1. cMP2=cPlay+cMP
オーディオファイル向けミュージックプレーヤーの二本目は少し変わったcMP2を紹介します。(2は二乗記号です)
これはレビューサイトEnjoy the musicの2008年度のベストプロダクトのひとつにも選ばれています。
CMP2のホームページはこちらです。
http://cplay.sourceforge.net/
普通ミュージックプレーヤーはWindowsのデスクトップからWordやエクセル同様にひとつのアプリとして立ち上げて使うことを目的としてますが、これはちょっと違います。cMP2は自作でPCトランスポートを作る際に基本ソフトとなることを目的としたものです。
最近PCトランスポート的な機器がショウでも発表されていますが、たいていは別にPCの液晶ディスプレイが付いて普通のマウスとキーボードで操作します。そこでプレーヤーソフトを立ち上げて普通のPCのように使うわけです。オーディオ用PCといっても普通の静音PCとあまり変わりありません。
もう少しオーディオに近いアプローチとしてはここにあるようにHTPC用のPCケースを使うことができます。HTPCとはホームシアターPCのことで、ホームシアター用の自作PCです。
http://www.zalman.co.kr/jpn/product/cases/HD160XT.asp
上のリンクはZalmanのHD160XTというケースですが、7インチの組み込み液晶がつけられて、タッチパネル操作もできます。ただし画面が小さいので普通のプレーヤーソフトでは操作に苦慮するでしょう。
こうした自作PCトランスポートの基本ソフトとして使用できるように設計されたのがこのCMP2です。普通のPCでも使用できますが、もともとはそういう発想です。
実際はタイトルに数式で書いたようにCMP2はcPlayとcMPという二つのモジュールから構成されます。このcはcicsという作者のハンドルに由来しています。cPlayはいわゆるミュージックプレーヤーの部分で、CMPはWindowsを抽象化(隠す)するためのシェルです。
すべてgnuライセンスの元に無料で配布されています。(GPLに基づいてソースコードも開示されているはずです)
2. cPlay
cPlayはCMP2のモジュールとして音楽再生機能を提供しますが、単体でも動作可能です。そのためfoobar2kやwinampのようなプレーヤーと考えることができます。ただし最小限にシンプルなものです。UIはやたら曲名だけがでかいのですが、べつに近視用のユニバーサルデザインというわけではありません。ここが液晶などのパネルになるわけです。
cPlayではWAVとFLACのみに対応しています。cPlayはジッターの低減を第一テーマとしていて、そのため楽曲ファイルをいったんメモリ上に展開するメモリープレーヤーとなります(XXHighEndと同じですが消費メモリは最小に考えられています。
また出力はわりきってASIOドライバーしか対応しません。そのため普通のドライバーを使用するときにはASIO4ALLが必須になります。
標準でアップサンプリングが可能で、リサンプリングのライブラリとしてSoXとSRC(Secret Rabit Code)をサポートしています。なおSecret Rabit CodeとcPlayではCPU制限があって、145dB設定は2Ghz以上のCore2 duo以上向けですので注意ください。(あとでまた出てきます)
下記画面はcPlayの設定画面です。
曲選択は一曲単位かプレイリストの選択です。プレイリストはCUE形式です。基本的にCMP2というシステムはCUEドリブンといってよいほどCUE中心のシステムです。EAC(Exact Audio Copy)->WAV+CUE->CMP2というのが基本的な考え方です。
このためplaylist editerがないと単体でも著しく使いにくいので、合わせてcPlaylist editorというツールが必携です。
インストール後にアイコンをクリックして立ち上げることができますが、基本的には次のcMPから呼び出されることを前提としています。
cPlayのみで使うときはcPlayからファイルやCUEを読み込みますが、cMP2としてcMPとあわせて使うときはcMPがファイルマネージャとして働くので、再生する楽曲情報はcMPから渡されます。
3. cMP
専用PCトランスポート化するためのUIの核となるのがCMPです。cMP はcics Memory Playerの略称です。ここは普通のミュージックプレーヤーにないところなので理解しづらいところではあります。
cMPは端的に言うとOSのシェルとして働く、ということになります。cMPはリモコンもタッチパネル入力も考慮されています。
シェルというのはOSの一部でプログラムの実行とかファイル管理をするものです。たとえばUNIXだとcpでファイルのコピー、lsで内容リスト表示など、コマンドを受けるCシェルなどがそうです。難しくおもえるかもしれませんがWindowsの場合はなにげなく立ち上げているウインドウ(エクスプローラ)がそれにあたります。それをオーディオ用の画面に合うようにしたものと考えてもよいかもしれません。
また音楽再生に不要なプロセスを終了させたり最適化を行う機能もあります。下記はcMPの設定画面です。
ただ既知の問題としてインストール時にウイルス検知が働いてインストールできないという問題があります。これは実際には誤検知で問題ないと言われていますが、よくは分かりません。(Auto Hot Keyに関する問題と書かれています)
cPlayはそうした問題はありません。
4. ミュージックプレーヤーのいろいろなカタチ
似たようなものにはPlayWASAPIというプレーヤーもあります。
http://www.audiocircle.com/index.php?topic=68364.0
PCオーディオの自由度をもってすれば、ミュージックプレーヤーにもさまざまな解法や応用が考えられます。
次の記事にCMP2を実際に応用した例を挙げます。
M2TechのhiFaceの項であげた写真のタッチパネルPCトラポです。
Music TO GO!
2009年12月30日
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