Music TO GO!

2010年12月10日

Colorful Colorfly、もうひとつのハイエンドポータブルプレーヤー登場

Hifiman HM801のようなハイエンドポータブルプレーヤーがもうひとつ登場しました。Colorful Colorflyです。

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こちらがメーカーサイトです。
http://www.colorful-europe.de/europe/news-and-innovation/colorfly.html

これはCeBITに展示されていたものですが、いよいよ登場となります。Colorful自体はドイツの会社ですが、開発は別のところに委託しているようです。
製品名はもう少し細かくいうとColorfly Pocket HiFi C4 Proというようです。CeBITのときにはふたつのバージョンがあって、アンプ部分のチップやパーツなどで普及帯のperformanceと高性能版のHighendに分かれていたようですが、C4という名称からしていまはhighendだけ出ているように思います。
なにしろ情報が限られているので、詳細不明のところも多々あります。CeBITのときのリンクはこちらです。
http://us.aving.net/news/view.php?mn_name=exhi&articleId=148725


1. Colorflyの機能概要

Colorflyは基本的にはHM801のようなプレーヤー、DAC、ヘッドフォンアンプ一体型の高性能DAPです。対応オーディオフォーマットはWAV、FLAC、MP3、APE(可逆のMonkey's Audioフォーマット)となります。判然としないのですが、FLACでは192kはサポートできないようです。WAVなら192/24までサポートします。なるべくWAVを使うように書いています。(ただし現状176/192のWAVも問題あるように思えます)
本稿はファームウエアバージョン1.00.01.04に基づいています。

デザインの特徴は真鍮風のフロントパネルとローズウッドの木のケースです。これはかなり個性的ですが、作りはかなりよく、アナログメーター風のレベルインジケーターとあわせて全体にレトロ・フューチャリスティックというかスチームパンク的ないい味を出しています。
画面は写真ではアナログメーターに見えますが、実際は大きなドットマトリクスディスプレイで、カラー表示ができます。メニューも日本語で表示されますし、ファイル名も日本語で表示されます。ただ日本語は誤訳が少し目立ちます。

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操作キーは中央の赤いボタンが電源オン、再生、選択などのボタンです。基本操作は赤ボタンで電源を入れ、カーソルボタンでフォルダ階層を移動して、赤ボタンで選択して再生します。再度押すとポーズです。左右の矢印はカーソルとともにスキップ/早送り、巻き戻しもできます。上下のカーソルはナビゲーション用で、colorflyは基本的にはタグではなくフォルダ階層でナビゲーションをします。右下は階層戻りのバックキーです。バックキーは短押しです。左上の「M」キーはメニューで長押しでオプション選択画面となります。

画面遷移は「フォルダ移動画面」<->「再生画面」<->「オプション画面」です。フォルダ画面と再生画面をカーソルキーと選択キーで進み、バックキーで戻るという感じです。「オプション画面」はMキーで起動して、バックキーで再生画面に戻ります。全体に反応はやや遅めですのでゆっくり確実に押すのがよいです。

Mキーを長押しするとオプションが出てきます。ここではリピートモードや表示設定などが選べます。またオーディオセッティングではサンプルレート変換設定、デジタルフィルター設定、位相の反転選択、SPDIF出力のオンオフが選べます。かなり本格派です。またリピートは一曲・全曲ありますが、シャッフル(ランダム再生)はできないようです。
Colorflyでは単体でアップサンプリングをすることができます。サンプルレート変換設定では、なし、88.2、176.4、96、192がえらべます。デジタルフィルターではFast AttenuationとSlow Attenuationの二通りが選べます。けっこう違うので好みであわせてみると良いと思います。
また、SPDIF出力設定とアップサンプリングの組み合わせで、SPDIF端子のINとOUTを同時に使ってデジタルでcolorflyに入力してアップサンプルしてデジタルでSPDIFから出すと言うデジタルのアップサンプラーとしても働きます。

左下のトグルスイッチは上がイコライザーの設定用(ただしNormalが推奨されています)、下がSRC(サンプルレートコンバーター)の設定切り替え用です。右のスライダーはボリュームです。ボリュームスライダーはデザイン的にも良いですが、実際かなり使いやすいです。
音量が取れるのはHD800では80-90%程度、IEMだと20-30%程度の位置になります。


電池の持ちは正確に測っていませんが、減り方から推測すると10時間前後程度というところのように思います。Aクラスアンプなのか、連続使用しているとほんのり暖かくなります。
プレーヤーの裏面にはエンブレムがはいっています。これがcolofulかcolorflyのマークのようです。箱にも同じエンブレムがあって、デザインとあいまって全体にクラシカルな印象もかもしだしています。

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大きさのHM801との比較をあげておきます。ほぼ同じくらいですね。

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仕様書は英語とドイツ語で書かれたきちんとした説明書がついてきます。

2. 入出力インターフェース

プレーヤーの底面のみにI/Oが集中して配置されています。二個あるRCA端子はアナログではなくデジタルSPDIFの入力と出力です。ミニではありませんのでかなり本格派です。ただプラグがもう少し突出していないとはめ込みにくいと言う点はあります。

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ヘッドフォン出力は標準プラグとミニプラグの両方ついていて同時に使用できます。ヘッドフォンはさきに書いたようにHD800くらいまで対応できます。スペック的には標準プラグでは300オームまでと書いています。またミニプラグでは125オームまでと書いているのでなにか変えているのかもしれません。

