Headroom Desktop BalancedとCardDeluxeのデジタルアウトの組み合わせがうまくいったので、電源タップをAudioPrismのものに換えるのと同時にデジタルケーブルも換えてみることにしました。
Headroom Desktop balancedのDACは同軸でも光でも受けることができますが、PCシステムについてはノイズを受けにくく電気的にDACとトラポを切り放せる光ケーブルが有利ではないかと考えて、少し詰めてみることにしました。
もうひとつの理由として、光ケーブルというとどちらかというと低価格のデジタル接続の代名詞的なものですが、あえてそこを少し掘り下げてみたかったというのもあります。
Headroom Desktop balancedを導入した当初はSAECのOpc-M1を使っていましたが、いまはSAECのOpc-X1で落ち着いています。そこにいたる遍歴を主に書いていきたいと思います。
1.光 vs 光 (Part1) - SAEC Opc-M1 vs Audio Quest Optilink5
しかし探してみると光デジタルケーブルというのはあまり選択肢は豊富ではありません。またOpt-M1はプラスチック系の新素材なので、次は石英がほしかったというのもあります。
そこを勘案していくと、評価の高いAudioQuestのOptilink 5が候補としてでてきます。
Optilink5
光ケーブルの場合はなるべく曲げないで設置した方がよく、特に石英のものはそうだといいますが、Optilink5はかなり柔軟で設置の自由さがあると思います。
音質的にはやはりすばらしく差は驚くほどです。それまで使っていたSAECのOpt-M1と比べてみると、透き通るようにクリアで、透明感の向上ははっきりわかります。かつ音場も広がり、驚くほどの見通しの良さがわかります。
背景がぐっと底無しの谷のように深く感じられ、ひとつひとつの音は本当に小さな音まで明瞭なので情報量の多さ、解像力の高さが際だちます。
声楽曲などでは唖然とするような空間表現があります。ここで言っているのは声の質感の話ではなく、声と声との間のことです。空間であるはずの黒の中にグラデーションがあるというのがわかります。
もうひとつの特徴はかなりハイスピードでキレが鋭いと言うことです。わたしもよくタイトで締まったという言葉を使いますが、これはほんとに贅肉がまったくないという感じてす。さきの情報量、質感表現の高さとあいまって、金属の響きはとてもリアルです。
Optilink5のひとつおもしろい点は、高域の透明感と切れの良さを考えると音がきついのではないかと考えてしまうんですが、実際にきつめの曲で比べてみるとOpt-M1よりもサ行のきつさは少ないということに驚きます。
またOptilink5は音の傾向で言うとクラシック、ジャズ向けと思われるかしれませんが、実のところロックにとてもあってます。音が整理されてうるさくないからでしょうか。安価なケーブルだと騒々しい荒い音になりがちですが、この辺は真に優れたケーブルの証でもあるでしょう。より緻密な音表現とともにすごみを感じさせます。
また固有の色があまりつかないので、ニュートラルという点ではよいんですが、全体にドライで軽めにも感じるので、音色的に好き嫌いはあるかもしれません。同じ光ケーブルであるSAECに比較してもそう感じます。
しかし、Optilink5はニュートラルだから自然かと言われると、ここまでくると全体的な印象はやや非現実的な気もします。一つの音を異常なくらい明晰に描くのでスタジオでモニタするにはとても有効なツールではあるかもしれませんが、趣味の音楽用にはちょっと考えるようなところもあります。
ちなみにBenchmaark DAC1でも同じ環境で比較してみましたが、ほぼ同じ印象です(このときはATH-W2002を使っています)。ただDAC性能自体はさすがにDAC1の方がDesktop balncedの内蔵タイプより良いのでOptilinkの情報量の豊かさはこちらの方が体感できるかもしれません。音の広がりに関してはさすがにバランスの効果が出るのかDesktop balancedの方がよくわかります。
2. 光 vs 同軸 - Optilink5 vs Gold Starlight
次にDesktop BalancedのDACの入力にいま同軸SPDIFデジタルケーブルでiTransportやDLIIIに使っている、WireWorldの代表的なデジタルケーブルであるGold Starlightを接続してみました。入力切り替えスイッチで切り替えながら、光と同軸がどのように違うのかを試してみるということです。
しかし比較してみるとシャープなことで定評のあるGold Starlightと比較してもクリアな透明感、ハイスピードな切れの良さはOptilink5の方が上回るのはすごいと言えます。音の輪郭がOptilink5の方がはっきりと鮮明で明確であり、あいまいさがありません。背景がびしっと黒く、解像力、情報量と言ったところもOptilink5は上回るように思います。光ケーブルが単に安価なだけではないことを証明してくれます。
Gold Starlightは定価ベースではOptilink5よりも高価です。同軸RCAのデジタルケーブルではさらに上はいくらでもありますので、そういう意味ではこの価格でハイエンドという光デジタルケーブルはお得と言えるかもしれません。
ただ自然さやなめらかさ、また重み厚みといった音楽的ということを考えると同軸の方が良いと感じます。
