RMAFの記事で紹介したAuralitiは11月リリース予定と聞いていましたがまだリリースされていません。現在の状況がちょっと分かりませんが、前に書いた記事以後にわかったことをここでまとめておきます。
その結果として前回の記事からはいくつか訂正が必要です。(まえの記事はこちら)
まずAuralitiとはなにかというと、従来のオーディオシステムに176kHzや192kHzといったハイサンプリング音源の再生を可能にするためのプレーヤーに当たるソース機器です。
機能的に見るとAuralitiはハイサンプリング音源に対応したDACからのアナログ出力を取り出すことができ、デジタル出力によりトランスポートとしても機能します。楽曲ファイルはUSB接続する外部ハードディスクに格納します。後述しますがネットワークについては直接DLNA対応のNASとつなぐ機能はなく、コントローラーとの接続のためにWiFiを使います。iPod touch/iPhoneはコントロールに使いますが、iPod内の楽曲を再生することはできません。
デバイスとしてみるとAuralitiはLinuxベースでサウンドカードを装備したコンピューターを利用したオーディオデバイスです。もしオーディオに特化したコンピュータをトランスポートとして設計するならWindowsをベースにするよりUnix/Linux系のほうが有利なのでしょう。サウンドカードはLinuxとの親和性という点でJuli@が選ばれていたと思います。
ポイントとしてはAuralitiはLinux上でMPDサービスが動作することで音楽プレーヤーとして機能します。MPDとはMusic Player DaemonのことでLinuxで動作するオーディオ用のサーバープログラムです。Daemon(デーモン)はUnixにおいて常駐動作するソフトウエアのことで、Windowsでいうサービスのことです。MPDは楽曲を管理して再生したり、コントローラーと通信する機能があります。
前の記事でLINN DSのような、とも書きましたが、実はAuralitiはこれらの点でDLNA準拠のLINN DSとは異なります。
たとえばDSもAuralitiもiPod touch/iPhoneで操作が可能ですが、DSはDLNAが採用しているuPnPプロトコルに対応したアプリ(Music Player, Plug Player)を使用します。それに対してAuralitiではMPD対応のアプリ(MPoD)から操作します。
(ちなみにオーディオコントローラーとしてのiPhone/iPod touchという意味ではこのほかにリモート端末のVNCを使う手もあります)
Auralitiは前回書いたようにウエブ画面でコントロールするというのではなく、あくまでMPD対応のiPhoneアプリ、またはMPD対応のPC/Macソフトウエアから操作するようです。なおAuralitiはそれのみではUIを持たないため、こうしたコントロールのためのクライアントが必須です。
このようにネットワークという点で見るとAuralitiはDLNA対応ではありません。これはちょっと混乱するところですが、ネットワークオーディオの世界はDLNAだけではないということです。
DLNAはガイドラインのようなものです。たとえばL社のネットワークプレーヤーが楽曲ファイルを再生するためにB社のNASから楽曲の一覧表を取得しなければならないとします。そのときにどうやりとりしましょうか、それではuPnPというプロトコル(手順)を使いましょう。という会社間での取り決めガイドがDLNAです。
それにたいして、AuralitiではMPDの世界の取り決めでそうしたデータのやり取りが行われます。そこでいったんDLNA(uPnP)の世界に行くにはゲートウエイとも呼ぶべき仲介者が必要になります。そのため独自のNetworkサーバーを用意しているようで、そのサーバーはDLNA対応です。つまりDLNA対応のNASなどとは
Auraliti<--(MPD)-->Network Server<--(DLNA)-->NASなどのDLNA機器
という接続になるのでしょう。
DLNAのベースとなっているuPnP(ユニバーサル・プラグ&プレイ)はマイクロソフトの規格です。それにたいしてMPDはLinuxベースなわけですから、オーディオの世界でもマイクロソフト対Linuxのような対立の構図を引きずるのでしょうか。
オーディオがPCの世界に寄っていくということは思っていた以上にさまざまな影響をはらんでいるのかもしれません。
Music TO GO!
2009年12月03日
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