Music TO GO!

2009年12月07日

M2Tech hiFace USB->SPDIFコンバーター

PCの世界とオーディオの世界を融合させるには、PC側に普遍的に装備されているUSBの口と、オーディオ側で普遍的に装備されているSPDIFの口をつなぐUSB->SPDIFコンバーターは二つの世界の橋渡し役になりえます。
実際に最近とくにたくさん出てきたUSB->SPDIFコンバーターですが、その中でもコンパクトさ、低価格、音質にて高い評価をうけているM2TechのhiFaceを買いました。

hiface1.jpg     hiface2.jpg

こうしたものはアメリカとか中国製かと思いますが、hiFaceはイタリアのM2Techの製品です。パーツ以外はイタリア国内で組み立てているとのことです。
特に音質評価が高いんですが、デザインもいいですね。カタチでUSBをSPDIFに変換するというのがひと目で分かります。まさにイタリアらしいというか優美な機能美を感じます。

ホームページはこちらです。hiFaceの良いところはRCAだけでなく、より本格的なBNCバージョンもあることです。
http://www.m2tech.biz/products.html
RCA版が99ユーロ(約13000円)、BNC版は114ユーロ(約15000円)です。低価格も魅力です。

1. M2Tech hiFaceの特徴

1-1. USBながら192/24までサポートしていること
この点ではコンパクトながら他のUSB-SPDIFコンバーターの上を行きます。

1-2. 二つの固定クロックを持っていること。
44.1kHz系(88.2, 172.3)と48kHz系(96, 192)の二つの固定クロックを独立して持っています。精度は2〜5ppm(環境による)とのこと。

1-3. 独自のドライバーを用意していること。
カーネルストリーミングをサポートしたドライバーを用意しています。このため、ASIOと同様にカーネルミキサーをバイパスした高品質な音質を提供できます。
現行のドライバーはDirectSoundとカーネルストリーミングの二つのモードで動作します。DirectSoundモードではどのプレーヤーでも使えますが、カーネルストリーミングはそれをサポートしているプレーヤーでのみ使えます。(たとえばfoobar2000)
それとドライバー自体もなにか独自の工夫があるように思えます。

1-4. RCAだけでなくBNC版も用意していること。

1-5. Macもサポートしています(ただし最新ドライバー推奨)

1-6. バスパワーで駆動します。

2. 使用方法

USBデバイスですがインストールは自動で行われないので添付のCDROMかメーカーサイトからのダウンロードで行います。現在(09/12/6)最新は1.02で更新もあるのでサイトからダウンロードしておいた方が良いでしょう。
http://www.m2tech.biz/download.html
はじめにhiFaceを接続するとドライバのインストールを求められますので、そこで場所を指定してください。

hiface4.jpg

特に意識しなくてもUSBに接続するだけでhiFaceを使用することはできますが、ベストの音質を得るためにはカーネルストリーミング出力についての知識が必要になります。たとえばFoobar2000ではカーネルストリーミングのコンポーネントを追加してから、outputのドライバの指定で「KS:HIFACE kernel streaming」を選択することになります。
hiface1.gif
この辺はまたあとでPCオーディオのソフトウエア編を少し書こうかと思ってます。

ただコンパクトなのはいいんですがUSBのプラグよりは太いので、デスクトップの近接した背面USBポートでは隣接ポートをふさいでしまうかもしれません。
また、ごついデジタルケーブルをつけるとやや不安定です。この辺を解決するためにUSB延長ケーブルも試してみたいと思ってます。

3. hiFaceの音

音のレベルはかなり高く、低域が充実して厚みがあり迫力を感じます。また高精細で切れも良いですね。
オーケストラでは迫力を感じますし、ロックも躍動的に前に来る感じがよく出ています。

ハイサンプリングはうちでは残念ながら192までは聴けませんが、96/24のLINNスタジオマスターを使ってみました。
タリスのマグニフィカートなんか聴いていると深みのある空間再現に没入することができ、楽器の再生では細かいニュアンスもよくわかります。

従来との比較という点で、PCからバランスヘッドホンで聴くときを例に取ります。
いままではたとえばこんなシステムのバスです。
WinXP PC (Foobar2000+ASIO) ->(PCIバス) DAL CardDeluxe ->(SPDIF) WireWorld 同軸ケーブル ->(内蔵DAC) Headroom Desktop Balanced

hiFaceを使用すると下記のようになります。
WinXP PC (Foobar2000+KernelStream) ->(USBポート) hiFace ->(SPDIF) WireWorld 同軸ケーブル ->(内蔵DAC) Headroom Desktop Balanced

バランスヘッドホンをいろいろとつけて、hiFace経由とCardDeluxe経由を少しだけ比較してみましたが、ざっと音質は少なくとも同等レベルは確保しているように思えます。まだバーンインもそこそこなので評価はまた変わるかもしれません。
CardDeluxeも最新最高のオーディオインターフェースではないかもしれませんが、コンシューマーサウンドカードとは一線を画したレベルにあるので、hiFace自体もかなりレベルは高いと思います。デジタル出力ということに限ればコストパフォーマンスは高いですね。

4. hiFaceとUSBデバイス

Protonに続いてうちのオーディオインターフェース機材のUSB化を図る第二段がこのM2Tech hiFaceです。最近の試行でPCのオーディオインターフェースをUSB化することにも自信が出てきました。内蔵カードやFireWireに頼らずUSBでいければノートPCでも十分にオーディオ部分の質が確保できます。
しかし書いてきたようにWavelengthとかM2Techのような新世代のUSB機材がキーになるということもまた分かってきました。

思うにこうしたUSB機材はハードもさりながらドライバの実装にポイントがあるように思えます。
Protonの項で紹介したWavelength/AyreのAsync転送はdCSも同じようなアプローチを取っているようです。ただしWavelengthのライセンスを受けているAyreと違ってdCSは独自実装のようです。この点で、もしかしたらM2Techも同様なソフトウエアを開発しているのではないかとも考えています。
ハードに加えてこうしたソフトウエアの実装の部分で差別化していくというのもUSBオーディオではひとつの流れなのかもしれません。
posted by ささき at 22:07 | TrackBack(0) | __→ USB DDC | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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