もちろん光でも個性の差はあると思いますが一般的に言うとそうした違いはあると思います。
このシステムの性格を考えると光ケーブルの方が向いていると思います。
自然で音の厚み重みのある同軸SPDIFと、ハイスピードで歯切れの良い明るく軽めの光TOSという性格分けができると思いますが、PCシステムはHDトランスポートとして低ジッターの歯切れの良い音が望めるのでそれを生かせる光、CDPを中心としたオーディオシステムには音楽製の高いシステムをくむので同軸が向いているように思います。
どちらも一長一短ありますが、一般的にはちょっとありえないような音の新鮮な驚きを得たいときにはOptilink5で、ふつうに音楽を聴きたいときは同軸がよいと思います。
3 光 vs 光 (Part2) SAEC Opc-Z1
次に購入したのはこれです。
Optilink5が性能は高いけれども、少なくともこの組み合わせにおいてはあまりに強力すぎて少々聴きやすいとは言えないので、聴きやすいと思ったSAEC Opc-M1の上位機種であるZ1を買いました。
Z1もかなり人気機種で、雑誌などの評価も高いケーブルです。Fiber Indexなのでこれは石英ではなくプラスチック系の素材ということになります。
紫:M1 ゴールド:Z1
M1よりはひとまわりクリアでふたまわりはシャープで切れがいいという感じです。
Optilink5に比べると恐ろしいまでの透明感はなく、ふつうに良い透明感という感じで、音場の広がりがやや物足りないという感じです。
ただZ1でも十分な光らしいクリアさと切れ、そして聴き易さを兼ね備えいます
ちょっと斬新な驚きを得たいときはOptilink5、普通に聞きたいときはZ1もなかなかよい選択です。
4 光 vs 光 (Part3) SAEC OPC-X1
いま落ち着いているのはこれです。
Z1がOptilink5に比べて透明感でやや劣るものがあったので、これはやはり石英のものがほしくなりました。
また石英というだけではなく、X1が特徴的なのは先端の研磨がかなり精緻であるのが特徴で、その点でジッターを大きく減らすことができるそうです。(これはZ1も同じです)
OPC-X1
Z1に比べると透き通るようなクリアさがあり、Optilink5にかなり近くなります。やはり抜けの良いこのクリアさは石英独特のものがあると思います。
さらにドスの利いた低域の迫力を感じます。低いところは量感だけではなく、切れがよくタイトで細やかさもかなり際立ちます。
またエッジの立ち方がシャープでメリハリがくっきりとした光接続ならでは切れのよさがあります。
X1は全体にバランスが取れていて、Optilink5とZ1の中間的な存在です。Z1よりもやはり一クラス上だと思います。
あくまで音のシャープさがほしいときはOptilink5で、普通に音楽を聴きたいときはX1が良いように思います
5. 考察 - 石英 vs プラスチック
Sys conceptのケーブルも含めて、やはりステップインデックスと呼ばれているプラスチック系と、石英は音は違うと思います。
やはり石英のほうが透き通るような、とか、エッジが立つような、という点では上です。
ただしZ1なんかは音のエッジの明瞭さではかなり善戦しています。ステップインデックスの方が曲げやすいというのはかならずしもいえないかもしれません。
6. 光接続とは
どれかひとつお勧めというと一番はやはりX1ですが、Z1も価格の割にはよいと思います。
ありえないような凄さを求めるならばOptilink5でしょう。それとポータブルではよく書いているSys-Conceptも1mケーブルを試しに買ってみましたが、コストパフォーマンスを求めるならばお勧めです。
光というとメディア変換のために性能が同軸より劣るといわれていますし、そのためもあってか、安価な機材に使われがちでした。そのため性能も一歩低く見られがちです。しかしもう少し見直されてもよいのではないかと思います。
特にPCオーディオと光というのはなかなか性格的に見ても相性のよい組み合わせといえるように思えます。
7. 同軸 vs 同軸 Gold starlight vs アコリバDSIX
光ケーブルというテーマから外れますが、同軸デジタルケーブルの試行です。
それまではわりとメジャーなWireworldのGold starlightを使用していたのですが、思うところあってアコリバのDSIX1.0を試してみました。
DSIXはケーブルなのに途中に電気回路があり電源を必要とします。これはこの部分にアイソレーショントランスのような働きをする回路が入っていて、ソースからのノイズを切り離すことができるのです。具体的には電流の変動と電圧の変動のうち、電流の変動を打ち消すというものです。信号は電圧変化ですが、ノイズは電流の変化になるからです。
思うところあって、というのは光ケーブルの切れのよさがある意味で電気的な接続がない故であるというのならば、このノイズを除去することでジッターを減らすという考えのDSIXも同様にPC環境ではうまく働くのではないかと思ったからです。
DSIX
結果的にはなかなか効果的で、定価はGold starlightよりも安いDSIXは音の切れのよさという点では上回る結果を得ることができました。
2009年の春のヘッドホン祭ではこのDSIXをiTransportに使用しました。
Music TO GO!
2009年06月17日
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