だいたい二週間くらいずっとHifiMan 801を使ってましたが、実際に使ってみたところをちょっと書いてみます。
まずアンプ付きの二段重ねに比べると文庫本を一冊余計にもてるというのはやはり助かりますね。横幅はありますがそれほど厚みがあるわけではなく、わりと軽いのでバッグにするっと入れるにはほどよい感じです。もちろんポケットにはいるわけではありません。
使用したのは主にEdition8とJH13でした。IEMに関してはカスタムをいろいろと試しましたがやはりベストはJH13だと思います。はっきりくっきりしっかりとした明快なHiFiサウンドが堪能できます。
もちろんEdition8との組み合わせは文句なしにポータブル環境でベストと言えるでしょう。意外とよかったのはSennのMX W1ですね。HiFiワイヤレス体験を楽しめます。
電池の持ちについては実測でだいたい8-9時間は持つという感じです。
ただしLCDの消灯設定を適切にする必要があります。初回版では電池残表示が正しくされていませんが、これもパッチで修正される予定です。
本当に音質に特化したプレーヤーですが、その反面そのほかの領域は弱くて使いにくい面もあります。
例えば5つキーがありますが方向と機能に一貫性がなく、直感的に使いにくく感じます。またプレイリストも一個作れるだけのようです。Rockboxのように外部からのインポートができるといいんですけれども、まだマニュアルが来てないので機能面ではあまり書くことができません。
楽曲ファイルは主にExact Audio CopyでWavにRipしてからFLACにエンコードしています。このためタグなどはいい加減なのでフォルダーで管理しています。日本語のファイル名も表示は可能ですが、ひらがなフォントのデザインはなぜか小さめです。
96/24は主にLINNのダウンロードの楽曲ファイルを使いました。実際に使ったのは例えば下記のようなものです。
"Hymn to Nina" - Barb Junger 88/24 FLAC、"Life Jacket" - Ian Shaw 88/24 FLAC、"Spem in alium" - Thomas Tallis 96/24 FLAC、またスタジオマスターのサンプラーVol3の曲などです。このサンプラーはLINN Japanの人もDSのデモで良く使っています。
しかし相性があるのか以前記事に書いたHDTracksのRaising Sandはうまく再生できませんでした。この問題については向こうでも把握しているらしく、次のパッチで入るということです。
LINNのダウンロードを使って同じ曲(クレア・マーチン)を一曲44/16と96/24でそれぞれ買ったものを比較してみましたが、特にヴォーカルの艶っぽさや厚みといったところで差が出ます。
音質の変化についても良い方向でエージングできてきます。
はじめはポップなどのきつめの録音のものでは少しエッジにきつさが見られることがありますが、これは少しずつ取れていきます。
つまり基本的に高精細で録音に忠実な再現力をもっているので、そうした元々がきつい録音エンジニアリングのものはそのまま再現されるというわけです。逆に言うと良録音されているものではまさに一クラス上のリスニングをもたらしてくれます。
こう書くとジャズとかクラシック向きかと思うかもしれませんが、インパクトと切れが良いのでロックでも音の躍動感をよく伝えます。
低域は単に盛り上がってるのではなく、しっかりとした重みが乗って切れがあります。量感は十分ありますが誇張は少ないので、ズンズンいうのがいい人はヘッドホンの方で工夫するといいでしょう。
HiFiManはドライというわけではないけれども、iMod+SR71Aで聴くときの心地良い暖かみが欲しくなることもあります。そこでラインアウトからSR71Aにつなぐというのも少しだけやってみました。
こうすると全体的にかさばるということもあるけど、音の鮮度感がやや損なわれるようにも思えます。そうした意味でもプレーヤーとアンプの一体型というのはケーブルレスという点でも利点があると再認識させてくれます。また、アンプモジュールが変えられるので、将来的にそれも楽しみです。
HiFiという名の通りの高再現性というほかにHM801の音の特徴をひとことでいうと「豊かさ」と言えるでしょう。もう少し言うならば、色彩感とか音の陰影というようにオーディオの世界の言葉が浮かびます。あるいはワインの世界の表現も合うでしょう。
そうしたクラス上の上質感を味わうことができます。
いままではこうした高再現性がある音を得るためにはiPod/iModベースのiPod内臓DACでは不足で、光を使って外部DACを使うD10など使ってました。HifiMan 801は一つのパッケージでその辺とはひとクラス上の豊かで時折ハッとする世界をもたらします。
たとえばクラシック畑の大萩康司のギター曲"アクアレル"では、エリックモングレインなどのように派手さはなく、地味でシンプルでたんたんと演奏されて行きます。
しかしHifiManで聴くと細かいギターワークと、背景に聞こえる様々な環境音、きしみ、すれ、息遣いなど情報の多さが演奏者がいるかのように思えます。
演奏者の精神が細部に宿るとすると、それを描き出すHiFi再生機器は必要な要素です。HifiManはそれをポータブルで感じさせてくれます。
忙しくて帰宅してからも音楽を聴く余裕が取れないという時、電車の通勤リスニングも無駄にはならない時間です。これを充実させてくれるのはありがたいことです。
こうした領域で語れるというのはポータブルオーディオもまた一歩進歩したということになるでしょう。
Music TO GO!
2009年09月27日
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