Music TO GO!

2009年01月21日

Prikosnovenie - 妖精のレーベル

わたしも様々なものを海外通販していますが、それは日本では手に入りにくい魅力的なものが世界にはたくさんあるからです。CDというか、音楽も例外ではありません。前にアメリカのProjektという、あの4AD直系のようなレーベルを紹介しましたが、最近気に入っているのは今回紹介するフランスのPrikosnovenieというレーベルです。一つ前に書いたCecil Corbelもここで紹介されていたアーティストです。
いままではProjektや国内のXavierレコードから購入するときにいっしょに買っていたのですが、今回Prikosnovenieから直で取り寄せてみました。

Prikosnovenieのホームページ(英語とフランス語があります)
http://www.prikosnovenie.com/inde.shtml

prikos1.jpg     prikos2.jpg

Prikosnovenieの特徴はこの写真でもお分かりのように、ジャケットに描かれた妖精のイラストです。またレーベルの音の傾向もそうしたイラストからうかがい知れます。ジャケットもたいへん凝ったものが多く、digipack仕様で中が絵本のようになっているもの、カードが封入されているものも多数あります。
上の写真でアルバムと一緒に写っている手前のカードはタリスマン(護符)カードでおまけでもらったものです。アメリカだとよくマグネットをくれますが、こちらは欧州らしいきれいなカードです。

Prikosnovenieはフランスを拠点にしていますが、取り扱うアーティストはヨーロッパの各地にわたっています。
今回購入した中からいくつか紹介してみます。アーチスト名の下に挙げたリンクはホームページの左のメニューから入れるページのダイレクトリンクです。試聴もたくさん可能です。

Caprice
http://www.prikosnovenie.com/groupes/capricek.html

Capriceはいままでに何曲か聞いていて気にいっていたロシアのグループです。ネオクラシカルとかベヴンリーヴォイスとか言われていますが、レーベルのキーである妖精のイメージそのままのファンタジックなアコースティックサウンドを聴かせてくれます。もともとトールキンの世界をイメージした音楽世界を意識しているということです。
最新の"Kywitt! Kywitt!"と少し前の"Sister Simplicity"というアルバムを買いました。このバンドもかなり独特の音世界を持っています。ネオクラシカルと言うジャンルで説明されますが、ルネッサンス音楽とかトラッドあたりの影響も感じられます。
"Kywitt! Kywitt!"の試聴曲にあるBlacksmithなんかは英国トラッドロックのスティーライスパンのファーストにもはいっていた同名の曲と同じルーツだと思いますが、ロシアのバンドでトラッド由来というのも興味深いものです。ケルト文化圏も昔はずいぶん広かったので、この辺も調べてみるといろいろと面白そうです。
"Sister Simplicity"はバイロンなどイギリスの詩人の詩の世界を音楽化したもので、"Kywitt! Kywitt!"のようないたずらっぽい妖精の世界とは少し異なって落ち着いたいかにもネオクラシカルという室内楽の世界が展開されます。
ロシアのアーティストというと日本ではオリガ(Origa)なんかがよく知られています。ロシアもトラッドと並んで日本人の琴線にひびく音楽ですので、もっと広くたくさんのアーティストが知られて欲しいものです。


Karin Hogheim
http://www.prikosnovenie.com/groupes/karink.html

Karin HogheimはスウェーデンのGotlandという古い地方の島に住むアーティストです。
北欧の古い言語を使って歌うという点に特徴があります。紹介文にはリサ・ジェラルド(ex. Dead Can Dance)とアルヴォ・ペルトを混ぜたような、とありますが、どちらかというとベルトよりもリサ・ジェラルドとメリディアス・モンクを混ぜたような、というと知っている人はピンと来るかもしれません。実際に楽器も演奏しますが、歌そのものに重点が置いてあります。
古い地方の伝統的な音楽というと代表的なものに独特の発声法がありますが、Karin Hogheimもそうした傾向を少し感じさせる特徴的な声の魅力を感じます。シンプルで力強い声の力があります。

Corde Oblique
http://www.prikosnovenie.com/groupes/corde_obliquek.html

Corde Obliqueはイタリアのバンドで、美しいヴォーカルとアコースティックギターとリュートを中心としたアンサンブルです。古楽や地中海のフォークミュージックを思わせる伝統的、土俗的な香りも感じさせますが、単におとなしいものではなくモダンなダイナミズムがあり、複雑な曲構成が魅力です。試聴では特に二曲目のCantastorieがすばらしいと思います。
イタリアというと陽気なイメージもありますが、少し哀愁を帯びた美しくダイナミックな音の世界があります。


興味をもちましたら、まずFairly Worldというサンブラーが1-4まで出ているのでこれをお勧めします。わたしもここから入門しました。
http://www.prikosnovenie.com/groupes/bellak.html

またホームページの右の方から無料で何曲かフルに入ったMP3がダウンロードできます。
海外通販が苦手な方は国内でこうした輸入ものをたくさん扱っているXavier(ザビエル)レコードさんから購入することが出来ます。
http://www.x-rec.com/

しかしこうしてはるかな国の音楽を聴いても琴線に触れることができるというのはすばらしいことですね。写真や音楽のすばらしいところはそうして真に国境を越えることができるということなのでしょう。
posted by ささき at 21:47 | TrackBack(0) | ○ 音楽 : アルバム随想録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック