Music TO GO!

2010年11月24日

iOS4.2リリースとUSBオーディオの進歩

難産でしたがやっとiOS4.2がリリースされました。当初はもっと早い予定だったんですが、本来は本番前の再確認程度のGM(Golden Master)リリースにWiFiだったかバグが見つかり、再度GMリリースしたんですが、今度はVoIP(スカイプなどで使う)で結構深刻なバグが見つかったため、結局4.2.0はスキップされて、いきなり4.2.1からのリリースとなりました。4.2は初のiPhoneとiPadの統合版となりますので色々と問題も多かったようです。
iOS4.2ではこれまでiOS3.0ベースだったiPadの4.0相当のマルチタスクやアプリフォルダー対応などがメインです。実際にiPhone4ではFLAC Playerで音楽を聴きながらSafariでウエブを閲覧したりできたんですが、iPadではSafariを立ち上げたとたんに再生が中断されてしまいました。iOS4.2を適用するとiPadでもFLAC Playerを再生しながらSafariを立ち上げたりできます。

また、このほかにも色々な新機能があります。
中でもオーディオ的に注目はAirPlayですが、これについては主にAppleTVや対応機器がないと使えないのでうちでは省きますが、こちらのPhilewebさんの記事によくまとまっていると思います。
http://www.phileweb.com/review/article/201011/23/210.html
うちのブログ的にはAirPlay対応のワイヤレスイヤフォンやポータブルヘッドフォンとかがあると面白いかと思いますね。ただデノンなどのアップグレードポリシーを見るとライセンス費用がかかりそうなので、小型化というよりちょっとその辺でむずかしいのかも。

もっとうちのブログ的には以前から書いているところのUSB DAC対応の強化があります。やっときましたと言う感じですね。
さっそくWavelengthのProtonにカメラコネクションキットを使って接続してみました。iPadにカメラコネクションキットのUSB端子の方を接続して、そこからUSBケーブルでDACに接続します。

IMG_2755a.jpg

いままではiPadが接続を拒否するようにスピーカーから音が流れてしまいました。
しかしこの4.2.1ではそうしたこともなく、きちんとDAC側でロックして音が出てきます。
しかも、iPodアプリだけでなくFLAC PlayerでためしにBand on the runの96/24を再生してみると、なんと再生できるだけでなくちゃんと96kでロックします! LINNのダウンロードでもOKでした。
ビット幅はわかりませんが、サンプルレートではハイサンプリングになっているようにみえます。FLAC Playerのアプリの説明のところでは96/24は再生できるけど48/16になると書いていますので、この辺はもうちょっと試してみないといけませんが、ちょっと興味深いところです。あるいはiOSのCoreAudioで思ったより手直しがあったのかもしれません。(iOSとMacOSXは共通部分もまた多くあります)
ちなみに今回の改良についてはWavelengthのゴードンさんのアップルへの働きかけがあったように思われます。もちろんこれでiPadでAsync対応のUSB DACが使えると言うことがわかりました。

この4.2.1で改良された点をわたしが色々試した結果からもう少し詳しく考察するとこうなるのではないかと思います。
USB DAC(デバイス)をPCとかiPad(ホスト)に接続すると、デバイスの対応するサンプルレートとビット幅の情報リストがホストに渡されます。このときにデバイスによっては24ビットしかサポートしてないものとか、16ビットだけ、あるいは16ビットも24bitもサポートされているものとか様々です。
Protonは24ビットのみサポートしているタイプですが、このタイプは16ビットは24ビットに詰めて(パディング)転送することをホストに要求します。始めProtonがiPadで接続できないのは、このパディング処理ができないからだろうと踏んでいました。
しかし、いろいろとiPadとUSB DACを試しているうちに16ビットをサポートしているものでもiPadで認識できないものがある、ということがわかってきました。この時点でちょっと悩んでしまったんですが、どうやら16ビットしかサポートしないのではなく、24ビット「も」サポートしているとダメなのではないかということがわかってきました。あるいは48を超えるサンプルレートのサポートがあるとダメで接続を拒否するようです。
今回の4.2.1での解決はこの対応を緩和させたということのように思います。つまり48/16対応のものだけではなく、より多くのUSB DACで対応できるようになったということです。
Wavelengthのゴードンさんが4.2ベータで試したところの話ではProtonには16ビットでしか来ていないということなので、あくまでiOSでは現在のところ48/16が取り扱える上限かもしれません。しかしそうすると上のFLAC PLayerの96kで再生できている点とは異なるのですが、ここはちょっと調べてみたくなります。なかなかにまた悩ませてくれますね。
また、バスパワーの問題は解決されてないのでDACportなどでは電力不足とのメッセージが出ます。ここはまた別の問題です。

ちなみにiPhoneではiOS4.2にしても使えません。試してみましたが、そもそもカメラコネクションキットを認識できません。これはiPadアクセサリだからでしょうね。

いずれにせよちょっとした進歩ですね。iPadで対応できるUSBオーディオ機器が広がれば、数百万台と言うiPadの販売台数を考えるとすごいインフラの市場がこのアップデートでポンと出現したことになります。USBオーディオのAsync対応まで可能です。
このアップデートはiPadにとっては小さなアップデートだが、USBオーディオにとっては偉大な飛躍だ、という感じでしょうか。
posted by ささき at 23:33 | TrackBack(0) | __→ iPod, iPhone, iPad | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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