Music TO GO!

2009年12月30日

UMPCオーディオプレーヤー

USBで十分な音質が確保できるとなると、既製品のノートPCみたいなものでも静粛性や拡張性を考えると専用のPCトランスポートに負けないのではないかという考えが出てきます。Auralitiみたいなデバイスは小さいノートPCで十分ではないかということですね。
一方でいわゆるPCトランスポートといわれてる製品がいくつも出ていますが、結局は専用機といいながらも管理や操作でマウスと液晶ディスプレイをつけるんだったら、普通のPCとの接点はどこか、という疑問も出てきます。

オーディオ的な意味で電源のノイズ特性とかシャーシの振動特性などもPCに求めて突き詰めるならばPerfectWave Transportみたいなアプローチのほうがより有利なわけです。OSもLinuxベースのほうが有利でしょう。
ただしPCオーディオの柔軟性を考えた場合、普通のWindowsノートをそのまま使うという利点もまた多くあります。たとえばWiFiまでは専用機でも使用できるものが多いかもしれません。しかし固定的なWiFiに対して、WiMaxのような新しいものが出てきた場合、専用機がまたそれに対応させるのはメーカーの作り直しが必要になります。ノートPCならばモジュールを指すだけでユーザーが即日対応できます。

そこで既製品のPCを使用して専用機的な操作性を確保しつつ、PCとしての柔軟性を生かすアプローチをちょっと考えてみました。

umpc3.jpg     umpc1.jpg

ひとつのキーはタッチパネルUMPCとさきの記事で書いたCMP2と組み合わせて専用機の操作性を確保することです。オーディオインターフェースはUSBで外部のみとして出力先と運用の柔軟性を確保します。USBオーディオインターフェースはhiFaceのようなUSB-SPDIFコンバーターを使えばトラポになりますし、ProtonのようなUSB DACであればプレーヤーとなります。
これで静粛性、利便性、そしてハイサンプリングに対応した高音質、ネットワーク接続性を確保しています。

15-17インチクラスのノートだとオーディオにあわせるのに大きすぎるかと考えて、ポータブルでの使用も考慮してコンパクトな7インチクラスにしました。ケーブルが伸ばせれば手元でも操作できます。またCMP2は7インチLCDを持ったHTPCに特化していますので相性を考慮しています。
ProtonとのUSBケーブルは標準のものではなく、フルテックのGT2です。オーディオ用USBケーブルについてはまた別に書きたいと思います。

使用したのは工人舎の7インチUMPC(ウルトラモバイルPC)です。
余談ですがネットブックというと12-13インチLCDくらいで普通のノートPCだけどプロセッサが低価格版で安さ重視のもの、という感じだと思いますので、こうした10インチ以下のコンパクトさを重視したタッチパネル機はUMPCということになります。たとえばAtomプロセッサを使っていてもそれを低価格のためと捉えるか、小型にするためと捉えるかで違いはでるかもしれません。
さらに小さいネットウォーカーのようなものは最近はMID(Mobile Internet Device)と呼ぶようですが、この辺はiPhoneも含めてスマートフォンと重なります。

スペックは下記のようなものです。
Intel Atom Z520(1.33GHz) 、1GBメモリ、60GB HDD、WiFi内蔵、タッチパネル7インチ液晶、重量約800g
ちなみにアウトレットストアで39800円で買いました。hiFaceとなら合わせても6万円弱というところでしょうか。

軽量なので電源不要のProtonと組み合わせて、下記のような究極のモバイルオーディオ的なものもできます。ポータブルとは思えない、なんていう形容詞を良く使いますがここまでくるとホームシステムそのものです。

umpc2.jpg

CMP2の運用で若干問題あるのがワークフロー(運用手順)の観点です。
CMP2+HTPCでは、内蔵ドライブが必須で、EAC(Exact Audio Copy)でRIPすることが前提です。そのときにCUEファイル込みのワークフローを想定しています。
EAC->WAV+CUE->CMP2という感じですね。cPlayはジャンルなどのタグ付けされたメタデータは読んでいないようなので、この辺が厄介な点ではあります。

もちろんfoobarなど一般のプレーヤーを使うこともできます。ただフォントのサイズ等は工夫が必要ではあります。
使ってみると普通のPCとしての速度には問題ないのですが、foobarとCPU食いのSecret Rabit Codeを組み合わせたときに音切れが出る(デスクトップ機のCore2では出ない)ので、処理性能はやはり小さいなりというところかもしれません。Atomもワープロや一般アプリの立ち上げなど、演算よりもディスクI/Oに律速されるような場合には、あまり遅いという気はしませんが、DSPなどの演算系の処理をさせるとCore2などとの差は歴然とでるように思います。
オーディオプレーヤーというと画像処理とか動画処理に比べてそんなにパワー使わないようにも思いますが、リアルタイムで処理するというのはなかなかパワーを使うものです。そのため良い音質という点でもそれなりのCPUパワーは必要だと思います。
cPlayの音質はかなり良いものですが、やはりせっかく用意されているアップサンプラーを効果的に利用したいものです。このシステムでもSoXは大丈夫ですが、Secret Rabit Codeだと上記のようにうまく動かせません。ただしfoobarの場合は多少詳細設定をチューニングする必要があります。
この辺はトレードオフでもあり、さらなる試行錯誤が必要ではあると思います。
このほかにもデスクトップPCに外付けのタッチパネルディスプレイをつけて使うこともできるでしょう。
CMP2もいろいろと応用できるものではあると思います。


Asyc USBやUSB-SPDIF DDC、Edition8(ハイエンドヘッドホン)など、ある意味で今年のオーディオトレンドをまとめてみた試みでもありますが、また来年もどういうものが出てくるのか楽しみではあります。
posted by ささき at 09:36 | TrackBack(0) | __→ ソース機材・PCプレーヤー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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