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2011年03月19日

iPadから真のハイレゾ再生に成功

以前書いたiPadからの真の24bit出力対応ですが、FLAC Playerの開発者のDanさんに改造したバージョンを送ってもらい、上手く24ビット出力が出来ていることが確認出来ました。
成り行き上こちらのComputer Audiophileフォーラムにはじめに書きました。
http://www.computeraudiophile.com/content/iOS-2496-Output-Possible#comment-74782
iPadから真の24ビット、ハイレゾ出力が出来たのはおそらく世界初です。

まずはじめに、経緯を少し書きます。
今までもiOSデバイスで24bitの曲が再生できるということが伝えられてましたが、これらは実際は16bitで出力されてます。24bitではなく下位8ビットは切られます。
仮にiPadでカメラコネクションキットを介してHD-7AなどのUSB DACに出力しても、データの幅はDACのネイティブフォーマットに合わせるために24bitになりますが、中身は16ビットがつめられて(パディングされて)やはり下位8ビットはゼロで切られます。
これは一般に「iPhoneなどは"ハード的"に48/16の制限がある」と言われて来たことです。

しかしiPadのFLAC Playerを使用すると少なくとも96kなどハイサンプリングレートの曲は正しくロックされるのに気がついたので、FLAC Player作者のDanさんと連絡して24ビット出力の可能性についても話しはじめました。
それによりiOSでのハイレゾ出力は必ずしも不可能ではないように思えてきました。つまりこれは本当に「ハード」の制限なのかということをソフトウエア的な観点から理由を探って行ったという事です。
実のところ、iOSでのハイサンプリング・ハイレゾ再生の可能性に気づいていたのは我々だけではなく、Plug Playerの開発者も示唆していました。
下記フォーラムのしたのところです。
http://www.plugplayer.com/forum/viewtopic.php?f=6&t=258
"No, there is no restriction; "..."I can support 24bit and 88.2, 96, and 192Khz in the next release of PlugPlayer. "
「そのような制限はなく..次のバージョンでは24ビット、88.2や96をサポート可能だ」、と書いてますね。

ただし現在のiOSのCoreAudioがそのまますんなりと24ビット対応出来ないのも事実です。これは以前書きましたが、ソフトウエア的なボトルネックです。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/186767191.html

そこでDanさんにお願いしてFLAC playerのプログラム書き換えをしてもらいました。この改良版FLAC Playerを以降ベータ版のFLAC playerと称します。上記以外にも数点変更が必要のようです。
このベータを提供してもらいテストを行いました。これはジェイルブレークは不要ですが、インストールに特別な手順が必要です。

テストには真の24ビット出力を確認するために特別な機材が必要なのでフェーズテックさんに協力してもらいました。
テストではiPad(iOS4.3)にカメラコネクションキットを付けて、それをUSB DACのHD-7Aと接続します。そのHD-7Aの内部からI2S信号を取り出してそれをモニタリングします。
この辺の詳細はフェーズテックさんのブログに掲載されています。細かいところはこちらを参照ください。
http://www.phase-tech.com/digital/blog/item/55

結果がこちらです。端的にいうと期待通り真の24bit出力が達成出来ました。テストの曲はキースジャレットのケルンコンサートの96/24版ということです。

96-24.JPG
こちらはベータ版のFLAC Playerからの出力で、真の24ビット出力が出来ていることがわかります。

9624recent.JPG
こちらは標準のFLAC Playerによるもので、24ビット幅ですが、下位8ビットは実際はヌル(ゼロ)であることが分かります。

表の見方ですが、上の黄色の線がワードクロック、中の緑の波がビットクロック、下の紫の線がオーディオデータです。
横軸に直行して二本の点線が引かれていますが、この間が一つの24bitのサンプルデータです。点線間のビットクロックを数えると24個の波があるのが判ると思いますが、それぞれが一ビットに対応します。
結果を見ると上の画像では24ビット幅でオーディオ出力が確認出来ますが、下の画像では右の8bit分は消失しているのが分かります。これらのことからベータ版FLAC Playerでは24ビット対応が出来ているのが確認されました。つまりiPadからハイレゾで出力できるということです。
また再生中を通して96kにきちんとロックしています。再生ピッチシフトも起こしていないようです。このことから48kを越えるハイサンプリングにも対応できているのが分かります。
また肝心の再生音質も素晴らしいものです。単にiPadでハイレゾが再生できるという以上の可能性があります。世の中に数千万台も転がってるものが高音質のトランスポートになるということですね。
さらに性能に余裕のあるiPad2ではいかばかりでしょうか。

今は多少不自然な挙動があるのでDanに対応をお願いしているところです。このベータ版FLAC Playerが今後販売されるかなどはまだ分かりません。
またiPhoneではどうか、なども含めて何かあれば更新します。

*3/23
次回の正式版に入れ込む予定のようです。
http://www.computeraudiophile.com/content/iOS-2496-Output-Possible#comment-75119
posted by ささき at 17:26 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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