DAC1は基本的にはDACですが、モニター用として内蔵ヘッドホンアンプ(HPA-2)がビルドインされています。
Benchmarkのホームページではこれを単体で販売する旨のことが書いてありますし、性能的にもかなり自信をもっているようです。また単に付属品という以上にヘッドホンアンプでのリスニングを前提に設計されてもいるように思えます。
そこでDAC1単体でいくつかのヘッドホンを入れ替えながら聴いてみました。
DAC1単体と相性のよいヘッドホンはまずGrado HP-2です。正確なDAC1と正確なHP-2が非常に気持ちがいいくらいの端正な音の世界を提供してくれます。またDAC1の鋭いエッジも適度に緩和され聴きやすくなります。
特にジャズにいいですね。両方ともプロのスタジオ用というシナジーもあるかもしれません。
またDAC1とL-3000もロック・ポップにはよくあいます。L-3000のややあいまいなところがとれてはっきりとしたキャラクターになり躍動感もよく引き出されます。ただしジャズなんかではベースやドラムスの切れの気持ちよさはHP-2との組み合わせに劣ります。
DAC1とEdition7だと両者の個性があいまり少しきつい音になります。そうした面では環境もなるべく音がきつくならないように適切にケーブル選択やノイズ対策またはセッティングがされている必要があると思います。
次にDAC1をDACとしてだけ使用してアナログ出力から他のヘッドホンアンプにつないで見ます。
HD-1Lにつなぐとやや音が膨らむ感じが強調されあまり相性良く感じません。Luxman P-1だとDAC1内蔵ヘッドホンアンプの狭くてこじんまりとした感じから開放されて音の広がりも適当にあります。また内蔵ヘッドホンアンプだとちょっと音が毛羽立ちすぎてうるさく感じる人はP-1をつけると音が少し大人になる感じもあるかもしれません。P-1とは相性がいいですね。
DAC1の高いSNと解像力を生かしてSAC K1000/AKG K1000につなぐのも面白いのですが、これはまた別に書きます。
こうしてみるとDAC1のHPA-2がなかなか高性能なこともあり、単体で使うのと外部アンプにつなぐのでは一長一短あるように思います。
たとえば外部のヘッドホンアンプにつなぐよりもよけいなケーブルが一本ないほうが音の向上に寄与というところもあるでしょう。なにしろDAC1はデジタルのAES/EBUならばほぼジッターフリーですし、アナログのように減衰しませんから伝送に対するロスがほぼゼロということになります。CDPとアンプ直結のようなものですから音の鮮度は抜群です。
実際にちょっともったりしたL-3000でもDAC1単体ならばスピード感をはっきりと感じます。逆にさきに書いたようにP-1などにつなげた方が先鋭さは欠きますが、全体的な音の品質は向上すると感じる人も多いかもしれません。
DAC1のDAC自体は虚飾を廃した音ですが、DAC1内蔵のヘッドホンアンプは単調なものではなくわりと音楽向きだとも感じます。DAC1単体だとちょっと音空間はタイトですけど、こうした鮮度が高い音が生々しくダイレクトに届く感覚はスピーカーにないヘッドホンリスニングの魅力のような気がします。
Music TO GO!
2005年12月22日
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