いままでオーディオファイル向けのプレーヤーソフトを紹介してきましたが、今回はオーディオファイル向けのOSです。
Voyage MPDはいわばLinuxのオーディオファイル向けディストリビューションというところでしょうか、VoyageというLinuxの組み込み型の軽量コアをベースにして、Linuxでは定番のミュージックサーバーソフトウエアであるMPDをあらかじめインストールしていて、USBオーディオクラス2に対応したALSAドライバーまではじめから入っています。また、リアルタイムカーネルが採用されています。LinuxとしてはDebian系です。
http://linux.voyage.hk/voyage-mpd
いままでオーディオ用のLinuxディストリビューションというとUbuntuベースでリアルタイムカーネルを使用したUbuntsu Studioなんがよく使われていましたが、Ubuntsu StudioはそもそもDTM向けのものです。Voyage MPDはオーディオ再生専用のディストリビューションに仕上がっています。余分なものがなく、軽量なのでATOMマシンでも動くとされています。ある意味究極的なかたちですね。
このディストリビューションが画期的なのはMPDがはじめから入っているということです。
MPDは前にAuralitiのところで解説しましたが、クライアント・サーバーモデルのミュージックサーバーを作るためのソフトウエアです。つまり、これがあればAuralityのようなネットワーク音楽サーバーがその辺の中古PCを使ってVoyage MPDをインストールすることで作れそうですす。
MPDはMusic Palyer Daemonのことです。CoreAudioのところでも書きましたが、Daemon(デーモン)はWindowsでいえばサービスのようなものです。DLNAでいうところの音楽のレンダラーとしての機能でしょうか。楽曲ライブラリはネット上でもかまいませんが、DLNAのように外部ストレージがライブラリサービスのような機能を持つのではなく、NFSでマウントしてMPDのライブラリルート(/var/lib/mpd/music)にシンボリックリンクを張るということになります(上のページに書いてあります)。
MPDシステムはクライアント・サーバーモデルなので、コントローラーとしては外部にMPDクライアントというアプリケーションが必要です。これもネット上に置けます。UbuntuやWindowsはもちろん、iPhoneなんかでもMPodというMPDクライアントがあります。上の画面で椎名林檎のリストが出ているやつです。このようにDLNAのように見えるネットワークオーディオですが、MPDはMPDのプロトコルがあるのでDLNA(uPnP)ではなくMPD専用のものが必要です。MPDの設定ファイルは/etc/mpd.confです。
またUSBオーディオクラス2に対応したALSAドライバーまで組で入っているので、最新のコンピューターオーディオにも対応できます。
Linuxのディストリビューションというのはセット商品みたいなものですが、Voyage MPDでは組み込みカーネル+MPD+USBオーディオ2対応のドライバなどがあらかじめセットになっているわけです。
一口でPCオーディオって言っても、パソコンの使われ方は大きく二通りあると思います。ひとつは普通にワープロや画像処理などで使っているパソコンをそのまま使う場合、もうひとつははじめからオーディオだけのために専用機として使う場合です。(実際はこの中間もありえますが)
Voyage MPDは後者のためのOSといえるでしょう。ただし、はじめからすっとGUIが立ち上がると言うものではありませんので、念のため。
Music TO GO!
2010年11月04日
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