最近オーディオ用のUSBケーブルもいろいろなメーカーからたくさん発売されています。
そうした中で7/26にオーディオ用のアクセサリーで知られるアコースティック・リバイブ(関口機械販売)が画期的なオーディオ用のUSBケーブルを発売しました。
それはこれ、なんと信号線と電源線が分離したUSBケーブルです。
左がUSB-1.0PL、右はUSB-1.0SP (*両方とも一本のUSBケーブルです)
USBケーブルは信号線と電源線が通常一本に全部はいっています。ところが電源ラインはPC由来のノイズをいっぱい載せてる上に輻射ノイズを出して信号ラインに悪影響を及ぼします。最近のオーディオ用のUSBケーブルの中にはシールドを施してノイズを防いでいるものもありますが、この分離式は根本的に解決する方式になりそうです。
この新ケーブルには二つのタイプがあります。
USB-1.0 SP(1m 39,990円)は驚くことにホスト側にさすA端子自体が二つに別れています。つまりPC側は端子を二個使います。赤いマークのある方が電源ラインケーブルです。二本はデバイス側のB端子で一つに合流します。
USB-1.0 PL(1m 25,200円)はもう少し普通?で、A端子側も一つです。ただしラインはそこから二本に分岐します。B端子側は同じです。
ちなみにUSBはFirewireとは違って明確な主従関係があり、必ずA端子側がホスト(たいていはPC)になります。
このケーブルにはもうひとつ大きな特徴があります。それは線材が通常の細い線を集めたヨリ線ではなく、一本の太い単線を使用していることです。現在のUSB端子で可能なかぎりのもっとも太いPCOCCを使用しているそうです。このため柔軟性には欠けますが、音質的にはかなり期待できます。
まず角田さん試聴室のフォーカルとフェーズテックのUSB DAC HD-7Aを使用してみました。
わたしのMacbook Airを使ったので、USBは一つしかないのでPLタイプの方を使いました。下記は主にPLの印象です。あとでMacbook Proを使ってSPも試しています。
左は1.0PLのA端子側、右は1.0SPのA端子側
試聴用曲としてエリックモングレイン以降流行ってきたパワフルなアコースティックギター演奏の集大成的なGuitar Republicの生々しい演奏でまず確認してみました。こういうときの試聴に好適なディスクです。
パッと聴いて音の立ちあがり方、キレの良さ、細かい音の抽出に圧倒されます。これはいままで聞いたことがないレベルです。
その後に聴き込んでみると、強い音がバシッ、ダンッとなったときの制動感にも素晴らしいものがあります。音の制御、制動感はDACのクラスが上がったかという感じですね。低域の制動力も素晴らしく、Brian BroombergのHandsでのウッドベースのピチカートは逸品です。
またSNが良いのか微細な音の明瞭感が高く、弦のこすれる感じやアコースティック楽器の生々しさはいままでに味わったことがないくらいです。
実際にシャープだけど分析的になりすぎないで、情報量とか倍音の鳴りの豊かさが、音の印象に潤いを与えています。
単線の方が高い周波数特性に優れるそうで、倍音の豊かさの魅力はここからきているのかも知れません。
太いケーブルは低い周波数特性がよいと聞いたことがあるので、太い単線は周波数特性的には理想的なものかも知れません。
フルテックGT2からアコリバPLに変えると単に音がシャープに鳴る、キレがよいというだけでなく、粗さがあったところが豊かになるという感じがあります。
従来ケーブルとも少し比べてみましたが、比べるといままでのオーディオ用のUSBケーブルのグループのレベルとは音質的にひとレベル抜け出ているように思いますね。
それらと比べると価格とか取り回しのしづらさという点はありますが、音的には極めて魅力的です。
面白いのは電源ラインが別というところがミソではありますが、据え置きのUSB DACのようにバスパワー使わなくても効くということですね。また二本別のSPの場合は、電源(赤のほう)ラインを抜くと認識しないといういままで試せなかったこともわかって来ました。
つまりは干渉しないのがよいならバスパワー不要の場合は電源ライン自体を抜いてしまえば良いということはできないということです。こうした分離式がある意味理想的ということのようですね。
また、バスパワーのDACでも試すためにNuforce uDACでも試してみました。これはEdition8を使いました。
気になるのは二本別のSPと一本のPLの差ですが、二本のSPの方はLPと音の基本的な傾向は同じですが、より音が濃厚で豊かになる感じがします。
シャープさとか制動感とか音の性能の向上だけでなく、音楽性の高さもより贅沢に欲する時には二本のSPの方が良いかも知れません。
いずれにせよアコリバのこの分離型の単線ケーブルの音はもうFirewireレベルかというような感じですね。USBはいわば汎用規格でしたが、その長所は標準ゆえにスケールメリットでこうした世界の広がりと早い進歩・発展が見込めるということです。
オーディオ用の一万もするUSBケーブルがあるの?、なんて驚いていたのもわずか数ヶ月前のことです。もうUSBケーブルで音が変わるか、という段階はあっというまに通り越して普及期・発展期に入ってきたといえます。これが時代が変わるスピードですね。
Music TO GO!
2010年07月29日
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