Music TO GO!

2008年11月03日

YUIN G1 Review

Head-Directからレビュー依頼をもらい送ってもらったYUIN G1のレビューです。

g1b.jpg

Head-Directのホームページはこちらです。

http://head-direct.com/

YUINは中国のメーカーで、PK1、PK2、PK3という高性能イヤホンで知られるようになりました。PK1、PK2についてはこちらの記事をご覧ください。
PK1は150Ωという高いインピーダンスを特徴としていますので、ポータブルアンプが必要になってきます。そのためPK2というローインピーダンスのバージョンも用意されています。PK3はそれらの低価格版です。
G1は同系列のクリップタイプの耳かけ式のイヤホンです。これも同様にハイインピーダンスのG1とローインピーダンスのG2が用意されています。
現在G1はすでに発売されていますが、G2は少し遅れて発売される予定です。

販売はこちらのHead-directのリンクからどうぞ。G1は$150です。
いま気がつきましたけどFiio F3ミニアンプがおまけでついてくるようですね。

http://head-direct.com/product_detail.php?p=35

またG1とPK1の間にはOK1がラインナップとして発売されていて、PK1->OK1->G1という流れで考えるのが音を考える上でひとつのポイントになります。RE1もありますが、これはHead-directブランドのものなので傍流ととらえるべきかもしれません。

1.

G1は以前のような中国風の小箱ではなく、普通の小型の化粧箱に入ってきます。デザインはなかなか現代的で良いと思います。

g1a.jpg      headdirect3.jpg

G1のデザインも現代的でとても優れています。耳かけのクリップの部分は良く見ると半透明の素材でできていて、デザイン上のよいアクセントになっています。ちょうどiMacの半透明素材のようです。

g1c.jpg

ハウジングはアルミの削り出しに見えますが、これは実際は金属ではないようです。ただしヘアラインは印刷ではなく実際に凹凸がありますが、ちょっと変わった処理です。その代りとても軽く出来ていて、締め付けの少なさとともに装着感はとても快適です。

g1d.jpg

実際に装着感はよく考えられていて、適度な締め付け、全体の軽さなどとても快適です。KOSSのKSC35はクリップ部分の作りが荒くて耳にあたったりしますが、これはそうしたことはありません。KSC35よりも装着感は快適だと思います。
またG1のケーブルは反発があるタイプでからみにくくなっているのも現代的なポイントと言えます。

2.

実際にスタイルがKSC35と似ているので、はじめはKSC35と比較する記事を書こうと思っていました。しかし価格をはじめ、二者は似て非なるものと言えます。そのため、比較記事にするのはやめました。
その最たるものは音質です。

まずG1はPK1、RE1、OK1に相当するハイインピーダンスのイヤホンなので、アンプがあったほうが力を発揮できます。
音量という点ではiPodでもそこそこは大きい音を出せますが、これらのハイインピーダンス・イヤホンの実力はそれでは発揮できません。
これらはたしかに鳴りがたいのですが、端的に言うと振動板が動きにくいということは不必要に余分な動きをすることもないですから、送り手のアンプがそれに見合う力があれば、たるみのない正確な研ぎ澄まされた音が期待できます。
ただし一般のiPodやDAPの単体ではそうした鳴らしにくいイヤホンを扱うのは難しく、コンシューマー向けにそうしたイヤホンを出すのは勇気が必要でしょう。そうした意味でこのハイインピーダンス・イヤホンは国産の大メーカーだとまず手を出さないところで、ポータブルアンプを持ち歩くようなマニア向け市場のニッチな製品と言えますし、いまのところYUINの独壇場と言えるでしょう。
ここではXinのSM4やiQubeを使って聞きました。

これを踏まえたG1の音は背景の黒さとそこから浮き上がる楽器の音のコントラストが明確で、鮮明で切れの良い音が聴こえて来ます。
とてもクリアで音の切れや楽器の分離が鋭く、HiFiな音と言えます。アコースティック楽器の響きはかなり豊かでヴォーカルも肉質感が感じられます。

全体に楽器の音色は甘すぎずウオーム過ぎずニュートラルでリアルです。ドライな訳でもありません。
バーンインしてしまうとそうでもありませんが、はじめはちょっと子音がきつめになることがあるのであまりシャープすぎないセットアップがよいかもしれません。

カナルのように密閉されている訳ではないため、音は少し腰が高く感じられますが、低域もこのタイプとしては十分出ているのではないかと思います。コントラバスは切れが良く明瞭です。
ただし低い方に深く沈む感じとか量感はそれほどでもありませんが、逆にあまり低音が強く出過ぎないよさがあるとは言えるかもしれません。

こうした音の特徴はPK1というよりは、いまいっしょにテストしているOK1と似ています。PK1はやはりハイイインピーダンスの明瞭な音ですが、もっとミッド寄りでウォームな感じがあります。
YUINの音の進化についてはこうしたHiFiよりな方向があるのでしょう。


G1の音の特徴はそうした鋭く明瞭音だけではありません。
むしろG1の特徴としてはっきりわかるのは音の広がりの良さです。
これは装着感の軽さとあいまって独特の魅力があり、まるですごく軽い開放型ヘッドホンを乗せているような感じがあります。
はじめはKSC35の教訓から遮音性がないものはだめかなと思っていたんですが、これはかなり特徴的で耳かけ式をうまく音の広がりの良さに結び付けているように思えます。
特徴として耳元にスピーカーがあるように感じる臨場感があります。

ただし電車の中では音漏れするのであまり使えないという点は同タイプのものと同じです。ただ装着感も軽いので家の中で使うのもいいようにも思います。ジョギングやお散歩用にはかなり良いでしょうね。

3.

まとめると特徴は開放的な音空間ときりっと明瞭な音で、デザインも良く音も良いというところでしょうか。
もしスタイルが気に入っているがアンプ常用は好きではない、という人にはG2を待つという手があると思います。ただしはじめに書いたようにFiio E3がついてくるようなので音量的には問題ないでしょう。
なおHeadFiではすでにebayからG2を入手したひとのコメントが載っていますが、これは正規ディーラーむけに出したものではなく、中国国内で少量テスト販売したものがebayに流れたもののようです。Head-directのFangさんはこの辺がしっかりしていて、きちんとしないものは出さないので信頼できます。

はじめはKSC35と比べようかと思ったんですが、比べるまでもないかなと思います。音の傾向も違いますがG1の方がずっと現代的で優れています。またインピーダンスも価格帯も違うので、似て非なる、という感じです。

これはデモ品でよこしたのですが、ちょっと自分用に買い取ろうかとも考えてます。電車で使いにくいというのが難ではありますが、デザインも音も個性的な魅力があるといえます。
posted by ささき at 23:37 | TrackBack(0) | __→ RE-ZERO, RE0, RE1, G1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック