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2008年09月09日

Audioengine 2 - オーディオファイル向けPCスピーカー

Audioengine 2(A2)はPC用のアクティブスピーカーです。
光沢のある白い表面仕上げとシルクドームのツィーターやケブラーのウーファーが美しいコントラストを見せています。
片手で持てるコンパクトさ、アンプ内蔵という手軽さを持ちながら、本格的な18mm厚のMDFキャビネットに包まれた高い質感を併せ持っています。それでいてUS$199と手軽な価格を実現しています。

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PC用のアクティブスピーカーというとどういうイメージを持つでしょう?
さきの記事のようにPCオーディオの音質向上を図る上でスピーカーはかなめですが、実際のところPC用のアクティブスピーカーという範疇で考えるとなかなか質の良さそうなものがありません。かといってプロ用のパワードモニターを流用するにも、プロ用環境に特化したものをコンシューマ用途に持ち込むにはさまざまな難点があります。

ところがこのAudioengine 2がStereophileでレビューされているのを見てちょっと驚きました。
PC Magzineというならともかく、StereophileでPC用のアクティブスピーカーが取り上げられるという異質感に興味を持ち、ぴんと来たわけです。

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まず小型ながらとても高い質感の外観に目が行きます。PCスピーカーというとおもちゃっぽいものが多い中で、質感の高さとスタイルの良さを併せ持っています。これはA2Wというグロス・ホワイトのタイプですが、他にA2Bというブラックもあります。Audioengine 2の前面はほぼハガキとおなじ大きさです。約1.5Kgという重さで片手で楽に持てます。
むこうではすでに人気があり、You tubeにもたくさん商品紹介があります。下記ビデオの後半の9分くらいからの部分に大きさが分かりやすい紹介があります。(前半は別のもの)
http://jp.youtube.com/watch?v=c14Hmse-V1E&feature=related
まさに片手で楽々取り扱えるというのが分かると思います。

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入力はRCA(アンバランス)とステレオミニが用意されています。
サウンドカードや外部オーディオ機器とはRCAで接続し、iPodなどとはステレオミニで接続できます。

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左側のスピーカー内にこのクラスとしては十分な15W/ch(RMS)のアンプが入っています。
Dual Class AB monolithicと書いてあるのでアンプはアナログ設計で左右独立したデュアルモノの形態を取っているようです。
A2は音場感や定位が良いと海外のレビューでよく評されていますが、単にスピーカーユニットだけではなくこの辺に秘密がありそうです。またトランスはトロイダルトランスの特注品でノイズの発生を抑えています。
実際にA2はこのクラスにありがちな既製パーツの寄せ集めではなく、トランスやマグネットなど多くのパーツはAudioengineの特注仕様によるものです。
この内容でペアで$199とかなり価格は抑え目です。PCのサウンドカードとあまり価格は変わらないので、価格的にもバランスがとれています。

スピーカーユニットに関してツィーターはシルクドーム、ウーファーはケブラーとなかなか本格的な構成で、もちろん防磁タイプです。周波数特性はなんとこのサイズで65Hz(-2dB)とかなり低いところまで沈みます。
特徴はバスレフポートが前面下部のスリットになっていて、ここからかなり猛烈な勢いで空気が噴出してきます。
このYou Tubeのビデオはちょっと笑えますが、これくらい勢いがあります。
http://jp.youtube.com/watch?v=mTS3BBTfgQY&feature=related


キャビネットはPCスピーカーにありがちなぺらぺらなプラスチックではなく、本格的な18mm厚のMDF(Medium Density Fiberboard)で見た目にもPCスピーカーのようにおもちゃっぽくありません。
MDFはインシュレーターとかオーディオボードにも使われます。正確な音を出すため、レゾナンスを排除するためにMDFのような素材を使うというのはPCスピーカーにはあまりない発想で、プロ用のスタジオモニターによく見られます。
コンシューマー品はともすればカタログに目立ちがちなスペックを重視しますが、こうした隠れたところに本当の姿が見つけられます。


