Music TO GO!

2010年11月14日

映画サイレントランニングとジョーンバエズ

実は私は結構映画アヴァターが好きなんですが、先日また特別編をiMAXシアターで見に行きました。そうしたらちょっとなにか思い出すものがありました。そしてあとで追加映像が含まれる新バージョンDVDがまた発売され、その冒頭が荒廃した地球から始まるものに変わる、というニュースを見て思い出したのは映画「サイレントランニング」です。
サイレントランニングは1972年に製作されたもので、SF映画としては古典的な作品です。「2001年宇宙の旅」が1968年、「スターウォーズ」が1976年なのでその中間ほどの作品です。2001年宇宙の旅などのSFX監督で知られるダグラストランブルが監督として撮影したものです。しかし収益が思わしくなかったため、あまり知られてはいませんが、その質の高さから一種伝説的な映画と言われているものです。

これは音楽と映画という関係でも面白いものがあるので、今回取り上げて見ます。
ネタばれになりますが、もうDVDも絶版でまずほとんど見ることはないと思いますのでYoutubeでアップされているシーンを含めてストーリーを追って紹介してみます。

SFX監督の映画というと派手なものを思い浮かべるかもしれませんが、冒頭は下記のような花々をアップにした背景に優しい音楽がかぶさる美しいものです。この音楽はテーマ曲のインストバージョンです。



次のカットもなかなか良いのですが、主人公がキッチンで果物を洗っているところをカメラがパンしていくと、この映画の舞台が現れます。実はさきの緑の木々はこのドームの中だったわけです。
そしてかぶさるように大統領のナレーションが設定を解説します。

「大いなる世紀の初頭に当たり、
われわれは惜別の情とともにこの最後の緑に別れを告げる。
いつの日にか地球に緑が戻ることを願う。
神よ、その日までこの緑の庭を守りたまえ。森の守護者たちに祝福あれ。」




実はこの映画は冒頭部を除いて全編を通じてほとんど主人公の植物学者であるフリーマン・ローウエル(ブルースダーン)と3体のロボットしか出てきません。これは低予算で作られたからということもあるかもしれませんが、少し性格のきつめな主人公の一人芝居と、子供のように純真無垢なロボットの演技がとても良い対比をなしています。 (ロボットは当時なので小さな俳優が入っています)

ここで"Rejoice in the Sun"というジョーンバエズが歌うテーマ曲がかぶさります。
ジョーンバエズは60年代を代表するフォーク歌手ですが、プロテストソングの歌手としてよく知られています。「ドナドナ」もそれまでは民謡にすぎなかったんですが、ジョーンバエズがベトナム戦争で兵士が従軍するさまにかけて歌い流行させたものです。
この未来SFというテーマと素朴なフォークソングの取り合わせが絶妙な演出です。



しかし細々とドームで保護されていた最後の緑の木々にも政治的に廃棄の命令が下されます。ローウエルはそれに逆らい、一隻の船で逃走します。

おなじく"Silent running"というジョーンバエズの歌がこの孤独な逃走を象徴しています。
このように映画では当時の音楽とうまく融合が図られています。
ちなみにこの二曲は探したんですがジョーンバエズのCDにはないようなので、もうこの映画の中でしか聴くことができないと思います。


最後には結局地球からの捜索船に見つかってしまいます。あきらめたローウエルは最後の緑のドームにロボットを一体いれ、ドームを船から切り離します。そして「子供のころビンに手紙を詰めて流したけど、あれはだれかに見つかったのだろうか」とつぶやき自らは船とともに自爆します。

ラストシーン、ドームにひとり残ったロボットはじょうろで木々に水をかけ、いつまでも世話を続けます。ラピュタもこれに影響されていると思いますが、印象的なラストです。

そして最後にまた"Rejoice in the Sun"がリピートされます。

「太陽の下で
子供たちをそばに引き寄せなさい
そして愛するものはみな死にゆく運命にあると教えなさい
なぜそうなのかも

そしてまだ遅くはないと教えなさい
だから少しずつ少しずつ種を植えていきましょう
太陽の下で収穫を喜ぶために」



posted by ささき at 21:34 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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