今日はUltrasone Edition10の発表会が青山で開かれました。公式なワールドプレミアは香港で来週行うので、それに先立つ日本独自の特別公開イベントです。Editionシリーズを育て上げた日本のユーザーへの特別なはからいですね。
場所は青山の今度ヘッドホンショウが開かれる場所です。ウルトラゾーン社長らも再び来日し、ちょっとお話を聞く機会もありました。
Michael WillbergとMichael M. Zirkel
*Edition10とは
10はEditionシリーズとして初めての開放型となりますが、もともとウルトラゾーンが1991年に始めたときは開放型から始めたそうで、その後にスタジオなどの要求から密閉型に志向して行ったそうです。
そうしてEditionシリーズで密閉型を極めますが、今回の開放型の開発はユーザーの声を大事にしたということです。
実際、Editionシリーズで開放型を出すというのはなかなか難しいことだったようです。Editionシリーズは本物志向のユーザーのためのヘッドホンというテーマで開発されていますが、このコンセプトと開放型というデザインは共存させるのが意外と難しいようですね。
例えば、今回の改良点としてドライバーやケーブルもあるのですが、大きなポイントの一つはイヤパッドということです。というのは、Editionシリーズは本革を使うというコンセプトがありますが、実は開放型で本革はとても難しいそうです。実際いままで開放型で本革イヤパッドはないそうです。これは開放型ではイヤパッドの設計が難しく音に対する影響が大きいということです。
パッドを見るとイヤパッドに細かい穴がたくさん開いてエアフローの改善を計っているのがわかりますが、こうしたところにも改善のあとが見られます。
左右のドライバーのマッチングも0.5パーセント以内という高精度なものにしているそうですが、これにはイヤパッドも関係しているということです。
ドライバーはチタニウムで新開発です。
開放型のため、Edition8より10パーセント能率が高いということです。インピーダンスは30オームです。
ケーブルも新開発でOFCに銀コートをしています。またアラミドファイバーのシールドが丁寧になされています。柔軟性が高く、かつ形状記憶をしにくいので丸まりにくいということです。
ケーブルは脱着式ではありませんが、タイムロードでバランス仕様にできるということです。
Editionシリーズは材質にこだわっていますが、今回の木の部分はアフリカのzebrano(ゼブラノ)という材質で、シマウマのような模様から名前がつけられています。高級な楽器や車の内装に使われているそうで、多層のコーティングがされているとのこと。
スタンドも標準でついていますが、これもゼブラーノを使っています。これは家で大事に使ってほしいと言うことだそうです。
金属材質はルテニウムで、革はエチオピアンシープスキンということです。
すべてドイツ製の手作りでこだわりがあります。
価格は28万で、10/20発売。2010個限定だそうです。
こちら発表会から。モデルさんの手にiPadがあって音楽を聴いているのがわかりますでしょうか。
*ハンズオンレポート
会場には構成のことなる試聴機が五台設置されていました。
私はコーダとm902で聴いてみました(MSA1でも少し聴いています)。またHD800を持って行ってちょっと比較してみました。
Edition8にハウジングは似ているところはありますが、デザインは自然界のイメージ、特にバタフライ、蝶のパターンからインスパイアされたそうです。装着感が軽いのも特徴です。
パッと聴いた大まかな音の特徴はEdition8を開放型にした感じです。
音は極めて早いのですが、Edition8よりさらにシャープさを増して切れが良くなっているように思います。また解像力も極めて高く、この二点から比較するとHD800が甘く聞こえるくらいです。音のキレの良さには銀コートのケーブルも関係していると思います。
空間表現はHD800のような特徴的なものではなく、もっと素直な聴きやすい空間表現ですね。
低域はHD800よりあきらかに上で、開放型としてはたっぷりあるように思います。低域に関してはLCD2に比べても遜色なく十分ある感じです。
*考察
音はEdition8の延長上にあるようにも思いますが、ポータブルという点からコンパクトさが優先されて設計に制約あったEdition8に比べると、それがなくなったEdition10はさらに音が磨かれているようにも思えます。開放型になってこもらずにもともと持っていた透明感が際立つところもあるでしょう。Edition7/9の密度感とは違いますが、それは根本的な密閉型と開放型の違いに思えます。
アームなどはEdition8に似ていますが、装着の軽さとかポータブルのEdition8で工夫された点はそのまま生かされているのかもしれません。
家で聞くEdition8、その発展型とも言えるようにも思えます。昨年はHD800とEdition8がよく比べられましたが、ポータブルとして設計に制約のあるEdition8はちょっとハンディがあって不利であったとは言えます。Edition10はそれを完成させ、進歩させたように思えます。
Edition10はそうした意味では、Edition8の延長上というよりも、あの音の本来あるべき姿とも言えるのではないでしょうか。
Music TO GO!
2010年08月01日
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