Music TO GO!

2010年06月24日

KriptonのUSB DAC付アクティブスピーカー KS-1HQM

KRIPTON(クリプトン)が今月末(6/30)にリリースする新製品のアクティブスピーカーを聞く機会がありました。大きなフォーカルの手前のスタンドに乗った小さなデスクトップタイプです。

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KRIPTONはスピーカーやオーディオアクセサリーの製作で知られていますが、同時にハイリゾの高品質配信も最近手がけています。しかし多くの人が高品質配信のよさを楽しむにはまだ環境が整っていない感もあります。
そこで手軽に高品質配信のよさを味わって欲しいという期待もこめられているのが、このアクティブスピーカー KS-1HQMです。

ホームページはこちらです。
http://www.kripton.jp/pc-audio_usb/active-speaker/pc-speaker_ks-1hqm/features/

iPhoneと比べてもこんなにコンパクトです。

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KS-1HQMはアクティブスピーカーなのでスピーカーと一体になったアンプを搭載していてアナログ入力を受けられるとともに、96/24対応のUSB DACと光デジタル入力も搭載しています。USB DACは標準ドライバーなのでインストールも必要ありません。つまりパソコンひとつあればすぐにでも使うことができます。
しかし高品質配信を受けて楽しむためには、手軽ということだけではなく再生機器側も音質が高いことが必要です。アクティブスピーカーというと、PCにつけるスピーカーとか、iPod用のデスクトップタイプとか、手軽さだけに重点がいっている機器がほとんどだと思います。このKS-1HQMはそうした手軽さが売りのアクティブスピーカーとは音質という点で一線を画すための工夫がされています。

まず目が行くのは、スピーカーの下に置かれた別筐体の台座です。これはわたしもはじめはよくあるオプションのスタンドか、あるいはアンプが入っているのかと思いましたが、そうではありません。
これはあくまで標準でついているものです。アクセサリーメーカーらしい強みともいえますが、実はこれ自体がひとつのスピーカーシステムの中できちんとした役割を持っていて、これなしでは成立しないパッケージともいえます。

それはこういうことです。スピーカーユニットはバスレフ付きのフルレンジユニットで、ピアレスの6.35cmユニットを使用しています。ポイントはこの口径で低域まで十分に出すために、振幅(ピストンモーション)の幅を十分に確保していることです。Mark&Danielのところでも書きましたが、口径が小さくてもユニットの振幅の幅が十分にあれば動かす空気の量は多くなり、低域も十分に確保できます。ただし、その力を出すためには巻き線を工夫してドライバを強めねばなりません。そうすると能率が低くなってしまいます。そこで25W/chというこのサイズにしては過大なくらいのパワーをデジタルアンプを使ってカバーしています。
また、この小さな筐体で振幅がそんなに大きいとキャビネが不要に動いてしまうので、その動きを相殺するためにこの台座があります。この台座はスピーカーの本体とは3つのインシュレーターを介しています(スピーカーを持ち上げるときには注意してください)。この台座はそれなりの重さがあるとともに、持って振ると分かるのですが、中に鉄球がはいっていて砂箱を振ったように振動します。これは動きを相殺する効果があるそうです。
これで大きな振幅による不要振動を緩衝して、クリーンな音に貢献しているわけです。

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このようにKS-1HQMは、高品質配信のための96/24USB DAC、低能率を打ち消すためのデジタルアンプ、不要振動を減らすための台座、とパッケージとしてひとつに有機的に機能しているわけです。

次に実際に音を聴いてみました。
システムはMac AirからUSBでKS-1HQM側のUSB端子に接続するだけのものです。USBケーブルは最近お気に入りのゾノトーンを使用し、プレーヤーはAmarra mini2.0を使用します。音量はKS-1HQM側のリモコンで調整できます。

まず音を出すと、声が気持ちよくセンターに定位するのに気が付きます。
FakieのFantasyがまずとても印象がよかったんですが、フルレンジの強みかヴォーカルがよどみなくスムーズで声の表情もよくわかります。またギターがぴしっとシャープで贅肉感が少なく、切れよく鳴ります。
次に驚いたのはクラシックでの堂々とした鳴りの良さです。小さなみかけよりも低域の量感もあるけれども、ポイントはこのクラスにしてこの量感というよりも、その音がゆるぎなくしっかりしているという印象を受けるところです。単に低音のぶわっとした量感だけ誇るというものもありますが、そうしたものとはちょっと異なります。
これはボリュームを大きくして聴いてもらいたいところです。実際、良録音の多くは意図的に録音レベルを引き上げていないので、低いレベルで入っていることが多く、再生機器側でボリュームを大きく上げる必要があります。KS-1HQMはそうしたときにも、その辺のアクティブスピーカーのようにビビリがなく、しっかりとした音鳴りという印象を受けます。
また96/24の曲も十分にハイサンプリングのよさが伝わります。

コンパクトなボディにも、オーディオ的に考慮されたパッケージがうまく生きているというところでしょうか。
また、手軽さという点では価格的にもかなりがんばっているようです。ペアで約5万円というといわゆるPCスピーカーよりは高いのですが、この内容であれば実際はもっと高くなるようです。それをネット販売限定ということで安く抑えたということです。
なんとなくPCスピーカーを使っていたけれども、一クラス上の音が欲しいという人にはお勧めです。また本格的なPCオーディオはやはり苦手だけれども、手軽に高品質配信を楽しみたいという人のサブ機にもよいのではないでしょうか。

興味あるかたは試聴会を7/3に開催するそうなので、ぜひ聴いてみて下さい。案内はこちらです。
http://www.kripton.co.jp/products/event.html

最後にはじめの高品質配信の話に戻りますが、Kriptonではあのマニアックに録音を追及する赤坂工芸(AKL)さんのアルバムもいくつか扱っています。以前私がマスターCDRの話題で書いたCreamyも扱っているとのことです。
Creamyはアルバムの最後にアルバムと関係ないのに赤坂工芸の人の趣味で録音した録音のための録音、にぎやかなドラムソロが入っていますが、これが96/24で入っているとなるとちょっと興味がわきますね。

配信サイトはこちらです。
http://hqm-store.com/


*現在は形式名KS-1HQMが正式な製品名となっているそうですので、初出時から変更しました
posted by ささき at 23:22 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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