前にHE6の記事を書きましたが、実際に店頭で色々なヘッドフォンアンプと試してみたところ、けっこう高性能と思われるヘッドフォンアンプのハイゲインでもほぼ8-9割に振り切ってしまいます。たまたまあったCDをかけてこれでは録音レベルの低い良録音の曲では音量が取れないかもしれません。
HE6はある意味やり過ぎなところが良い点ではありますが、お勧めするのもちょっと困ったと思ってたらすごいヘッドフォンアンプが出てきました。このSchiitのLyrという新しいアンプです。
http://schiit.com/products/lyr/
HeadFiではこちらにスレッドがあります。
http://www.head-fi.org/forum/thread/530556/new-schiit-lyr-hybrid-6w-headphone-amp-yes-six-watts-rms
Lyrはヘッドフォンアンプの常識を破るような6W/ch(32Ω)という高出力を出すことができます。これは上の製品ページに書いていますが、HE6とかLCD2のような低能率の平面駆動タイプのために設計したとあります。これ、うっかりすると壊れるヘッドフォンもありそうですが、まさにHE6などにうってつけです。
もちろん平面駆動とか低能率のもの専用というわけではなく、正しい音量で使えば普通のヘッドフォンにも向いている機能もついています。Dynamically Adaptive Output Stageというもので、電流を監視していて低出力で済む時はA級増幅をして、高出力を必要とする時はAB級にスイッチするというものです。
Lyrは真空管とMOSFETのハイブリッドタイプで、真空管はECC88を使用しています。購入時はJJのがついてくるので悪くはないと思いますが、交換可能になってます。前段の管は交換するとけっこう差は大きいのでビンテージものと替えてみるのも良さそう。
真空管を採用しているのもノスタルジーではなく、一段のみで増幅を済ませるために最適ということで真空管を採用したとFAQに書いてます。
あとFAQを見ると分かりますが、メーカー名のSchiitはいわゆるfour letter words(卑猥語)のひとつ(iが一個ないもの)と同じ発音ということです。だからiを一個増やしたんでしょう。ちなみにいまは改修したのでどうか分かりませんが、以前はHead Fiはfour letter wordsの入力禁止になっていて、matsushitaとか日本語でそういう文字が含まれていると入力エラーになってしまい、ma-tsu-shi-taとか入れたことがありました。
他もFAQの項は「なんだって6Wものヘッドフォンアンプが必要なんだい?」という問いに「じゃあなんだって400馬力の車なんかが必要なんだい?」と切り返すとか、「真空管は交換できるからビンテージでも、クライオでも、妖精に作ってもらっても良いよ」とか、結構読んでて面白いです。ふざけたメーカー名だけど本気で作ってると書いてるのも面白いところですが、開発してる人たちはThetaなど他のメーカーにいたベテランということで、良いものを安くというのがコンセプトだそうです。
たしかに価格も$449と手頃です。Made in USAを強調してますが、たしかに最近アメリカは不況の影響も大きいのかアジア勢に比すると元気のない感じもします。例えば老舗のHeadroomは最近新製品が無いんですが、いま開発よりも営業に専念しているということです。久しぶりのアメリカ製の注目製品という意味でも楽しみです。
ただし発売は三月になります。次のヘッドフォン祭りではぜひこれとHE6でデモしたいものです。
Music TO GO!
2010年12月30日
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