Jerry Harvey氏のJH-13についてはわたしも気になるので何点か本人とJH Audioに問い合わせました。またHead-Fiでもその後いくつかコメントが出ているのでその辺も含めて少しまとめてみました。
ちなみにJH Audioはすんごいスピードで返信が帰ってきます。Jerryさんは返信も早いけど、びっちりと細かく返信をくれるので驚きました。こういうところはたいてい信頼できます。
まず、6ドライバーというスペックが目を引きますが、これは2個ずつペアになって、3Way(High/Mid/Low)をそれぞれ担当します。6ドライバーでも6wayではありません。
これは二つ大きな利点があります。
まず一つめは歪み(harmonic distortion)を減らすことができるということです。これはなぜかというと、ある領域をひとつのドライバーが担当するのに対して、二つのドライバーで担当すると同じ音圧(spl)を得るためにそれぞれのドライバーは半分の仕事ですみます。つまり無理をしなくてもよいので、ゆがまないというわけです。(オーディオ的にはよりHeadroomを稼げるといいます)
次は高域特性を改善できるということです。
よくバランスド・アーマチュアドライバーは低音が弱いとは言われます。SE115のところで書いたように、このために2Way化したりするわけですが、実はバランスド・アーマチュアは低音だけではなく、高音も弱いのです。
これは意外に思うかもしれませんが、たとえばUE11にしろ4つもドライバーがありますが、スペックを見てもらうとわかるようにこのようなマルチウエイタイプでも上は16kHzまでしか出ません。こうしたクラス以外の多くは8kHzまできちんと出ているかもあやしいそうです。
正しく言うとこれは16kHzまでしか出ないということではなく、16kHz付近までだいたいフラットにいけるということです。その上も出ますが、減衰してしまいます。
それに対してJH-13はバランスド・アーマチュア機としては初めて20kHzまできちんと再生できるという点で画期的ということです。この辺がHead-Fiあたりで盛り上がっているところです。
普通の人の可聴限界は実音は16kHz程度ですが、20kHzまでフラットに伸びるということは倍音再生などの点で有利に働きます。22kHz入っている非圧縮の音源でも、16kHz以降が減衰している再生機ではそれを生かしきれないとはいえるかもしれません。つまりバランスド・アーマチュアは音は細かくてよいけど、なんとなく音が薄かったりダイナミック機のような厚みにかけていたりするのはこの辺も関係するのかもしれません。またJH-13の試聴レポートでは音場の広がり感がとてもいいということだったんですが、ここも倍音再生の利点かもしれません。
サンプル機ではユニバーサルタイプのためこの辺の調整がうまくできてなかったので、高域がきついというコメントがあったようです。これは想定より+6dB大きかったそうです。
もしこのコンセプトが気に入らないときは出来上がったカスタム機で各帯域で-3dBまで調整可能ということですが、それ以上変えるとバランスが狂うので薦めないとのこと。(クロスオーバーでやるんでしょうね)
それと耳型の採り方ですが、ふつうWestoneもSleekもUEの方式でいいんですが、JH Audioの採り方を読むと一点気になることが書いてあります。それはシリコンの終端(耳穴にストッパーとしてつめるもの)はフォーム(スポンジ)ではなく、コットンにしてくれということです。
これはフォームだとくっついて壊れやすいというのようです。そこでコットンは必須か、と問い合わせて、わたしがUE11で採った耳型の写真を送って、これでいいかと聞いてみたところ、これでいいとあっさり言われました。というわけで、結局いままでと同じでよいということになりそうです。
けっこうまじめになっているのは6/30までのオーダーは$999というのを耳にしたせいです(^^
あとはだれかインプレを書いてくれないと。
しかし、今年はなんかほしいものが多くて困るんですけど。。
ほしいものは経済状況に反比例する、というマーフィーの法則が作れそうです(笑)
Music TO GO!
2009年06月08日
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