わたしがPCをベースにしてオーディオを展開するのに考えているのは、単にPCの周辺機器というよりもきちんとしたサブシステムを構築するようなものにしたいということです。ハイサンプリングや配信音源を聞くにしてもそれなりの性能が必要になるでしょう。
ひとつの手としてはLINN DSのようなものをブリッジにしてメインのオーディオシステムとつなぐということもできますし、PCにしても静音に特化したトランスポートとして組む手もあります。ただ、ここではあくまでいまメインで使用しているPCを中心に考えています。
Headroom Desktop balanced
1. コンパクトなPCシステム向けバランスアンプ
そうしたPCを軸にしたサブシステムを構築しようとすると、スピーカーシステムだけではなくもちろんヘッドホンアンプもそれなりのものがほしいところです。
CardDeluxeのデジタルアウト品質とDAC付きアンプの組み合わせが良いように思えたので、ここはやはりバランスヘッドホンで試したくなりました。PCとCardDeluxeをトランスポートとして使いたいとすると、デジタルを入力として取るDACがついたアンプであることが望ましいわけです。
そうしたPCシステムと組み合わせて違和感のない小型で、DAC一体型で、バランスという条件に沿うものとしてはHeadroomのDesktop Balancedが思いつきます。
Headroom Desktop balancedはコンパクトな匡体にバランスヘッドホン用のアンプが入っていてさらにDACを内蔵しています。コンパクトなのでPCのデジタルアウトと組み合わせるには好適です。
iPodとの大きさ比較
前から興味があったので、Headfiのトレード欄で専用電源のDPS込みで入手しました。むこうの対応もよく、とても気持ちのよい取引でした。
先に書いたYAMAHA YH-5Mもそうですが、これも実は昨年に買ったものです。そういう意味ではもうかなり使い込んではいます。なかなか最近は忙しくて記事としてまとめている間がつくれないのですが、振り返る形で少しまとめていきます。
以前のDesktop Balancedの記事カテゴリーはこちらです。
http://vaiopocket.seesaa.net/category/6394435-1.html
2. Desktop Balancedについて
Headroomのアンプはモジュール方式になっていて、オプションでアップグレードが可能です。
ただしDesktop balancedのアップグレードは発売当初はオプションだったんですが、現在はHomeモジュールとHome DACが標準になっています、オプションはステップアッテネーターだけです。そのため価格は標準で$1500とやや高めに設定されています。
そのかわり実質的にHeadroomのHOMEクラスと同等であり、バランスDAC込みであるということを考えるとお得であるとは言えると思います。さすがにMAXモジュールは熱がこもりすぎるためにDesktopの小型の筐体では設定できないということです。実際にこのHOMEモジュールでも使っているとそれなりに熱を持ちます。デジタルは別として、熱くなるアンプのほうががんばって仕事しているという感じで好感は持てますね。
前にも書きましたが、現在のHeadroomのアンプは前段がオペアンプで後段はダイアモンドバッファで構成されています。
また電源は通常の外付け電源より強化されたAstorodyneという外付け電源が付属してきます。これはバランスアンプがふつうのアンプよりも電力を多く消費するためでしょう。このAstrodyneはオプションで他のアンプでも注文できるようです。Astrodyneはユニバーサルタイプなので国別の電圧設定はありません。また、専用電源であるDPSを加えることでさらに性能を向上できます。DPSはUS電圧仕様ですが、日本の環境でも少なくともうちではAstorodyneもDPSも良好に動作しています。
アメリカではメーカー固有の音の性格をハウス・サウンドと言ったりします。サミュエルズさんアンプなんかはその典型といえます。そうした点ではHeadroomのアンプも音傾向が統一されていて独自のハウスサウンドがあると思います。
