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2008年10月21日

P-51 "Mustang"

また飛行機の話を書きたくなりました。
今回はP-51ムスタングについて書きたいと思います。ムスタングは小型の馬という意味です。いまではマスタングと書く方が多いんですが、やはりムスタングのほうがしっくりきます。

いままで書いてきた飛行機と違い、P-51ムスタングは第二次大戦で活躍したプロペラの戦闘機です。
第二次大戦の傑作機として数えられることも多いP51ですが、はじまりはそれほど注目されてはいませんでした。それが注目されたのはロールスロイスのマーリンエンジンを搭載してからです。
P-51ムスタングは当時の最新の航空技術を活かした機体でもありました。アメリカは戦前からNACA(NASAの前身)を中心として国家単位で大規模な風洞設備を駆使した航空機開発を行っていました。P-51はその中で発見した層流翼をいちはやく採用しています。層流翼は翼厚の最大部分を後退させることで、層流(乱れていない空気の流れ)の部分を広く取り、空気抵抗を減らすことができるという研究です。
またラジエーターの取り付け位置を機体中心に持ってくるとか、排気の排出圧を推力として使うということも空力特性をあげています。

日本の三式戦(飛燕)も似たような特徴を持っていますが、この二機を比べてみると設計者個人の技量というよりも、国家単位での基礎技術力の差というのがそのまま見て取れるように思います。ちなみにP-51の主任設計は当時若く無名だったエドガーシュミード(のちにF-86を設計)で、三式戦は当時すでに日本の重鎮だった土井武夫技師です。三式戦はのちに液冷エンジンがあまりに信頼性が低いので空冷に変更されてやっと実力を発揮しました。
ところでわたしは零戦のエンジンに携わった人のセミナーを聴講したことがあるのですが、太平洋戦争の開戦時には日本はなんと国産では航空エンジンのスパークプラグを生産することはできなかったそうです。そのため米国からプラグをたっぷり買い込んでいたのですが、その米国に戦争をしかけたわけです。こうした話を聞くと開戦の無謀さがよく分かります。

さて、P-51ムスタングの特徴として航続距離が長く、長距離を飛行することができました。そのため欧州線域でも太平洋線域でも爆撃機の護衛として活躍しました。また対地攻撃にもよくつかわれるという万能機でもあります。
現在でもリノエアレースではよくP-51を改造してレーサーとして使われるほどの高性能機ですので、プロペラ機としてはひとつの頂点と言えます。

pit7.jpg      pit2.jpg
"ストレガ"と"ミス・アメリカ"

レシプロエンジンのプロペラ機の最高速度も一時期P-51改造レーサー(上記写真左のストレガ)が持っていたことがあるのですが、現在はF8F改造レーサーに破られています。

ちょっと付け加えると、このころのプロペラ機はいまのジェット機、たとえばSR-71やホーネットなどと比べるとかなり小型です。ただトマホークより小さいかどうかは調べてみないと。。
posted by ささき at 20:51 | TrackBack(0) | __→ RSA P-51、Tomahawk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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