Music TO GO!

2009年04月25日

WADIA iTransport 170i ASi Tek mod

itrans2.jpg

1. iTransport ASi Tek modとは

最近はいろいろとやることも多くてiTransportのほうにはあまり手がまわりませんでしたが、わたしのiTransportはアメリカのASi Tekというところで改造を行っています。
アメリカにはこうしたオーディオ改造を行うガレージメーカーがたくさんあり、ASi Tekというところもそのひとつです。いまでは日本でもiTransportの改造を請け負うところはありますが、ここは早くからiTransportの改造を受けていたことでも知られています。
ASi Tekのページはこちらです。
http://www.asi-tek.com/wadia2.html

わたしは昨年の秋のヘッドホンショウの少し前に頼んだんですが、ショウにはぎりぎり前に届いてあまりエージングもできなかったので本領は発揮できなかったかもしれません。またショウに間に合わせるためにあまりストック(無改造のノーマル)状態では聴きませんでした。
しかしPCトランスポートの比較用にと聞き比べたところiTransport改のよさがまた認識できた感じです。このASi Tek modはやはりかなり高性能なトランスポートに仕上がっていると思います。これはASi TekのDoungさんのコメントですが、わたしが頼んだときにたまたま改造用に来ていた別の人のEstotericのX-01 D2の改造前のものと聞き比べしたら、このiTransport Modの楽勝ということでした。

2. ASi Tek modのオプション

iTransport ASi Tek modにはいくつかのオプションがありますが、私が指定したのは以下の二つです。はじめのパックはいくつかの改造がセットになっています。

* 基本の改造パック

電源アダプターを高性能なものに変更します。これは100V対応で、インレットが3穴になりケーブル交換が可能です。
レギュレーターなどのパーツを高品質のものに変更します。
内部に木製のダンパーを設置します。
RCAコネクタを高品質のものに換装(オプションでBNCも受けてくれますが汎用性を取ってわたしはRCAを頼みました)

* クロックをDEXA Neutron Starへ換装

これが改造の目玉です。iTransportのもともと持っていたクロックをより高精度のものに換えるというものです。
後段のDACのフロントエンドでジッターの除去を行うにしても、やはり送り出しのトランスポートの性能が大きくシステムの性能を左右するというのがなんとなくわかってきたのでお願いしました。
Neutron StarはDEXAという会社が出している高精度マスタークロックD-Clockの新しいハイエンドバージョンでこちらにリンクがあります。
http://www.newclassd.com/index.php?page=36

精度は+/- 0.2ppmで、エソテリックのクロックジェネレーターのG-03が+/- 0.1ppmですから推して知るべしというところです。またクロックの場合は精度だけではなく温度特性とか安定性というところが重要になってきますが、D-Clockはこの点でも定評があります。
このASi Tekという会社はiTransportの改造というよりも、オーディオ機器にDEXA系のマスタークロックを換装するのに強みを持つプロというところのようです。

もともとのiTansport本体よりクロックのほうに金がかかりましたが、まさに海苔弁に豪華漬物セットをつける気分です(笑)。まあ車を改造する人なんかは改造費がベースよりも高くなるということはよくあると思いますので、似たようなものかもしれませんね。
WADIA iTransportはアナウンスされたGOLDMUNDのiEIDOS(アナウンスされただけですが)に比べるとやや大きめですが、かえってこうしたmodをする余地があるということにもなります。

基本的に電源周りとかクロックの換装はあまり副作用がなく、全般的な向上が期待できます。
他にもDACを内蔵させたり、バッテリーパックを電源にしたりというオプションもあります。DAC内蔵は便利かなあとも思いますが、WADIAがiTransportと対になるDACをアナウンスしているので、こちらをNeutron Starで改造してもらおうかと。

3. iTransport ASi tek modを使う

外観はRCAコネクタ以外はストックと区別つきません。
いまは別に書いたHeadroomのバランスヘッドホンアンプであるDesktop balancedと組み合わせてDACに直で入れていますが、この組み合わせもなかなか秀逸です。デジタルケーブルはWireworldのGold Starlightを使っています。これも切れ味に定評のあるデジタルケーブルの代表的なものです。

iTransportの優れたところはやはりSNの高さと音の引き締まったコントロールにあると思います。
ASi Tek modでは音は先鋭さを増してぞくぞくするような凄みのようなものが加わります。そして音に重み厚さが乗り、かつ細かな表現力や立体感も明確です。
ただクロックなどが安定するのに時間がかかるようではあります。

Edition7 Balancedで聴いたときの低域の再現力はすばらしいものです。よく試聴でも使われるというフラメンコのばしっとたたきつけるようなタップのインパクトと切れの良さがすごいのには驚きます。
分厚く力強い音は電源改良の効果かもしれません。また音の高い再現力はクロックの性能によるのでしょう。

ただ高級なトランスポートに比べるとやはり限界というのはあるかもしれません。
低価格機材にクロック換装とか電源強化をする改造はいうなればカローラにツインターボをつけブーストアップして速くするようなものです。それはそれなりに速くなるけれどもやはり速くなれば他のところにも負担がかかり、トータルには足回りや剛性も含めたシャーシの再設計がなければより上は望めないということにはなるでしょう。
ただiTransportの場合はメモリートランスポートという素性がこうしたチューンには向いているといえるとは思います。


LINN DSのようなストリーミング、最近流行ってきたUSBトランスポートなどポストCDプレーヤーの流れはどこにいきつくのか分かりませんが、これもまたひとつのカタチ、進化の枝ではあると思います。
どの進化の枝が残って子孫を反映させるのかは、ちょっと興味のあるところです。
posted by ささき at 18:33 | TrackBack(0) | __→ WADIA iTransport | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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