Headroomのハウスサウンドというと、力強くハイスピードで解像力も高いという感じでしょうか。HeadroomのPortableとかHomeではこうした傾向であると思います。Desktop balancedもその音傾向を継承していて、パワフルでハイスピード、メリハリのあるサウンドで、解像感もかなり高く感じられます。反面で以前にRudiのNX33と比較した6moonsのレビューにあったようにオーディオ的な柔らかさは一歩譲るところはあるかもしれません。ただし冷たいとか無機的と言うわけではなく、適度に聴きやすくはあります。あまり真空管的な極度な柔らかさや暖かみというわけではないということです。
特にこのDesktop balancedでは、音の鮮度感というかしゃきしゃきとした音の生々しさが顕著で、音がなまったりもそっとしている感じがありません。これは余分なケーブルなどがないDACとアンプが一体化したメリットも感じるところです。これはHeadroomハウスサウンドの音傾向的にもマッチしていると思いますし、別に書きますが光ケーブルの音傾向とよく合うようです。
Edition7 Balanced
3.Desktop BalancedとCardDeluxe
Desktop BalancedはUSB、同軸デジタル、光TOSと豊富なデジタル入力が用意されています。
そこからCardDeluxeとは光デジタルでつなぎます。光を選択したのはこのDesktop Balancedの音傾向を考えるに柔らかめの同軸よりはメリハリのはっきりとした光のほうがよい組み合わせだということと、PCで使うという点でケーブルが電気的ノイズの干渉をうけない、PC(トラポ)とDACを電気的に切り離せるという利点があると思ったからです。
Desktop balancedの背面入力端子
鳴らして見るとやはり思ったようにCardDeluxeのデジタルアウトとの組み合わせはすばらしいものです。
鮮度感・解像感がすばらしく高く、わたしのバランス化したEdition7と組み合わせるとありえないような音の世界を作り出します。それまでPC上で使っていたiHA-1 v2とW2002とはまるで別次元の音という感じです。
たしかに本来スタジオ向けのCardDeluxeとHeadroomの音傾向を考えると、ある意味ベクトルがそろっているとは言えるとおもいます。
またハードディスク・トランスポートでもあるPCとの組み合わせではこうした明瞭感や解像感というものに焦点をあてた「音の顕微鏡」的な音傾向の方がむしろ向いているとは思います。PCだと音がきつめになりやすいから真空管アンプを組み合わせる、というのはひとつにはあるかもしれませんが、いずれにせよHeadroom+PCオーディオでも特にきついとは感じません。ただし電源などのクリーン化はやっておいたほうがよいでしょう。
私の場合はメインのLINNのオーディオセットの方は音楽的な方向性の機材で組んでいるので、振り分けというのはうまくできたように思います。
Desktop balancedとDPS
4.Desktop Balancedと専用電源(DPS)
またDesktop balancedではよく出てくるFAQみたいなものですが、専用電源であるDPSのありなしでもかなり違いはあると思います。
比べるとACアダプターであるAstorodyneは荒く、反面でパワフルに感じもしますが少しきついところがあります。
DPSだと音数・情報量が多く、よりひとつの音が滑らかでかつ明瞭に鳴ります。また立体感は信じられないほどあります。そのためDPSからAstorodyneに戻すとやや魔法が解けた感じがします。前に比べたiHA-1よりも専用電源のあるなしは差が大きいように思えます。
ただAstorodyneでもかなり満足は出来ると思います。特にロック系はそうかもしれません。そのためとりあえずDPSなしで買っておくという手はあります。
DPSとのケーブルは少し長いのでセッティングの余地があります。そのためすぐ上にスタックして置く必要はありません。DPSは6つの出力ポートがあり、DPSひとつで複数のアンプに給電できます。
Astorodyne
DPS(専用電源)とケーブル、背面
5.Desktop Balancedと光ケーブル
さて、こうなると本気になってくるので電源タップもAudio Prismのものと交換してかなりまじめに取り組みたくなります。
そうすると次はケーブルです。光接続というとどちらかというとオーディオでは傍流ですが、石英とプラスチック系素材とか、同軸との違いとか、この辺はまたいろいろとありますので、光ケーブルの再考ということで項を改めて書いてみたいと思います。
Music TO GO!
2009年04月20日
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