Music TO GO!
2008年08月16日
DENONの新フラッグシップ、D7000 登場
DENONの新フラッグシップ、D7000がいよいよ登場しました。
HeadFiあたりではすでに欧州経由で2か月ほど前から情報がリークしていたのですが、それらは本物だったわけです。
今回その試聴を行う機会を得ました。
D7000とD5000(光沢のあるほうがD7000)
外観はD5000とかなり似ていて、大きな違いはハウジングの仕上げくらいに思えます。つや消しのハウジングのD5000と比較するとD7000はピアノ仕上げと言われる光沢がある点で異なります。実際にまわりが良く写り込みます。ハウジングでは細かい点ではレタリングの位置なども異なります。
外観の違いは大きくないようですが、細かい点や見えないところではもう少し改良が加えられています。たとえばパッドも見た目は分かりませんが、低反発素材になっていてかなり装着感は柔らかくなっています。
D7000
またプラグもD5000ではミニだったものが標準プラグになり、ケーブルも多少改良されているようです。音質的なものではマグネットが11.4%強力なものに変更されています。
価格は定価が12万6000円だそうです。
試聴はDENONのショウルームで聴いたので、自前のSR71とiModを持ち込んで使いました。試聴は8月初旬に行いましたが、このときのD7000は生産型だそうです。(これ以前に商談用に出ていたものは生産準備モデルとのことです)
D5000も用意されていたので、待ちの間にD5000を少し聴き込んで音の傾向を思い出しました。D5000の音はなかなか上質で明るく軽めで音の奥行きを感じます。解像力があり明瞭感があります。
次にD7000を聴きましたが、ぱっと聴いて音の印象はD5000とはずいぶん違います。見た目ではほとんど変わりないD5000とD7000ですが、ここがポイントとなるようです。
DENONの前ラインナップのD1000/D2000/D5000は多少の違いはあってもかなり音の性格は共通していて、単に性能というかグレードが異なるという感じでした。しかし、D7000の音はもう別物という感じで、その延長上にはないようです。
明るく軽めだったD5000系の音とは異なり、D7000の音は重く深くなり、明るく軽いという感じはなくなりました。ただし後で書くように中高域の明瞭感は保たれています。少し暗く耳からは遠く感じますが、音の広がりはD5000よりもさらに広く、横に広いだけではなく3次元的な広がりを持っています。
ボリューム位置がD5000よりも高く感じられることもあり、インピーダンスが上がったか能率が低くなったのかもしれませんが、ここはよくわかりません。
ハウジングは木製ですが、Gradoのように木の響きを強調するものではないようです。
次に印象的なのは低域の量感と質の高さです。下に沈む低い音の深さと解像感はD5000とは一線を画すもので、まったく別ものの迫力と質感の高さがあります。量感と解像力を両立しているのでコントラバスやベースはかなりすごい再現力を感じます。深みがあり、単に低域が膨らんでいるものとは違います。
中域はヴォーカルに厚みがあり肉質感豊かに感じます。とくにSR-71のようなウォーム感のあるアンプと組み合わせるととても印象的です。ヴォーカリストの吐息のようなニュアンスもうまく再現されている反面で、子音のきつさはあまり目立ちません。
中域から高域はクリアで明瞭感もあります。この辺の音色は前機種と共通するものを感じますので、一概に音がまったく違うとまでは言いきれないかもしれません。
まとめると、見た目は変りないようにも思えますが、音の傾向や装着感の柔らかさなど、中身はかなり違いを感じます。
深い音空間に深く響く低音が新しいと思います。ゼンハイザーの重さとオーテクのL3000を混ぜたような感覚にとらわれますが、音はより広くて深く中高域の明瞭さでD7000が勝っていると思います。低域の質もD7000の方が良いように思います。バランス改造用としてもなかなかよさそうです。(もし買ったらさっそくケーブル交換すると言ったらDENONの人に驚かれましたが)
もしかするとD5000と比べると軽やかさよりは重みがあるので好みは別れるかもしれませんが、全般的に見ても性格が変わっただけではなく性能的な音の広さや情報量の多さという点でも優っていると思います。そうした点ではまぎれもなくDENONの新フラッグシップと言えると思います。
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