Music TO GO!

2005年12月06日

ポータブルアンプ・バトルロワイヤル

この辺で比較試聴をしたほうが分かりやすいと思いますので、簡単にこの3つのポータブルアンプを比べて見ました。
XinのSuperMicro-3サミュエルズのSR-71エゴシスのDrHeadです。
構成はiPod(4G/20GB)->minidock/SilverDragon->アンプ->ATH-ES7とHD25(Senn V2)です。

supermicro3c.jpg


まずおおまかに言うと、
SR-71はフラットで端正、SuperMicro-3はダイナミックです。やはりSR-71とSuperMicro-3の能力差はありますが、見かけの差から想像するほどではないと思います。ただしDrHeadはこの二者からは格下に感じられます。
音はSR-71がニュートラルでSuperMicro-3は少し温調に感じられます。


次に細かく言うと、
帯域の上下の伸びはSuperMicro-3もいいですが、一番上下が伸びるのはやはりSR-71です。低域はより深く沈み、高域はより突き抜けるように伸びるということです。音場もダイナミックレンジも広いSR-71と比べてしまうとSuperMicro3はややつまっていますがダイナミックさはSuperMicro-3の方があり、あまりこじんまりとしているという感じはありません。
ただ端正なSR-71に比べるとSuperMicro-3は全体にやや荒っぽく感じます。低音はSR-71の方がよく締まっていてコントロールしている感じがしますが、SuperMicro-3の方がやや荒削りながらパンチがあります。対してSR-71はフラットで前に出るということはありません。SR-71はあるだけきちんと重低音が出るという感じです。DrHeadは低域が沈まないことに加えて、低音が膨らんだ感じがします。またDrHeadは高い方がややきつい傾向がありますが、場合によってはよいかなとも思う程度です。

SN感はSR-71が大きくリードして静かです。また音像もしっかりしていてほしい形がきちんと出ている感じです。SuperMicro-3はやはり少しヒスノイズが聞こえますし、全体に音の抜けのよさがいまひとつです。ただしSuperMicro-3の音像ははっきりしています。
DrHeadはさらに全体にベールが何枚かかぶさった感じです。また複雑なパートで音が混濁する感じがあります。DrHeadは音像もはっきりしませんが、iPodの内蔵アンプよりはきちんとしています。
SuperMicro-3のスピード感はほんとにたいしたもので、かなり良いと思われるSR-71の同等以上だと思います。DrHeadはかなり遅くもったりと感じます。

音の広がりはポップオペラ系の電子的な効果音のミックスとオーケストラを何枚か聴きました。
DrHeadは真ん中方向に集まってしまう感じですが、SuperMicro-3に換えるとぱっと視界が広がり、SR-71に換えるとさらに空間一杯に音がいきわたる感じになります。
ただ楽器の定位に関してはMicro-3もかなりはっきりとしていて、Xin博士言うところの"-3"チャンネルアーキテクチャが利いているような気がします。

解像力を見るにはまずセイゲン・オノの録音の良いライブレコーディングを聴いてみました。これの冒頭のライブが始まる前の静かな店内での客のひそひそ話やナイフ・フォークのかちかちいう音がどれだけ聞こえるか、という点でチェックします。
これもSR-71がやはり一番でかなり細かい音とそれに付随するかすかな物音も聞こえてきて情報量はかなりのものです。クリアな背景とあいまって臨場感が豊かになります。DrHeadは大まかな音は拾うという感じですね。その周りのこまごました音がする感じは低くて埋もれてしまいます。SuperMicro-3はSR-71にかなり肉迫している感じはしますが、細かい音をはっきり描くというところが少し劣ります。
たとえばアコースティック楽器のピックでひっかいたり叩いたりする音の生々しさはSR-71が群を抜いています。SuperMicro-3は解像しますが生々しいまでにはいたりません、DrHeadはまずスピードが遅いのでこうした音はだれて聴こえます。

最後にたとえて言うと、
SR-71は観客と一定の距離を保って技巧を駆使しながらもとても冷静にプロフェッショナルな演奏をする「聴かせるタイプ」のミュージシャン。
SuperMicro-3はSR-71ほどベテランではないけど基礎はちゃんとできていて、ときには観客にぐっと近寄ったり大げさなパフォーマンスをしながら観客を楽しませるタイプのライブ型ミュージシャン。
DrHeadはアマチュアのちょっとうまい人でステージ慣れも今ひとつ、という感じです。


音質的にはやはりバランスがよく据え置きにも通用するようなハイレベルのSR-71がすばらしいですが、ポータブルにおいてはSuperMicro-3の十分な性能を備えたダイナミックさは聴いていて魅力的です。DrHeadは全体にクラス落ちしますが、パワーはあるのでER-4SなどiPodが単体では苦手とするようなものと組み合わせるのが良いと思います。
サイズを考慮するとSuperMicro-3の性能は驚きですが、小ささゆえの限界もありそうです。Xin氏のアンプの実力を知るにはやはりSuperMacro-3 V6と比べてあげないといけないのでしょう。
posted by ささき at 22:15| Comment(9) | TrackBack(0) | __→ Xin SuperMicro-3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ささきさん こんにちは。

