年の瀬に昨年の話をするのもなんですが、これは昨年度のグラミー賞のニューエイジ部門の受賞作品です。
ウインダムヒルというといまではメジャーなレーベルですが、もともとウインダムヒルはこのウイリアム・アッカーマンのギター作品を自費出版するために始められたという話です。そして日本でも天気予報の音楽として有名になったジョージウィンストンのピアノ曲などでメジャーになっていきます。つまりニューエイジというジャンル自体が彼から始まっているわけです。
この作品はそのアッカーマンの過去の作品をいわばセルフカバーして、もともとあったギター以外の楽器を廃してアコギ一本で演奏しているものです。
しかし、この作品はなんと深く豊かなことでしょう。
アッカーマンの作品はもともとギターも素晴らしいのですが、それよりもヴァイオリンや他の楽器とのアンサンブルのアレンジが素晴らしいものでした。それだけに本作品にはいささか懸念があったのですが、まったくの杞憂でした。ギター一本での表現力にただ圧倒され、聴いていてため息がもれます。
さらに30年の月日は音のひとつひとつに重みを与えたようです。もともと若いときの録音も素晴らしいものですが、本作においては間のとり方や弦のはじき方ひとつにより深いものを感じます。55歳にもなるとなにが残せるのか考えるようになる、とあとがきでこのアルバムを製作したことについて語っていますが、たしかにこれは後に残るものとなるでしょう。
ニューエイジというとイージーリスニングといっしょにされることもありますが、このアルバムは軽く聞き流すことは出来ません、聴くものに訴えかけて音の世界に没入させます。そうした積極的な音へのかかわりがニューエイジにはあるとおもいます。
http://www.williamackerman.com/
Music TO GO!
2005年12月18日
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