WindowsのミュージックプレーヤーソフトについてはWindows Media PlayerやiTunesをはじめとして、こっている人は前記事であげたFoobar2000やWinamp、SongBird、Lilithなどもよく使われていると思います。加えてFrieve Audio、J.River、Media Monkeyなどなどソフトはまだまだ多種多様にあります。ミュージックプレーヤーといっても動画重視であったり、対応ファイル形式の多さが特徴であったりとその特質もさまざまです。
そこで一般向けとは言いがたいけれども、とくにオーディオ向けに考えられたものを少し紹介いたします。
まず今回はXXHighEndです。
1. XXhighEndとは
XXhighEndは文字通りハイエンドを目指したミュージックプレーヤーです。
もともとは2006年ころより真のビットパーフェクトを実現したミュージックプレーヤーを製作するという趣旨で始まったようです。ホームページはこちらです。
http://www.xxhighend.nl/
あまり整理されていないんですが、まず一番上のDownload area and Release noteから見ていくと良いと思います。
現在(09/12/29)の最新は09-y4というバージョンです。このバージョンからアップサンプリングができるようになっています。
一応対応フォーマットはWAV, AIF, AIFF, FLAC, MP3,(DXD?)とされているようですが、基本的にWAV向けです。FLACは認識していますが、わたしのPCではメモリーエラーで再生できませんでした。このメモリーエラーは随所に出てきますのでかなりのメモリ食いです。ちなみにわたしのPCはXPですが4GB入っていますがそれでもだめです。
必要条件はXP、2000、Vistaですが、Vistaが最適です。7ではまだ問題があったと思いました。
メモリの最低条件は2GBとあります。フォトショップとかならともかく、音楽プレーヤーソフトでこれはすごい条件です。なお24bitの再生には3GBのメモリが必要とありますが、わたしのPCは4GB入ってますが、24bitは選択できません。ただし32bit Windowsは4GBはいっていても仕様で3GBしか認識しませんのでそのせいか、固有の問題かは分かりません。いずれにせよ後述のエンジンの点も含めて本来はVistaで使うプレーヤーでしょう。
デモ版は無料でフルに機能を使えますが、連続再生時間に制限があります。マルチコアCPUでの動作にも制限があります(わたしのはCore2quadですがデモでも動作したので動作自体は問題ないと思います)。上記制限を取りたければPaypalで支払いをして解除コードを申請します。これに78ユーロ(約1万円)かかります。
設定が多いのにマニュアルがないので使い方はいまふたつ分からないんですが、なんとなく分かったことを書いておきます。
参考になるのはツールチップとヘルプファイル、そしてこちらのスタートアップページです。
http://www.phasure.com/index.php?topic=833.0
あとはフォーラムの内容を読んでいくことになります。
2. XXHighEndの特徴
*ビットパーフェクトのサポートと複数の再生エンジン
XXHighEndには3つの再生エンジンが用意されていて、#1エンジンと#3エンジンはビットパーフェクトです。また#2エンジンはビットパーフェクトではありません。
ビットパーフェクトは日本では一般に「バイナリ一致」と呼ばれています。これはいろんなところでいろんな使われ方をする言葉です。たとえばiTunesやEACなんかでCDからWavなどにRIPするときにも言われますが、この場合はCDのデータを忠実にデジタルデータに落とせるかということを指すと思います。
一方で海外のフォーラムでこういうオーディオドライバーとかプレーヤーなどの話題でビットパーフェクトと言うときは暗にカーネルミキサーを通さない、という意味で使われているようです。
XXHighEndでもそういう使い方をしています。これは逆に言うとカーネルミキサーを通すとビットパーフェクトにならないということです。この辺はさきに書いたfoobar2000の記事もご覧ください。
XXHighEndに戻りますが、逆に言うと#2エンジンは標準的なものなのでもっとも安定していて、柔軟性が高いものになっています。音質という点では素の性能はビットパーフェクトの#1が高いということになりますが、XPの場合は#1はダブルレート(後述)が使えないため、トータルでどの組み合わせが最適かは結局いろいろ自分の環境で試してみて聞き比べないと分かりません。そのためにエンジン選択があるということのようです。
