのではないでしょうか。
室内楽なんてオーケストラの迫力がなくてつまらないとか、品があるけど退屈と思っている人にぜひ聴いて欲しいですね。

一曲めの「鏡」はクレーメル得意の現代音楽です。これは前に紹介した聴きやすいUnikoと違い、いわゆるゲンダイオンガクです。ただこれもプレーヤーのつむぐ音の存在感がそうした難解さを忘れさせるように音に集中させてくれます。
例えば無音からいきなりピアノを強打するとか伝統音楽ではあまりあり得ないので、フォルテシモのピアノの打鍵音の歪み感、消えゆく残響音のかすれ方、弦の微かな唸りなどオーディオのテスト曲として通用するような面白さもちょっとありますね。クレーメルは言わずもがな、ブニアティシヴィリの打鍵の正確さなど、プレーヤーの技量発揮のショウケースとしても機能している曲なのでしょう。

最近のクレーメルの録音で現代曲としてはアルバム"Silensio"収録のペルトのダブラ・ラサが素晴らしいものでした。これはクレーメル自身のオリジナル録音よりも良いと思います。ブニアティシヴィリなど若手も素晴らしいですが、クレーメルも録音のたびに凄みを増していると言うのも素晴らしいところです。
こうしたアーティストの技を楽しむのもまた室内楽の楽しみといえるのでしょうね。

posted by ささき at 01:08 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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