今回はうちのPCオーディオのことを書こうと思います。
なぜこの話題を取り上げたかということは一番最後に書きます。
一口にPCオーディオといっても範囲は広いと思います。
単にPCにサウンドカードを付けてPCスピーカーをつなぐというものから、本格的なオーディオシステムのトランスポートにするというものもあります。
コンピューターというのは用途が広く柔軟性のあるものなので、PCオーディオというのもその個々人の用途に合ったものになっていくと思います。
わたしの場合はPCは主に写真の画像処理がメインなので、とにかく電源容量が大きくて、ファンがたくさんついていて、安定して動くというのが目的です。そのため特に静音化は考慮していません。多少うるさくとも安定して動いてくれた方がありがたいからです。
たとえば先の帰省記事の飛行機の画像はダイナミックレンジの32bit化を行っています。これはおそろしく計算コストがかかるので前使っていたPCでは作業を始めるとファンがうなりっぱなしでしたが、とうとう壊れてしまいました。
また画像処理やネット仕事をしながらのBGMとして音楽を聴いたりするので、Windowsやアプリの警告音も聞こえないといけません。ポータブルオーディオの母艦としても使うので、iPodで使っているAppleロスレスとライブラリを共用できることが必要です。
一方でメインのオーディオへつなぐデジタルオーディオプレーヤーとしては、少し書いているようにLINNのDSシステムなどを考えているのでこれとは別に考えたいところです。
そこでここでいうPCオーディオというのは、オーディオに特化したようなものではなく、あくまでカジュアルなパソコンの音質改善という枠内で考えてみようと思います。つまりはサウンドカードとPC用のアクティブスピーカーというベーシックな形態です。サウンドカードもDTM用途の本格的なものというよりも、ごく一般的な再生用のサウンドカードです。
わたしの場合は音楽を聴くときはCDPとオーディオで聴くので、これまでのところこの辺はあまりまじめにやってはいませんでした。まあ音が出ればいいかという感じです。
ただDSシステム導入に向けてサウンドソースファイルをいろいろ入手して音を出しているうちに少しまじめに考えようと思ってきました。
1. PCとサウンドカード
いま使用しているPCはDELLのXPS630iでWindows XP SP3です。
それにサウンドカードはわりと新しいONKYOのSE-200PCI LTDを付けています。
音楽データはiTunesでエンコードしてAppleロスレスで管理してiPodと共有しています。再生はWinAmpとかFooBar2kにALAC(Appleロスレス)プラグインをインストールしています。
PC用のアクティブスピーカーはBOSEのMediaMate(米国仕様の初代)でした。これについては後でもう少し書きます。
あんまりサウンドカードを知らないのでレビューというわけではありませんが、SE-200PCI LTDはなかなか繊細で端正な音を出します。ノイズフロアも低いと思いますが、この辺は写真でも光る銅シールドカバーも効いているのかもしれません。
音の歯切れもよく、DACも悪くないように思います。ただアナログの良さに比べてデジタルの光アウトはいまひとつに思えますが、全体的になかなかよい音を聴かせます。
2. 環境とアクセサリー
サウンドカードとPCスピーカーというベーシックな形態とはいっても、トータルとしてそれなりのオーディオと呼べるようシステムにはしたいので、オーディオ的なアプローチも加えていくというスタンスを取りたいところです。つまりはケーブルとか電源まわりです。
SE-200PCI LTDに付属するケーブルはわりと悪くなくて、特に高域を少し強調される点でSE-200PCI LTDの美音傾向の音をよく伸ばしていると思います。ちょっと音場が狭く低域方向が弱いかもしれませんが、こういう傾向のケーブルにはよくあるタイプに思えます。解像力もそう悪くはありません。
ですので、いきなりケーブルを交換したほうがいいとはいいませんが、ちっょと順番があります。はじめからケーブルを変えても差はわかりにくいと思います。
そこでまずお勧めするのは電源タップの交換です。
わたしがPCで使っているのは売値5000円程度の下記のフィルタータップです。現在これ自体はディスコンですが、等価品がいろいろとあると思います。
http://www.audio-technica.co.jp/products/pc/at-nf508.html
実際はこれにメインシステムで余っていたAudioPrismのQuietLine(コンデンサー型ノイズフィルター)もつけています。いまならPS AudioのNoise Harvesterなんかがあるでしょう。
ふつうの家電タップからこれに変えると音は大きく変わると思います。
音はよりクリアになり音場は広がります、また低域の制動が利くのがわかると思います。
いままで硬かった音が柔らかく、SE-200PCI LTDの持つ音楽のニュアンスがよくわかるようになります。やせた音が豊かになったように感じられるでしょう。
こうなると添付ケーブルの抜けの悪さや先に書いた欠点が目立つように少し気になってきますので、インフラともいえるここまでやってからケーブルを変えるのがよいと思います。