Audioengine A2をひとことで言うと、スタジオ・DTM用の高性能パワードモニターをPC用アクティブスピーカーにアレンジしたと言えるでしょう。
前に書いたようにスタジオ用の高性能パワードモニターは音は良いかもしれませんが、バランスでシステムを組む必要がありますので、カードもDTM用途のものが必要になってきます。大きくてやや高価になりがちです。
従来のPC用のアクティブスピーカーは小型で安く、手軽でRCA(アンバランス)で組めるけれども、音はそれなりということになります。
これらの良い点をミックスしたと言えるでしょう。

実際にAudioengine A2はスタジオモニターの技術をベースに設計しているとホームページ上で記しています。
http://audioengineusa.com/index.htm
Audioengineは米国の会社で、もともと音楽製作などのプロスタジオ用パワード・モニターを製作していたメーカーのようです。AudioengineはA5というPC用途に適するやや小型のパワードスピーカーを発売して話題になりました。(小型と言ってもA5はA2と比べると重さで3倍近くあります)
このA5は従来のPC用のアクティブスピーカーとは一線を画するオーディオ的な音の良さで話題となりましたが、それも開発経緯を見ると納得します。あるサイトに開発経緯が書いてありましたが、もともとはA5はSlim DevicesのSqueezeBox用のコンパクトなシステムスピーカーとしてSlimDevicesとの合弁で開発されていたということです。いまではLogitechがSlimDeviceを買収したのでこの関係は清算されたということですが、いまでもAudioengineのサイトにはiPodといっしょにSqueezeBoxも接続例として載っています。またA5にはこうした外部機器の電源を供給するための孫出しACアウトが装備されています。

つまりもともとPCスピーカーとは異なり、SqueezeBoxのようなオーディオソース機器用に考えられたパワードスピーカーというわけです。
そのA5をさらに小型化してiPodやPC市場をターゲットにしたのがこのA2ということのようです。
高級なPCスピーカーというのでもなく、プロ用パワードモニターを単にスケールダウンしたというものでもなく、Audioengine 2は新しいパッケージと言えます。
Streophileのレビューではオーディオの世界に新しい市場を開く製品と評していましたが、オーディオファイル向けのPCスピーカーと言えるでしょう。

PCのみならず、アンプ内蔵という汎用性でiPodのみならずさまざまな機器に対応できます。
SqueezeBox、AirMac Expressや先日発表されていたCHORDのChordette Gemのような新しいタイプの有線・無線のネットワークオーディオ機器にも適するでしょう。


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(右はB5ノート)

実際に聴いてみるとたしかに音はかなりすばらしく、特にこのサイズにしてはレンジの広さとスケール感に驚きます。うちのページでは小さくても高性能で、小さい巨人と言えるようなスモールオーディオをよく紹介していますが、まさにこれもそのひとつです。
ケーブルなどを変えても素直に反応し、良い音源で真価を発揮し、音源の良さをよく引き出します。
モニター譲りという点では楽器の音色もわりと正しく分離もきっちりして、歪み感や余分な付帯音は少ないように思います。といってもモニター調という言葉から連想されるような無味でドライな感じはあまりなく、適度な音調のバランスが感じられます。帯域バランスということでいうとモニターというよりはコンシューマー向けとは言えるかも知れません。
考えてみればPCスピーカーでこうしたことを真面目に語れること自体がすばらしいことであると思います。


また使用感を含めてバーンインがてら少し聴いてみてから、もう少し書いてみたいと思います。
むこうではけっこう話題ですが、日本では代理店はありませんので個人輸入しました。ただコンパクトとは言え、スピーカー類は重いので送料に注意してください。
(このためにNuforce S-1は個人輸入は断念したのですが)
探してみるといろいろありますが、わたしは信頼できるのでKenさんのALOから購入しました。送料は$50になります。(基本は海外発送しないということになっていますので、念のためにメールで問い合わせてみてください)
KenさんはA2用のカスタムケーブルも用意しています。

しかし、なんだかWindowsがやけに壮大に立ちあがるように感じられます(^^
posted by ささき at 00:24 | TrackBack(0) | __→ Audioengine 2, JB3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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