また、FoobarやWinampはビットパーフェクトにするためにはカーネルストリーミング、ASIOやASIO4ALLなどの知識が必要となりますが、XXHighEndは同様なもの(おそらくカーネルストリーミング使用)をはじめからもっているので、とくに#1でも追加は必要ありません。
おもしろいのは#1を指定していてもメモリが足りなくなると自動的に#2に切り替わることです(曲によります)。これは曲ごとにすべてメモリに展開しているからでしょう。
このときにはエンジン指定が赤くなります。
#3はVistaに特化していて、これが一番お勧めとのことです。ただしXPで#1や#2を使っていても音質のよさは体感できます。中ではおそらくWASAPIを使っていると思います。また#3ではリアルタイムと銘打っていますが、かなりの低レイテンシー(遅延)を実現しているとのことです。Vistaで#3エンジンのときはおそらくLinuxやMacもびっくりという低レイテンシーが実現できるようです。
他のプレーヤーだとオプションで指定するところを、XXHighEndではコアのエンジン自体をすげ替えるというのは開発の歴史的な背景があるようです。
*アップサンプリング
ドライバーが許せばDouble rateとアップサンプリングが可能で44.1のデータを88.2として送出できます。
その違いというのはDoubleは同じデータを二回送出して、アップサンプリングの場合は補完計算をするということだと思います。Doubleは再計算ではないので、指定は整数倍のみになります。(Vistaについては88.2が選べないようなのでこのためDoubleは#1と#2ではできないようです)
ただ音はDouble rateでも変わります。
アップサンプリングはSoX(Sound Exchange)ライブラリーを使用しているようです。
*プロセッサスケジューリング
マルチコアのときにはプロセッサのスケジューリングとか優先度が設定できます。
どれがどうなるという具体的な説明は見つかりませんが、たしかにこれも微妙に音の差があります。これも好みではあると思います。ちなみに#1スケジュールパターンがオリジナルで、それ以外は派生版ということです。
3. 音の印象など
音はたしかにちょっと良いものがあって、精細さという点でもなかなかのものですが、単に細かさだけではなく、厚みとか豊かさを感じられる点がオーディオ向けという気がします。それらがあいまってトータルの情報の豊かさと感じられる点はたしかにオーディオファイル向けといえるかもしれません。
(お金は取るのですが)まだベータ版に近くて、不安定だしすべての機能を使うのはちょっと大変なところがあります。使い勝手はいまひとつですし、PC側にもオーディオ機材側にもそれなりのものが必要ですので、PCオーディオに手軽さよりも高性能を追求する人向けです。既成のプレーヤーに飽き足らない人は試してみるのも良いと思います。
Appendix. 簡単な使い方
1. 最新のバージョンのdownloadページに飛ぶ
http://www.phasure.com/index.php?board=1.0
現在(09/12/29)の最新は09-y4
2. インストールはなく、unzipするだけ
3 データフォルダーを作成する
名前は何でもいいんですが空フォルダを作ります。たとえばxxhe_dataなどです。これはプレイリストとか個人設定などが入るようです。
反面でレジストリーは使わないようです。
4. まずrootを設定する
いまあるライブラリでOKだと思いますが、こうした三階層にしておくと良いと書いてあります。
G: (ドライブ)
--WAV (タイプ)
----Lounge (ジャンル)
------Album (アルバム)
これに沿う必要はないのですが三階層のほうがカバーアートと同期させるためには良いとのこと。
5. データフォルダーを設定する
6. libraryを表示する(jpegのアルバムアートが表示可)
7. libraryのアルバムをクリックする
8. playlistに追加されるので、playlistから曲を選択して再生(play)
(再表示がきれいにできない場合があります)
Music TO GO!
2009年12月29日
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