Music TO GO!

2010年03月10日

Headfi製作のヘッドホンのためのリファレンス曲集

アメリカの音楽ダウンロード配信販売の大手であるHD TracksがHeadFiと共同でなんとヘッドホンのためのリファレンス曲集"Open your ears"を製作しました。

これは解像力や低域の深さなど、ヘッドホンシステムの音の確認のために最適な曲を集めたものです。実際にはHeadfi管理者のJudeさんとHD TracksのDavid Chesky氏の共同作業によるものです。
PDFのライナーノートには曲ごとに聴きどころのポイント解説があり、これはJudeさんとCnetレビュアーのSteve Guttenberg氏によるものです。
レビューも自分の知らない曲でコメントされても分かりにくいので、こうした共通ベースを作るというのも良いかもしれません。

実際にダウンロードしましたが、たしかにかなり良い録音です。44/16で聴いてもはっとするくらい鮮烈な音です。スピーカーで楽しむような壮大なオーケストラというよりは、細かな音の機微がよく出てくるような選曲でヘッドホンらしい選曲です。ハイエンドのスピーカーシステムにも良いのではないでしょうか。
曲ごとに聴きどころのテーマ解説があります。簡単にライナーから引用します。

曲名: 1-Stuck in a Moment You Cant G
テーマ: Midrange tonality
教会の中にセットされたマイクの周りにシンガーがアカペラで歌うU2のカバー曲を聴きながら中域の自然さを感じ取ります。(中域は主にヴォーカル再現性です)

2-Money
Low-Level resolution
ピンクフロイドのマネーのジャズカバーです。Low level resolutionは低域のではなく非常に小さなレベルの音の再現です。
ここではしずかな教会での録音により、音の余韻のかすかな響きで細かい音の聞き取りができます。

3-Get Behind The Mule
Transparency
Transparencyは単に透明感とも訳されますが、低いゆがみ感が重要で音の純粋さ(Purity)と明瞭感(Clarity)がもたらすものとここでは書いています。ノイズの少なさとトランジェント(推移)の速さも大事な要素ということです。ここではシンプルな声とギターでそのリアルさを感じ取ります。

4-Sare Tete Wa
Viceral Impact
ここではドラムのインパクト、パワーと質感を感じ取りますが、特にインパクトはアンプの性能を見るにも有用でしょう。

5-Gadamaylin
Out-of-head Imaging
鳥の声とささやきがヘッドホンの外から聞こえてきます。やがて鳴り響く音が空間を感じさせます。
前方と後方の音の広がり感も聴き所です。

6-Texas Ranger
Center Focus
ここではフィドル(ヴァイオリン)とバンジョーにはさまれたヴォーカルがきちんと中心に定位するか、を聞き取ります。

7-Concerto for Basoon and Orch
Palpable Detail and Texture
Palpableは触れるような、という感じの意味で、手拍子のリアルさと階調感を聞き取ります。
手拍子は他の打楽器に比べると膨らみやすい点が特徴だそうですが、そこでトランジェントと音調の正確さを聴きます。バスーンも正確な再現は難しい楽器ということでそこでも聴き所です。

8-Hajji Baba
Rhythm
ここではリズム感、ノリの良さなど感覚的なグループ感を感じ取れます。

9-Percussion Imaging Test
Spatial Depth
これは音楽ではなくドラムのサウンドテストトラックです。これけっこう面白いです。
広いスタジオにマイクから3、6、9、12、15、30、70フィートごとにドラムセットの距離を変えていき、その音で距離感を感じ取ります。距離を変えるごとに少しアナウンスがあります(3フィートは約1m)。直接音と間接音の違いが分かりやすく、遠くなるほど部屋による影響が大きくなるのが分かると思います。
(はじめの3,6,9フィートは一回繰り返しているようです)

10-Tumbao De Tamborito
Depth, Music
ここではバリトンサックスが3つのコンガの前に配置され、その奥にベースがあります。
教会の中で録音されたその重なり感、奥行きの立体感を感じます。

11-Heartbeat
Bass Extension
これも音楽というよりはテストトラックです。スピーカーは体全体で低音を聴くもので、いわば聴くよりも感じとるわけです。対してヘッドホンでは純粋に音の低さを聴き取ります。
ここでは50、40、30、20Hzの低域再現性を聞きます。ヴォイスごとに一段階ずつ心音が低くなっていきます。ただし人の耳もこのくらいの音には感じ取りにくくなりますので注意ください。

12-Everything is Broken
Bass, Music
ここではアップライトベースとバスドラの低域再現の違いを聞き取ります。


ちなみにライナーノートのヘッドホンはHead-DirectのHE5です。
Headfierは下記リンクより割引価格で買うことができます。ただしHeadfiのアカウントは聞いてこないので、少なくとも下記リンクから行くと割引価格が適用されると思います。

フォーマットは44/16のMP3、FLAC、AIFFが割引価格で$5.99、96/24のFLACが$8.98です。割引価格がいつまでか分かりませんが、お早めにどうぞ。

*購入方法
こちらのリンクのページ内のClick Hereのリンクをクリックしてください。試聴もできます。
http://www.head-fi.org/forums/6454884-post1.html

アルバム単位でのみ購入できます。アルバムとフォーマットを選択してバスケットに入れ、Checkoutで購入できます。日本からはPaypalを使用してください。

払い終えるとHDTracksの独自ダウンロードマネージャーが起動して指定したディレクトリにダウンロードを開始します。

なお買う前にまずHDtracksのアカウントを作成した方が良いと思います。もしダウンロードが寝る前に終わらなかった場合は、ダウンロードマネージャを停止してもかまいません。後でHDtracksにログインして、my accountから右上を見ると、resume downloadと終わらなかったダウンロードを覚えていて、続きから再開できます。
posted by ささき at 23:13 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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