USBは充電と内蔵メモリへのデータ転送用です。残念ながらUSB DACはありません(SPDIF経由でUSB DDCを使えるかもしれません)。
32GBの内部メモリーがあります。外部記憶はMicroSDカード(TFカード)です。
充電はPCからUSB接続でも可能ですが、チャージャーもついてきます。これは私がうけとったものでは日本仕様ではありません。


3. 強力なDAC部分

先に書いたようにColorflyはHM801のようにプレーヤー、DAC、ヘッドフォンアンプ一体型と考えられますが、Colorflyの特筆点はそのDAC部分が非常に高性能なことです。あとで書きますが単体DACなみの音質です。
まずクロックが1ppm TXCOと高精度のものを使用しています。そして下記のページでブロック図を見てもらうと分かりますが、点線部分でJitter Killというジッター除去機構を持っています。
http://www.head-fi.org/forum/thread/509646/a-new-high-end-player-colorfly/180#post_7102510
おそらくこれはCS8422でDAC1のようなASRCを行ってジッターを低減させているのではないかと思います。
DA変換はCS4398でシーラスロジックのトップクラス高性能DAチップです。50万円クラスのCDプレーヤーなどでも使われています。これでなんとColorflyは192/24まで対応します。つまりはこんなポータブル機にReference RecordsのHRxが入れられる、ということですね。(ただし実際にやると現在うまく再生できないようです)
またさきに書いたように、44/16のCDリッピングのデータでもアップサンプリング(SRC)が可能です。これもかなり効果的です。基本的にわたしはSRCを常に入れたままで44->88にして使っています。またアップサンプリングのときはビット幅の拡張もして16->24も行うようです。

ヘッドフォンアンプはHM801のようなディスクリートのこったものではなく、オペアンプのようですが、CeBITのときはこのグレードがあって普及版は後段にT51のようにヘッドフォンアンプ用のチップを使っていたようです。いまの版はより高性能なC4という独自開発のチップを左右独立で後段に使っています。これはT51の比ではなく、アンプ部分もかなり高性能なものに思います。(当然モジュール式ではありません)

このようにColorflyはHM801とも似たようでいて、けっこう違いがあります。

4 Colorflyの音質

箱から出しただけで恐ろしく良い音です。レベル的にはぱっと聴きHM801と同等以上です。実際edition8で聴くとちょっとポータブルプレーヤーから聴いているとは思えないですね。
かなりクリアで透明感が驚くほど高く、空間に深みがあります。音再現はかなり研ぎ澄まされて贅肉がなく、ウッドベースのピチカートなんかの歯切れのよさは並ではありません。音のエッジがきりっと立つので楽器の音も解像感が高くシャープに感じられます。かなり細かい音まできれいに解像して明瞭に聴こえます。アーチストの息遣いまではっきりと聴こえます。帯域のバランスも良いと思います。
ポータブルというより、DAC1とかm902と比べたくなるくらいのレベルにも思えます。DAC部分は相当に高性能だと思います。

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こうした音傾向なので、買ったばかりはヘッドフォンによってはきつめになることもあると思うので多少バーンインは必要です。
アップサンプリングとデジタルフィルターが設定を変えると相応に効くのも良い点です。わたしは44/16のリッピングデータを常に88/24にアップサンプリングして聴いています。ヘッドフォンと組み合わせて、相性がいまひとつと思ったらデジタルフィルターを変えて見るのも良い手です。

高能率のIEMでもほとんど背景雑音は聞こえないレベルで、ノイズフロアはかなり低いです。ハムとか妙なうなりもないですね。静粛性が良く、全体のSNも高いと思います。
また、かなりアンプの部分もよいように思います。HiFi調だからといって、いわゆるモニター的な無機的な音ではまったくありません。edition8と組み合わせるとダイナミックで躍動感がある音楽が楽しめます。ハイスピードの音なのでリズムの刻みも気持ちよく、インパクトがあります。歯切れ良く迫力あるサウンドでロックやポップも聴かせますね。edition8とあわせたときの低域再現も質量ともにすばらしいものです。

ただ期待の176/192再生がうまくできないようです。HRxのBritten's OchestraとかPCオーディオfan2のタッドの曲を入れてみましたが再生エラーとなります。
44を192にアップサンプリングするのは大丈夫です。ファイルのデコードに問題があるように思えますが、HM801の初期にあったファイルによってFLACが再生できない問題に似ているようにも思います。ファームアップで対応できると良いんですが。

はっきり言ってColorflyは相当すごいです、これちょっと驚きました。買って損はないでしょう。edition8とColorflyで聴いているとちょっとポータブルとは思えないですね。部屋でしばらくcolorflyとedition8で聴いていてボリュームを変えようとしてうっかりheadroomのほうに手を伸ばしてしまいました(ホント)。
Hifiman HM801と比べると、HM801はPCM1704という多少古いが音質に定評あるDACを軸にして高性能ながら古きよきウォーム感のあるオーディオファイルが好みそうな音をしているのにたいして、Colorflyは現代的な低ジッターの研ぎ澄まされた音を基調にしてSNが良く、HiFiを感じさせる精細で透明感の高い音を主張しています。

わたしはJabenから入手しました。
http://jaben.net/forums/index.php?topic=17647.0
ただ日本でも取り扱えるようになるのではないかと思います。またなにかわかったら書きますが、これはちょっと期待ですね。
posted by ささき at 00:21 | TrackBack(0) | __→ Colorfly C4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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