LINNのBlack(Bl 12)ケーブルがあまっているので使ってみるとぐんと音場が広がり、重心は下がって低域はより密度が上がります。ただし高域がやや押さえられるのでニュートラルにはなりますが、付属ケーブルより高域の強調感がなくなり好みの差はあると思います。
LINNのBlackはLINN機器におまけでついてくるケーブルなのでよく手に入るベーシックなケーブルですが、それでもかなりニュアンスが付属のものに比べると分かるようになります。
このレベルでそれなりにオーディオシステムとしての評価が出来るように思えます。
こうして聴き直すとSE-200PCI LTDをベースにしたシステムは美しく、上品で微細なニュアンスの細かい表現もわりとうまく伝えます。細身で端整な感じが特徴的です。
思ったのはこうしたオーディオ的なアプローチをすると、PCベースでも意外に細かい再現力があり、音の個性も感じ取れるということです。こうしてみるとPCベースやハードディスクベースのオーディオシステムに可能性があるというのはよく分かります。
また、こうした箱庭的なコンパクトさの中で完成度を追及するということにちょっとおもしろさを感じます。
3. PCスピーカー
ただ、足を引っ張るのはPCスピーカーです。
ここまでやるとスピーカーのあらがとても目立つようになり、PCスピーカーを変えたくなります。
いまのBOSE MediaMate(初代)はアメリカに住んでいたときに買ったんですが、むこうではBOSE製品はアウトレットがありとても安く変えます。わたしはホームシアターはBOSEのシステムにしていたので、これもついでに砂漠の入り口にあるアウトレットまで出かけて買ってきました。
当時はこれが一番良かったように思えます。
こうして環境を整える前はいわゆるやたら低音が膨らんである意味迫力はありましたが、バランスはかなりベースヘビーです。その割には低いほうは実はあまり出ていません。
事実テストトーンを出すと100Hzくらいまではなんとか出ますが、80Hzあたりから落ち始めて50Hzではかなり低くなります、それ以下はほとんど聞こえません。そのため低音と言ってもより上を持ち上げて低音が出ているように見せていたという典型的なLo-Fiの例ですが、これがいわばPCスピーカーの当たり前といえば当たり前なわけです。
これはケーブルをイコライザー代わりにしていたようです。そのためケーブルを良いもの、つまり特性がよりフラットなものにすると低域がごそっとなくなります。見せ掛けの低音がなくなり、低い方がすっぽ抜ける感じになってしまいます。
つまりPCの送り出し側がそれなりの性能であれば、受け手のPCスピーカーも見合った性能が必要です。
PC側もPCスピーカーもLo-Fiであればそれはそれなりにまとまっているわけですが、一方的にPC側や環境をHi-Fiにしようとしてもそのためにフラットでワイドになったレンジにスピーカーがついてこれなくなります。
このバランスがないと全体にまとまって音質を上げるということはできないでしょう。
ということで新しいPCスピーカーを考えたいところです。
しかし、音的に欲張るといわゆるPCスピーカーの範疇ではなかなか良いものが見つかりません。
この上となるとDTM用のプロ用のパワードモニターなどが考えられると思います。しかしこれらは音は良いかもしれませんが、あくまでDTMやプロスタジオ環境に特化しているのでバランスでシステムを組む必要があり、カードも基本的にはCardDeluxeのようなバランスに対応したDTM用途のものが必要になってきます。
またイコライザーはありますが、スピーカー側でのボリュームコントロールはあまり考えられていません。サイズは大きくなりがちですし、アンプが左右独立なのは音的に良いのですが二口の電源を必要とします。安いものもありますが全般にやや高価です。一口にアンプ内蔵と言うことで同じに見えても「所変われば品変わる」と言うわけです。
反面で従来のPC用のアクティブスピーカーは小型で安く、手軽に設置できてカジュアルなサウンドカードに対応できるようにRCA(アンバランス)で組めるけれども、音はそれなりということになります。
このジレンマが悩むところです。
ひとつの解法は小型のアンプとパッシブスピーカーの組み合わせで、NuForce Iconシステムもこれに入ります。
ただアクティブスピーカーというのも便利な点があって、たとえば車で旅行に行くときに持って行って、ホテルでiPodからでも直につなげたいということもできます。いずれにせよこのグループは別に考えたいところです。
もしプロ用パワードモニターの音質の高さと、家庭用PCスピーカーのコンパクトさと手軽さが両立しているようなアクティブスピーカーがあれば、今回書いているようなカジュアルなPCオーディオには最適です。
価格的にもサウンドカードと同じくらいがバランスの良いところでしょう。
ということで、PCスピーカーを新調しました。
実はこれがまあ話のメインで、今回の記事はその前振りというわけです。
それはAudioengine 2です。
Music TO GO!
2008年09月08日
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