非常に興味深い内容でした。
Hornetを買いましたがやはりSR-71もほしいですね。

Head-FiでSupermini vs Hornetのスレッドが立ってましたね。ざっと見ましたがHead-FiにはXinアンプのファンがたくさんいますね。
Hornetに関する書き込みはほんの少しでした。
なんでもXinさんのお気に入りはSuperMiniだとか。
興味がわきますね。
Posted by kosuke at 2005年12月06日 23:04
kosukeさん、さっそくコメントありがとうございました。
わたしもそのスレッド見てました(^^
次はSuperMiniもいいですね!
ただSuperMiniのコネクタ部を見ると接近しすぎていて太いケーブルコネクタが干渉しそうなところが気になっています。
Posted by ささき at 2005年12月06日 23:19
ささきさん。
どうも。masashiです。SR-71とSuperMicroの詳しい比較してくださったんですね。”たとえ”のところが特にわかりやすいです。SuperMicroの音像のある”大げさ”さというところを実際に聞きたくなります。

私もこの頃はSuperMacroに興味を持ってしまって、いままでわかりにくくて敬遠していたXinさんのホームページ(forumのところです)を毎日のように見てます。オペアンプとバッファの組み合わせがどれがいいとか、このオペアンプを使うのにこのアダプタがいるだのいらないだの。なんかわかるようになってきました。音質はまあわからないんですけどね。(笑)

GilmoreLiteのメロディックな音の楽しさ、SR-71のまったくノイズが出ないこととレンジの広さと高音の絶妙なコントロールと音(特にボーカルの)の余韻(立体感)が非常に好きなんですが、Xinさんのアンプも非常に気になります。

あとどうでもいいことですが、年末はセールが多いですね。Hornetもそうですが、Corda AriaとLarocco PR IIだとか。なんかいちいちチェックしなくちゃいけない感じがして嫌になります。そうはいっても見てて楽しいんですけど。(笑)
Posted by masashi at 2005年12月07日 00:54
たしかにSuperMacroもカスタマイズ好きな人は面白そうですね。はじめからキット的な自由さを考慮してますしね。Xin氏のところのフォーラムとか読んでるとPre/Powerコンボなんかもおもしろそうなんですが、少々知識が必要そうです。
SuperMiniでもある程度カスタマイズできるようなのでこちらでちょっと試してみるというのもいいかもしれませんね。

アメリカはホリディシーズンが一年の売り上げの大きなところを占めるそうなので、みんなセールでがんばっているのでしょう。こちらにとってはうれしいところです(^^
Posted by ささき at 2005年12月07日 07:53
しかし、このホリディセールの記事をいろいろ見ていたらCorda Ariaってけっこう良さそうですね。
いろいろAriaのプロトタイプレビューを見ていたら値段の割りにCorda HA-2とあんまり変わらないとありますが、HA-2ってAriaの値段の倍位しますからね。。おまけ程度ですが、USB入力もついてPCにも直付けできるしちょっと興味出てきました(^.^
Posted by ささき at 2005年12月09日 01:02
ささきさん
私も実はCordaAriaに興味があるんです。ただJanMeierさんのアンプの音ほとんど知らないんですけどね(笑)。年末までの限定ですし、USB接続もついてますし、安いってことになりますし、なによりもJanさんも自信を持っているようなのでレビューとか見てたら見過ごせなくなってきました(笑)。
そんなわけでJanさんに日本で動作するのか聞いてみたんです。そしたらなんか来週100Vで試してくれるっていうとても親切な返事くれたのでもし報告のメール着たら一応書きますね。


Posted by masashi at 2005年12月09日 22:23
たしかにCoda Ariaって意外とダークホースかもしれませんね。今回から生産をドイツ国外に移したようなので安く出来たんではないかという書き込みもありました。それで性能が上位機種並みならいい話ですね。
$400だとHD53クラスですから、かなりお得な気がします。100V動作するのか気になりますね。
Posted by ささき at 2005年12月09日 23:25
ささきさん。
遅くなりましたがJanさんからメールが今日届きました。(催促したせいかもしれませんが。)CORDA ARIAですが、

”Today I've done some testing on the ARIA and it seems to work very well on 100 Volts also”

ということです。(Janさんには50Hz(東日本方面のfrequency)で計ってもらいました。)さらにしかも、

”CORDA ARIA + shipping = EUR 330,- / $ 395,-”

だそうで、”送料込み”なのがまた嬉しいです。(2.2kgあるのでかなり覚悟してたんですけどね。まあ追加で取られる可能性はありますが…。)

そんなわけでとりあえず運良く少し円高なので買っちゃいました。来週中に発送してくれるみたいです。つくのは船便かもしれないので来月のいつかだろうと思いますが…。遅いのはDPS(1ヵ月半かかりました)で慣れました。(笑)

CordaAriaのレビューは最初の便は出たらしいのでHead-Fiでクリスマス過ぎには出ると思います。買いたい人はそれからでもいいかと。
とりあえず報告までですが…。
Posted by masashi at 2005年12月17日 19:50
なかなか親切な人のようですね、しかも送料込みで$395だとお値打ち品です。
たしかに興味ありますね。意外とつくのもはやいのでは..(^^
Posted by ささき at 2005年12月17日 20:33
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