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2011年03月22日

フェーズテックのヘッドフォンアンプ EPA-007

昨年USB DACのHD-7Aで話題となったフェーズテックがヘッドフォンアンプのEPA-007を発表しました。近日発売開始予定です。
定価は132,300円(税込み)で、フェーズテックのホームページはこちらです。
http://www.phase-tech.com/digital/productspage_EPA-007.html

EPA-007は昨年のヘッドフォンショウの時にプロトタイプが展示されましたし、発売前にはフジヤさんの店頭に謎の覆面アンプとして試聴機が置いてあったので発売前にすでに聴かれた方も多いかもしれません。
しかし、いままでにないスイッチ類があるので戸惑う人も多いのではないでしょうか。そこでまず特徴を整理していきます。

フェーズテックはUSB DACのほかにもハイエンドのスピーカー向けオーディオ機器を設計開発しています。そして今回ヘッドフォンアンプに取り組むに当たって、ヘッドフォンはスピーカーとは違うという点を踏まえた上で下記のいくつかのポイントにおいて興味深い提案をしています。

1. 鮮度感を生かした音質設計

これはヘッドフォンはスピーカーと比べると能率が高いので、ミニマムな回路で音の鮮度感・鮮明さのようなものを生かすということです。もともとフェーズテックの製品ポリシーとして可能な限りの鮮度重視ということがあり、HD7Aにもあえてバランスアウトをつけなかったそうです。

2. ヘッドフォンごとに最適調整が可能である

ヘッドフォン趣味のポイントは一人でいくつも色々なメーカーのヘッドフォンを所有するということで、たいていは一人ひとつしか持たないスピーカーの世界とはそこが違います。さらにインピーダンスが32Ωから600Ω位まで大きく異なり、4-8Ωのばらつきしかないスピーカーとはこの点も異なります。
それに対応するためのアンプの調整機能はいままではゲイン切り替え程度だったわけですが、EPA007ではダンピングコントロールとインピーダンス切り替えというふたつの新機軸が追加されました。これによってインピーダンスだけではなく、鳴りの違いも調整することが出来ます。
ダンピングはいわゆるダンピングファクターの調整をするということです。またインピーダンス切り替えではヘッドホンに流れる電流を検出してフィードバックをかけているということです。ハイインピーダンスのヘッドホンほど流れる電流が減るので検出抵抗を大きくして電流の感度を高くしているというわけです。
実際の使用については後述します。

3. ケーブルのグランドの分離が可能(アダプタ要)

もうひとつのスピーカーとの違いはヘッドフォンの接続が簡略化されたグランド共通の3極であるということです(L、R、G)。ヘッドフォンが高性能になってくると、これはチャンネルセパレーションの障害となってきました。それを是正するためにバランス対応ヘッドフォンという選択がありますが、バランス回路は価格的に高くなり、フェーズテック的には鮮度重視という観点から使いたくなかったということです。そこで2本のケーブルを使って、グランドを分離して2chから左右のセパレーションのよさを引き出すという機構をつけました。
これには専用のバランスヘッドフォン用のアダプタが左右別にあり、それをバランスヘッドフォンの端子に装着してからEPA-007の左右それぞれに入れて、ヘッドフォン端子中央のグランド分離スイッチを下に下げます。試聴機には下記のアコリバのアダプタをつけてもらいました。

これは4chではなくあくまで2chのアンプを使うのでいわゆるバランス駆動ではありません。擬似バランスというよりはケーブルの4極対応といったほうが良いように思えます。
これでデュアルモノ形式のセパレーションのありがたみもより引き出すことが出来るというわけです。


実際の使用と音質について

HD800とEdition10で聴いてみました。

まずHD800で聴いてみるとたしかにぱっと聴いてベールが一枚剥がれたように鮮明で、高い透明感・明瞭感があります。基本的な音調はニュートラルで強調感は少なく着色が少ないと感じます。楽器の鳴りも滑らかです。

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次にグランドの分離機能を試すために同じアコリバのシングルエンド(普通の)ケーブルとバランスケーブルを使ってHD800につけて聴き比べてみました。たしかにグランド分離にしたほうが空間の広がりが良く再現できます。元のシングルエンド(グランド共通)に戻すとややこじんまりとする感があります。
バランス駆動とは音がより濃く力感がでるようなことはないのが異なる点ですね。シングルエンドと同じ音の調子で広がり感だけ求めたいという時に良いと思います。

ダンピングコントロールはHD800だとあまり効かないんですが、edition10だと低域方向でかなり効きがわかります。ソフトにするとドーン、ハードにするとドンっていう感じです。量感とタイトさの好みを合わせられます。
またインピーダンス切り替えもHD800だとあまりかわりませんが、edition10だと大きく変わります。やはりlowにすると最適化されて良い音になるという感じがします。
いままでedition10に合うヘッドフォンアンプってなかなか見つからなかったのですが、これは良いかもしれません。グラドあたりにも良さそうです。

前にフジヤさんで試聴したときのコメントをロックに向いてると書きましたが、いまHD800ではじめにテストしてみたら清潔なクラシック向きにも聞こえたのでウソ書いちゃったかと一瞬あせりましたが、edition10でうまく調整するとたしかにあのときの音になります。低インピーダンスもハイインピーダンスもうまく最適化して、こうした二面性というかいろんなヘッドフォンにあう適合性を持っているようです。いままでのヘッドフォンアンプだと、あのヘッドフォンとは合うけどこっちとは合わないと言うような「相性の問題」と言っていたのをうまく調整して、ゼンハイザーでクラシック聴いて、ウルトラゾーンでロック聴いて、ということが一台で出来る気もします。ゲインだけでやってた調整の幅が広がったという感じですね。

鮮度感の高い音と、様々なヘッドフォンに合わせられる適合力、4極接続ができるなどなかなかユニークで、ヘッドフォン市場に参入することをよく考えられたヘッドフォンアンプといえると思います。
posted by ささき at 22:34 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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