Macのミュージックプレーヤーソフトの台頭を横目でにらんでいたWindowsユーザーのみなさま、お待たせしました。Windows用の新しい高音質ミュージックプレーヤーソフトが出てきました。
しかしちょっとMacのプレーヤーソフト群とは違う(Windowsらしい?)マニアックなソフト、JPLAYです。
JPLAYとはJust Play the musicというような意味のようです。名は体を示すといいますが、この意味はおいおいと分かってきます。下記がJPLAYのホームページです。
http://jplay.eu/
Windows Vistaと7のみの対応です。
ダウンロードはPLAYのボタンを押すとダウンロードページに行きます。インストールは不要で単に解凍したさきのプログラム(jplay.exe)をクリックしてください。
有料ソフトで99ユーロです(無料お試し期間あり)。32ビット版と64ビット版があります。対応フォーマットはWAV、AIFF、FLACです。
まず画面をみていただくと早いんですが、GUIではありません。はい、コマンドで操作します。
設定変更はテキストファイルの編集です。下記は"BIKO"という曲をロードした時の表示です。64サンプルにバッファサイズを設定しましたが、不整合ということでバッファサイズを自動的に拡張している旨が表示されています。
曲は定期的に途切れるんですが、バッファサイズによるグリッチ(不具合)かと思ったんですがデモ版の制約のようです。
*基本的な使い方
0. JPLAYを立ち上げてください。
1. 普通にWindowsのエクスプローラ(デスクトップ画面)でWAVやFLACの入った音楽ライブラリのフォルダに移動して開けてください。
2. 一曲または複数の曲をマウスで選択して右クリックメニュー(またはctrl-cで)コピーしてください。
3. JPLAYのウインドウをアクティブ化(フォーカスをあてて)してスペースバーを押してください。
4. 曲がメモリーにロードされてから再生が開始されます。
再生中の操作
スペース - 次の曲にスキップ
p - ポーズ
r - 曲の先頭に戻る
m - 停止してメニューに戻る
メインメニュー (意味は設定の項を見てください)
h - ハイバネーションモード
b - バッファサイズ切り替え
c - システムクロック切り替え
e - 再生エンジン切り替え
i - インフォメーション
m - MMCSS切り替え
q - 終了
*JPLAYの特徴
1. ハイバネーション・モード (hibernation)
これが一番のJPALYの目玉機能です。
これをオンにするとPCを純粋なPCトラポとするために、OSの不要なプロセスをみな切ります。この時点で音楽再生以外に使えなくなります。cPlay+cMPみたいにできれば専用PCで使って欲しいソフトです。ハイバネーションをオンにして曲を再生するとハイバネーションに入り、曲が終わると通常状態に自動的に復帰する(はず)です。
しかしこれ、強烈です。オンにして再生すると画面が真っ暗になります。キーボードを受け付けません。怖いです(笑)
Fidelizerを上回り、ここまでやるソフトは見たことないですね。試すときは短い曲で、編集中のファイルなどなにもないときに使ってください。
2. そっくりメモリーにロード
選択した曲すべてを一度にメモリーに入れるので効率が良いとのこと。
3. ページメモリー管理
メモリー管理をきっちりやってCPUに負担をかけないということです。
4. システムクロック
5. プライオリティスケジューリング
この辺はFidelizerのようなMMCSSの優先度設定と管理をやっているのではないかと思います。
*設定
設定ファイルはjplay.settingsというインストールフォルダにあるファイルです。これをテキスト編集します。この辺はStealth Playerのiniファイルを編集する感じです。
こちらに詳しく記述されています。
http://jplay.eu/computer-audio/jplay-beginners-guide/
filecache[32 - 65536]
MB単位でメモリー(RAM)上にロードするファイルサイズを指定します。(当然自分のPCのメモリー以下)
最低でも一曲のサイズ分は必要ということで、CD品質の場合は最低128が望ましく、ハイレゾ音源のときは512が必要とのこと(デフォルトは256)。
主に音質というよりはギャップレス再生に重要とのこと。
buffersize [1-1024]
こちらは音質に関係あるということで、ちょっとやっかいです。単位はおそらくサンプルです。最小1サンプルということだと思います。小さいほど良いようで、これを決定するのはPCの性能とオーディオインターフェースのドライバーの性能です。これを調整して行くということのようですね。
clock [0-4]
0=0.5ms、1=15.6ms、2=10ms、3=5ms、4=1ms。OSのレイテンシーを調整するもので、OSのタスク切り替えのスイッチングを早くするということです。ゼロが良いはずです。
engine [0,1]
0=river, 1=beachの再生エンジンを選びます。基本的にキャッシュのアルゴリズムが違うだけだとのこと。
beachはライブっぽくより解像度が高く感じ、riverは穏やかで聴きやすい感じということのようです。ここは好みです。
interface [0,1]
0=WASAPI、1=KS(Kernel Streaming)です。
WASAPIはよりコンパチビリティが高く、KSはより低レベルでレイテンシーが低いだろうとのこと。
force24bits [0,1]
0がデフォルト(16bit)、1にすると常に24bitで送ります。DACで24bit転送が必要な場合にこれを選択します。(foobarのoutputダイアログの24bit選択と同じでしょう)
MMCS [enabled, disabled]
interfaceでWASAPIを選択したときにMultimedia class schedulerを利かせるかを選択します。
**
FAQに「なんでビットパーフェクトなのに音が違うの?」というのがあり、そこではデータがビットパーフェクトであってもタイミングはプレーヤーソフトによって異なる」という回答がなされていますが、そうした点もかなり低いレベルで実現されているソフトといえます。
とにかくハイバネーションモードにはちょっとびっくりしますね。それと設定項目も編集は気を付けた方が良いと思いますが、ベテラン向けのマニアックなソフトと言えます。
ライブラリ機能は割り切っているのも特徴です。
ちなみに他のミュージックプレーヤーのプレイリスト上でコピーしても曲選択が使えるということです。つまり曲管理は他のプレーヤーを使ってくださいということです。
それとJ River Media Centreとかmp3toysなどのライブラリ機能に重点が置かれたプレーヤーとはもっとうまく外部リンク機能を使ってリンクできるそうです。(FAQの項です)
JPLAY自体はStealth PlayerとかcPlayみたいに再生に特化したものなので、ライブラリやプレイリスト管理は他のソフトを組み合わせるということですね。
Macのソフトはわりと使いやすく手軽に高音質を楽しむのに対して、Windowsの方はHQ PlayerとかXXHighEnd、このJPALYとマニアックで一ひねり利いたちっょとベテラン向きのものが多々あると、なかなか切り分けも出ていて面白いのではないかと思います。
Music TO GO!
2011年06月02日
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