Music TO GO!

2009年07月12日

大人の科学 Vol24 4bitマイコン GMC-4

学研の大人の科学はいつも面白そうと思いながらも買ってなかったんですが、今回初めて買いました。付録は4bitマイコンで、GMC-4と言います。
わたしも旧通産省時代のものですが、情報処理技術者の国家資格を持っています。メインフレームからUNIXワークステーション、パソコンまでいろいろいじってきましたが、なんといってもコンピューターの基本はこの形、ワンボード・マイコンです。

gmc3.jpg

GMC-4は組み立てキットですが、簡単なネジ留めのみで作ることができます。単三が3つでこんなにコンパクトです。サイズ的に言うとiPhoneとほぼ同じくらいのモバイル機です(笑)。ただし今と昔では集積率は天文学的な差があります。

gmc2.jpg     gmc4.jpg

世界最初のプロセッサは4bitの4004でトランジスター数は2300個でしたが、いまのCore i7は64bitの処理ができて7億3100万個のトランジスター数です。この何ビットというのはOSの売り文句からアドレス幅とも思われていますが、本来はプロセッサの加算器の大きさで示されます。ただ現在はあまり厳密なものではありません。

4bitとは二進数で4桁あるということです。つまり0000から1111まで表現できるので16通りの表現ができます。16進数で言うと0からFまでです。
GMC-4ではプログラムは今の高級言語で書いている人からは想像できない機械語を16進数で直接書き込みます。B 1 6 4 E B ..という感じですね。アセンブラさえありません。たとえば6(0110)ならばAレジスタ(加算器)にYレジスタ(アドレスポインタ)で示されるアドレスの内容を加算して、桁があふれたらフラグを立てます。次の命令がF(1111)であればそのフラグによって条件分岐します。
まあこんなことが延々と書かれていくのが生の機械が理解するプログラムです。
演算命令には関数計算はおろか引き算さえありません。引き算は補数という考えを導入することで加算で代用できます。加算と論理演算のみのピュアでシンプルな世界です。

GMC-4は実際は現在4bitプロセッサーが入手困難なため、実際は8bitチップです。これは命令を見ると分かりますが、プログラムカウンタとアドレッシングが8bitです。このためより広いアドレス空間を使えますが、厳密に言うと4bitっぽい動作をするプロセッサということになりますね。

8bitはバイトですが、4bitはニブルという単位になります。ただし命令単位は1ワードとも呼びます。このワードというのは狭い意味では16bit(8bitが二個)のことですが、計算処理の一単位を広くワードとも言います。
オーディオでワードシンクというのがありますが、これはCDのPCMデータは16bitの連続なので、16bit(つまりワード)を一単位としてシンクさせるということです。S/PDIFやAES/EBUでも16bit単位でデータは転送されます。仮に24bitであってもワードといってさしつかえありません。

GMC-4の付録プログラムにLEDをアナログ制御するのにPWM(パルス幅変調)で明るさを変えるというものがあります。
これを見るとデジタルの世界ではアナログ的に機器を制御するのにオンとオフの時間比を変えるというPWMという考え方が適合するというのが分かると思います。
この辺はD級のデジタルアンプの理解にも通じるでしょう。

最近オーディオでもゼロイチという言葉がよく使われますが、実際にゼロとイチの世界はどういうものかということをこの学研の科学の付録で学んでみるというのも良いかもしれませんね。


posted by ささき at 00:20 | TrackBack(0) | ○ PCオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック