ロッキーマウンテン・オーディオフェスト(RMAF)は今年で6回目ということでそれほど古いものではありませんが、近年注目されているアメリカのオーディオイベントです。さきの週末に東京インターナショナルオーディオショウ(TIAS)と同時期に開催されていたのですがいくつかレポートがあがっているので、主にStreophileのページからデジタル系を中心にして個人的な注目点をピックアップしてみました。
まずこのAuraliti Digital Music Playerです。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/bit-perfect_playback/
これはティザーで予告されていたので当初HeadFiでもポータブルではないかと盛り上がっていたようですが、実際には小さいLINN DSかSqueeze Box的なもののようです。
ただ後で開発者がポストしてきてどのくらいの大きさならポータブルっていうの、と聞いてきたので意外となにかあるかもしれません。でもBenchmark DAC1がバッテリー駆動ならポータブルって言うのか、とか聴いているのでどこまでまじめなのかわかりませんが(笑)
Auralitiは192/24や176/24の再生能力があり、展示はオーディオベーシックでも紹介されていたハイサンプリングDVDを出しているReference Recordingのブースだったというところが暗示的で、Bit-Perfectを標榜しています。
内部にはストレージは無いようで、外部のUSB HDDかNASに接続します。それとiPod TouchとWiFiで接続して中の楽曲を再生し、iPod Touchで操作もできるようです。内臓DACも同軸デジタルアウトもあるようです。PCなどからはWebベースのUIで操作できるようです。専用ソフトではないというところがミソです。これならいろんなOSから操作が可能ですね。ショウではBenchmark DAC1と接続してEdition8でデモしていたようです。
音もいいということで、いずれにせよちょっと注目の新製品です。
約$800で11月に発売(10月中だと安い)ということです。
ハイサンプリングソースというと良録音で知られるM・Aも96や176のようなハイサンプリングソースをWAVでDVDに入れて出すそうです。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/small_and_great/
ネットで配信といっても光でもなければダウンロードに限界があるので、このDVD+WAVという形式もダウンロードと並んで一般的になるかもしれません。そうするとPS AudioのPWTとかBoulder 1021のような非Red Bookプレーヤーが生きてきます。
今回のTIASではリンデマンのUSB DDCが従来のSPDIFの世界とPCの世界をうまく結合していましたが、RMAFではAyreのUSB DAC(QB-9でしょうね)でその独自のUSBインターフェース開発に協力したWavelengthの開発者がWave Link Asynchronous Computer Interfaceというデバイスを展示してます。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/wavelengths_new_wavelink/
これはおそらくAyreのQB-9 DACのUSBインターフェース技術を使用してDDコンバーターにしたようなものだと思います。QB-9が評価が高いのでこういうのを待っていた人も多いのではないでしょうか。
驚くのはこのUSB DDCは主要回路をリチウムイオンバッテリー駆動にしているということです。ただポータブルのようなものではなく、全体としてはACアダプターが必要なようです。きれいな電源を供給するために使用しているというわけですね。
それとこれを応用したDACも出展していたようですが、これは32bit対応ということです。わたしの使っているソフトのSamplitudeも内部的にはデータ幅を冗長に32bitで持っています。PCMにおいてデータ幅はダイナミックレンジと考えられますが、冗長性という観点からもデータ幅を冗長(余分)にもつというのは演算精度を上げるということになります。オーディオ的に言うと音が滑らかになるというところでしょうか。
日本でもエソテリックとか最近のフォステックスのDACも含めて32bit対応というのも出始めています。96kHzや176kHzのようなハイサンプリングとともに、こうして24bitを超える広ビット幅というのも重要になっていくかもしれません。
PS Audioは昨年同様にPerfect Wave TransportとPerfect Wave DACを展示しています(日本ではハイエンドショウで完実さんブースで見られると思います)。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/paul_mcgowan_scores_again/
これはPS AudioのバックアップでBay Area Audiophile Societyというオーディオファンのグループが出展しています。ちなみにアメリカでは単にBay Areaというとサンフランシスコ湾沿いの諸都市のことを言います。
また今年はPerfect Wave AmplifierというPerfect Wave シリーズのDクラスアンプも出展していたようですが内容はわかりません。PSフォーラムを読むとICEとかではなく、なにか新しいもののように思えます。
PS Audioは以前からDクラスアンプを出していたのですが、ちょっとぱっとしませんでした。今回のPerfect Wave の流れでまた新しい切り口の展開が見られると思います。
日本でも盛り上がりを見せるPCオーディオですが、やはりアメリカでも考慮点はハイエンドオーディオにいかにしてハイリゾリューションソースを取り入れるかという点にあるようです。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/pc_audio_rmaf/
それとアメリカでは特にもう死に体であるSACDですが、ハイリゾーリューションの波の中でDVD+DSDという組み合わせは残るのではないかという観測もあります。上のMAのリリースでもDVD+DSDというリリースがあります。この辺は作り手も試行錯誤というところでしょうね。
それとHeadFiの関与もまた大きく取り上げられています。
http://blog.stereophile.com/rmaf2009/head-fis_mountainous_canjam/
大きな話題はAudezeの新型LCD2とHead DirectのHE5という平面駆動ヘッドホン対決にあります。ここに来て興味深いところですね。
AudezeのLCD2
http://www.audeze.com/?p=121
Head DirectのHE5
http://www.head-direct.com/product_detail.php?p=78
HE5についてはヘッドホン祭りで出せるかもしれません。LCD2についてはちょっと不明です。
スピーカー系はあまり見ていませんが、なぜかフォーカルの新型があちこちで見られます。それとライドーC1も見られますね。
またアメリカでは日本よりもDIYスピーカーが活発なようで製品・DIYにかかわらずオープンバッフル(背面・側面開放)タイプがよく見られます。
DIYスピーカーというとフルレンジ・高能率などを使うことが多いかもしれませんが、先に書いたパス先生もDIY世界には大きく関与をしているようで、さきのFirst Wattもこうした市場を踏まえた背景があると思います。
streophileの他でもいろいろとレポートサイトがあります。
写真も多いのでどういう雰囲気かを知るには良いと思います。
http://www.spintricity.com/
http://cryo-parts.com/rmaf_can_jam_09.html
http://www.enjoythemusic.com/rmaf_2009/
http://positive-feedback.com/Issue45/rmaf_20093.htm
Music TO GO!
2009年10月08日
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