オーディオではCD時代からデジタル処理が取り入れられ、そこからずっとデジタルドメインとアナログドメインの二つの世界が混在して来たわけです。それぞれにデジタルドメインの問題とかアナログドメインの問題を抱えています。
しかし、このコンピューターオーディオの時代ではそれに加えてビットパーフェクトや演算誤差などソフトウェア的な要因で音が変わります。これはデジタルドメインとも切り離して考えるべきだと思いますが、そうした要素は「ソフトウエアドメイン」と呼ぶべきではないかと思います。
演算誤差などは本来は従来のDACでもファームウエアレベルであったわけですが、コンピューターオーディオ時代でははるかに複雑になっています。
たとえば人類がいままで作ったもので一番複雑なものはスペースシャトルだそうです。シャトルは約250万点もの部品から構成されています。一方でWindows OSは5000万行以上とも言われるプログラムから構成されています。これは5000万点の部品があるのと同じことです。シャトルと比べてもパソコンのOSというのはかくも複雑であり、さらにその上で走るソフトウエアもフレームワークやライブラリなどを考えれば数万から数十万行くらいの部品点数はざらにあるわけです。そしてこれらが資源を共有しながら同時にいくつも実行され、データが行ったり来たりします。
それがソフトウエアドメインの世界です。
実際こうした概念を導入することで、コンピューターを使ったオーディオが独自に抱える問題というのがわかりやすくなると思います。コンピューターオーディオというのはもはや単にCDプレーヤーの延長ではないし、反面でこうした複雑さがまた高度な柔軟さを可能にしているといえます。
Music TO GO!
2010年11月28日
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