MP5には3本の真空管が使われています。2本は6N1でもう一本は6E2(Magic Eye)です。
6N1は前段の電圧増幅管でつまりはプリアンプの役割をしています。そこでまず6N1の交換を考えてみました。
6N1というのは中国・ロシアでの呼称のようで欧米では見当たりません。そこで聞いてみるとこの6N1の代替球というのはECC85だそうです。
とはいえECC85は82/83などと比べてマイナーらしく探してみてもあまり在庫がありません。秋葉原をいろいろ歩いて結局よさそうなシーメンスのECC85を見つけました。Tube Worldあたりの解説を見てECC85ではSiemensが最良のひとつと知恵を仕込んでおいたというのもあります。純正のオレンジの箱入りが一本3000円でしたので2本買い込みました。欧米もののミニ球では相場くらいだと思います。
あと代替球としてはGEのものもあり、こちらは一本1000円程度でした。
ちなみに始めから付いている球はShuguangという中国製です。これもレビューなどを見るとそれほど悪くは無いということです。
せっかくついている手袋を使って真空管の付け外しをしますが、この手袋はさすがに中国製という感じで使うたびにミシっと縫い目に亀裂が走ります(汗)。MP5はセルフバイアスなので交換後の調整作業は特にありません。
何年火が入っていないか分からない球なので、少し音を出さないでしばらく電源だけ付けて暖めてから音を出すことにしました。接続はメインシステム(IKEMI/Special25)につないだままです。
一時間ほどほっておいてからアンプのボリュームを少しずつ上げていくと、、なんとびっくり。「む、こっ、これは」と海原雄山が士郎にしてやられたときのような声を上げてしまいます。
いままでに比べると音がぱっと開けて上下左右に広がり、下もすっと伸びて明らかにいままでにない低い音が出ています。また量感も向上しました。特に高域はまさに「響く」という感じでまるでガラスのスピーカーコーンから出ているかのような透明できれいな音色です。特にSNが向上したという感じで背景もより黒く、音の輪郭もきりっとしました。
また驚いたのはスピードとか音の切れが非常に早くなったことで、これは以前は感じられませんでした。真空管は味というだけではなく、よく鮮度感があるといいますが実感できます。
とてもフレッシュで鮮度が高い感じの音です。半導体アンプだと47研究所の4706を思わせるスピード感と切れのよさですね。FAKiEのアコギの早弾きなんかは圧巻としかいいようがありません。
こんな低価格のアンプから真空管を替えるだけでこうしたSNの音が聴こえるというのは意外ですが、シンプルなゆえかもしれません。また前段だけと言ってもECC85の場合は名前のCCが示すように双三極管なので実質的に4本替えたと同じということかもしれません。
ジーメンスのNOS球が3000円が2本で6000円ですが、アンプ的には10万円高くなったような気がします。つまり12万9800円ということですか(笑)
ただ聴き込むと低音の制動はいまひとつとか、まだ音に荒さを感じるとかあります。またダイナミックレンジが苦しい感じもしますが、これはさすがにアンプの方の限界かもしれません。とりあえず次は整流管ですね。
どうでもいいけど、だんだんデスクトップに置くかわいいアンプというコンセプトと外れてきたような気が、、(爆)
Music TO GO!
2006年07月09日
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10万アップですか。携帯のヘッドホンアンプでピュアオーディオ並の音質を出しているのですから、デスクトップの据え置きとなると・・・きっとただでは済まないですね、やっぱり。(笑)
味皇様リアクションまで道は遠い...
でも、わざとこうした「手つづき」を楽しむというのがまた趣味の面白いところで、いまどきライカのような古いカメラが好まれているのもそこのところですね。
ただ古い球を使うときはやはりやさしくするにこしたことはないと思いますが、、
いろいろと使えますし、インテリア的にもよいですので楽しんでください。