1. ポータブルのPCオーディオ
DACportとUMPCの組み合わせは、iPod+ポータブルアンプというのとは違うまた新鮮な面白さをポータブルオーディオ環境にもたらしてくれます。たとえば下記の組み合わせはEdition8とUSBケーブルで、ケーブルはWireworldのStarlight 5です。こうしてケーブルに凝ることもできます。
これは音質的にはかなりすばらしいものがあります。とくにいろいろとPCで設定したfoobarやOzoneMPの設定のノウハウがポータブルでそのまま使えるというのは新しい面白さがあります。オペアンプを交換したりすることのソフトウエア版とでもいいましょうか、自分で音をいじれる面白さですね。
DACportのような高性能DACとEdition8があれば、まさに外でもオーディオ並みの音が出せますが、PC内蔵のオンボード音源でもカーネルストリームが使えたりするので、プレーヤーソフトを工夫することでそれなりに音を楽しめます。
こうした「ポータブルPCオーディオ」というのも面白いテーマではないかと思います。
これを外で使うときの問題点は、曲を変えたり音量を変えたりするときにいちいちPCをごそごそと取り出してタッチパッドやマウスで操作するというのはちょっと無理があるということです。電車で空いているならともかく、立っているときはとりあえずランダムプレイのみになってしまいますね。
それを解消するためにiPhoneをリモコン的に使おうと考えてみました。
こうしたことはfoobar2000が一番いろいろと拡張されているので便利です。foobarだといくつか解法がありますが、その中で前に紹介したFoobar 2000のuPnPコンポーネントを使ってみることにしました。コンパクトなDLNA互換システムを作ってみたいという狙いもあります。(uPnPとDLNAについては後述)
USB DACとDLNAというのがPCオーディオの軸になっていますので、その両方をコンパクトなシステムでも作ってみようというわけです。
2. 手順
2-1. foobar2kにfoo_upnpコンポーネントをインストールします
http://www.foobar2000.org/components/view/foo_upnp
uPnPはDLNAで使われるプロトコル(通信の規格)です。そのため、uPnPコンポーネントをインストールするということはDLNAの世界とつなぐことができるということです。
uPnPコンポーネントはDLNAでいうところのメディアサーバーやクライアントなどの機能を提供しますが、いま使おうとするのは「メディアレンダラー」機能です。
レンダラー機能は自分のもっているファイルの中身をコントローラーに伝えて、自分自身の再生やボリューム変更などの操作をコントローラーからWiFi経由で可能にするものです。
2-2. iPhoneにPlugPlayerをインストール(600円)
http://itunes.apple.com/jp/app/plugplayer/id293235450?mt=8
レンダラーであるPC(foobar)を操作するためにはコントローラーが必要なので、iPhoneにuPnP対応のPlugPlayerをインストールしてコントローラーとします。
PlugPlayerはLINNのDSなんかでもよく使われているiPhoneアプリです。
余談ですがiPadが出ればさらに大きくなって家では使いやすくなるでしょう。この辺でもiPadがただのデカイiPhoneであるという利点が生かされるわけですね。とはいえ通常は解像度倍になって広く使えるだけですが、もしかするとiPad向けに改良もなされるかもしれません。そうするとさらに使いやすくなるでしょう。
2-3. 無線設定
ここまでの設定でオーディオと組み合わせたノートPCをLINN DSのように使うこともできます。
ただもう少しつっこんで、これを外で使えるようにします。そのためにはレンダラーであるPCとコントローラーであるiPhoneを直接つなぐために、アクセスポイント(ルーター)なしでネットワークを構成しなければなりません。そのためアドホック接続(ピア・ツー・ピア接続)を設定します。
簡単に書くとPCではネットワークの設定からAd hocネットワークを作成します。iPhoneは通常のWiFiのようにそのAd hocネットに参加します。長くなるので詳細手順は省きますが、検索をすると手順はたくさん出てくると思います。
3. 実際の使用
iPhoneのPlugPlayerを立ち上げると画面のようにFoobar2000と接続します。
画面は大きく二つに分かれていて、上部の再生ボタンがあるところは接続しているレンダラーを示しています。下部は接続しているメディアサーバーです。
考え方としてはPlugPlayerが接続しているメディアサーバー(下部)から曲を選んで、レンダラー(上部)に対して再生の指示をするという流れになります。
ここでおもしろいのはPlugPlayerのiPhone自身をレンダラーとして指定できます。その場合はPC内のFoobar管理の楽曲をPCからiPhoneにストリーム再生ができます。つまりiPhoneがリモコンといっても機能立場を入れ替えて、iPhoneを再生機器として使うこともできます。
たとえばPCをカバンにしまったまま網棚に上げて、そこからiPhoneにない曲をPCからストリームしてiPhoneで聴くこともできます。この辺は実用性はともかく、ちょっと面白いところです。
とはいえメインはiPhoneをコントローラとして、PCを再生機器として使うことです。PC上のFoobarに再生を指示するためには、いったん設定に行って、使用しているレンダラーを設定する必要があります。
次に+ボタンでプレイリストにメディアサーバーとしてのFoobarの持っている楽曲リストから再生したい曲を指定します。+を押すことで階層をたどるとFoobarが管理しているプレイリストが表示されます。ここで楽曲を選択して完了で戻ると楽曲リストが追加されています。
ここでそのプレイリストの曲を選択してメディアレンダラーであるFoobarに再生や音量変更がiPhoneから行えます。PC本体はカバンの中に入れたまま、iPhoneのUIで操作ができるわけです。
ただ使ってみるとこの通りにできるのは間違いないんですが、リスト取得やPlugPlayerからのサーバーの検索が不安定です。
アドホック接続が悪いのか、PlugPlayerとuPnPコンポーネントの相性か、PCのスペックか、ちょっといまのところ調査中です。
4. uPnPとDLNA
ここでこのシステムをもう一度整理して、DLNA的に書くとこうなります。
メディアレンダラー - PC+Foobar2000+foo_upnp
*レンダラーはコントロールポイントからの指示を受けて、自分の持っている楽曲ファイルの再生を行います。
コントロールポイント - iPhone+PlugPlayer
*コントロールポイントはレンダラーから持っている楽曲リストを取得して、再生やボリューム変更などの指示を行います。
DLNAというのは技術的な標準規格ではなく、ネットワーク家電がある基準を満たしていればDLNA準拠と認めましょうという認定組織と考えたほうが良いと思います。
その基準を満たすために、デバイスが満たしているべき機能の観点からクラスわけをしています。ここにその一覧表があります。
http://www2.dlna.org/digital_living/devices
言い換えるとDLNAというのは技術ではなく、ロゴステッカーのようなものといえるかもしれません。それで実際の技術はuPnPというプロトコル(通信手順)でこちらは技術的な標準規格です。そのためuPnPを実装していればDLNA機器と互換性があるということになりますが、それは机の上での話であって、実際の製品が接続できるかは試してみないと分かりません。そのテストをして商品として保障したものがDLNA機器ということになると思います。
また、もうひとつの見方はDLNAはuPnPという道具を使ってできることから代表的な例を抜粋したもの、とも言えるかもしれません。それがクラスということでしょう。そのため、かならずしもDLNA=uPnPとなるわけではないでしょう。
次のステップとしてはこれに自宅のメディアサーバーからつなげるようにすることですが、その前に解決することは多そうです。
ちなみにfoobar2000からiPhoneをリモコンとして使うという点ではuPnP以外にhttpやBonjourを使う方法もあるようですが、これはまた後で試してみたいと思います。
Music TO GO!
2010年02月04日
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