OzoneMPは正確には単体のアプリではなく、Winampのプラグインです(Win Media Player用もあります)。
ただその機能範囲も広く、かなり大きく音を変えるのでミュージックプレーヤーとして紹介します。iTunesに対するAmmaraのような存在ともいえますが、Ammaraのように再生エンジン自体を挿げ替えるものではなく、基本的にはDSPとかイコライザーに属するソフトだと思います。
OzoneMPはプロオーディオエンジニアリング用のソフトウエアを開発しているiZotope社がコンシューマー用に開発したソフトウェアです。デモ版は無料で使うことができますが、フルバージョンは$39です。無料版は限られたプリセットだけが使え、下に書いているような調整はできません。(画像は有料版のものです)
ホームページはこちらです。
http://www.izotope.com/products/audio/media/ozone.html
Ozone MPのユニークな点は仮想的なアナログの真空管アンプをシミュレーションして、その音鳴りをチューニングしていくという考え方です。
この考えを使うと普通のイコライザーに比べて音の微妙な調子を感覚的にチューニングできます。たとえば、単に100Hzの音を上下させるというのではなく、低域に「厚み」を少し加えたまま、「量感」は少し押さえ目にする、など実際に聞きながらフィードバックして調整ができます。またウォーム感や柔らかさなどの感覚的な調整もできますし、パワーをかけたときに出る真空管特有のゆがみ(心地よいほうに働く)もシミュレートされているとのこと。
たとえばクイックスタートでは、「高域の輝き感(sparkle)を加えるには」、「厚みのある音(fuller)にするには」、「空気感(airly)を出すには」、「きつさ(Harsh)を取るには」
など音質のレビューで使うような言葉を使用して感覚的に調整を行う方法が示されています。
また、ルームシミュレーションという機能で、スピーカー間隔を変えたり、デッドやライブなどルームアコースティックを変えるようなイメージでもイコライジングができます。
左から真空管イコライザー、ルームシミュレーター、真空管アンプ設定(低域補正画面)
さらに細かく指定を行うことができますが、やや複雑になってきます。あるパラメータと別のパラメータの間に相互関係があったりするので下手にいじると音がおかしくなったりと、使いこなしはそれなりに大変です。ただ聴きながら調整ができるので、ここは試行錯誤というところでしょう。
またプリセットも豊富で、ジャンル別どころか、アーチスト向けの設定がすでに多数用意されています。これらはWinampのプレイリストと紐付けができるので、曲ごとに使用するパラメーターセットを自動で変えることができます。
左はプリセットの一部、右はアーチスト設定のごく一部
プリセットのいくつかは音が変わりすぎていわゆるDSPくさくなりますが、うまくやると自然に音の厚みを増す方向でオーディオ的に使えると思います。
これはなかなか気に入っていてWinampでは標準で使っていて、foobar2kとは区別して使い分けています。
DSPというとあまりよい印象はないかもしれませんが、一般的に売られているハードについているものはメーカーが決めたものなので万人にはあわないかもしれません。しかしPC上ではこうして自分の好みに応じて自在に変更ができます。この辺は面白い使い方ができそうです。
Music TO GO!
2010年01月20日
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