Music TO GO!

2025年04月25日

DITA Audioの新フラッグシップ「Ventura」レポートと音のインプレ

DITA Audioが新しいフラッグシップ「Ventura」と新しいエントリーモデル「Prelude」をメディア向けイベントで発表しました。

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DITA Audioのダニー社長

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VenturaはDreamクラスと銘打ったフラッグシップモデルです。まず開発コンセプトが前のPerpetuaとどう違うかというと、Perpetuaはコロナ禍で開発した家向きのイヤフォンで、それに対してVenturaはコロナ後の戸外へ旅行すること(to go out)をイメージしたものということです。そのため名称はアドベンチャーから連想してベンチュラと名付けられています。
この意味は用途ではなく、後で音を聴くとわかりますが、サウンドのイメージです。ダニー氏に聞いてみるとそれはつまりPerpetuaはIntimate(親密・内向き)な音、VenturaはOpen(開放的)な音という意味のようです。またアドベンチャーは冒険的な設計という意味も含んでいます。

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もう一つの開発コンセプトは、これまでのDITA フラッグシップを包括的に統合したものということです。
これまでDITAはDream、XLS、Perpetuaというフラッグシップを開発してきました。端的にいうと、Dreamはフルチタンでテクニカルな繊細サウンド・深みのある低音、XLSは多層構造(サンドイッチ)採用で音場の拡大、PerpetuaはフルCNCで有機的・自然な音ということになります。これまで13年間でフラッグシップは3つしかないが、冒険的な設計でそれらを高次元に統合したのがVenturaということです。

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V4ドライバーの説明

Venturaのキーは新設計のV4と呼ばれるドライバーです。DITAは最もまとまりがあり位相が正しく保たれるシングルダイナミックにこだわり、VenturaもPerpetuaと同じく12mmのシングルダイナミックドライバーを搭載しています。しかし、そのドライバーはかつて見たことがないほど複雑で精密な設計がなされています。
DITAは機械設計会社を母体に持ち、金属加工は得意なメーカーです。そしてこれまでで、最も広い音場を目指して、これまでで最も複雑なドライバーを開発したとのこと。フルチタンですが、さらに秘密の素材があるということで、それはまだ明かせないということです。

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Ventura(右)とPerpetua(左)

V4ドライバーの振動板はチタンとセラミックをベースにしてゴールドをコートしたものだそう。金の使用は音に暖かみを加えるためだそうです。またデュアルマグネットで強力な磁力を有しています。
こうしたドライバーのコアも強力ですが、V4ドライバーのキーはエアフローです。V4ドライバーには4枚ものバッフル(整流板)が設けられ、名の由来となっています。そして空気の流れは特徴的なスリット構造のベントに送られます。これまでのフラッグシップモデルではバッフルは1枚のみ使われていました。このバッフルの役割はこれまで音響チャンバーで行っていたチューニングをドライバーの中に持つということです。バッフルの穴のサイズと間隔を精密に調整することで、従来の音響チャンバーよりもはるかに自由に音の調整ができるそうです。つまりキーは「より自由に」音の調整ができるということです。
これは後でダニーに教えてもらったのですが、例えば音響チャンバーでの音のコントロールが3バンドのイコライザーだとすると、V4のバッフル方式は10バンドあるいはそれ以上のイコライザーのようなものだということです。つまり単純に4つのバッフルが低域・中域・高域を担当するのではなく、その組み合わせ、例えば4のn乗などのイメージで調整が柔軟にできるということのようです。
ただしものすごく精密な調整が必要なので、普通ではおそらく実現が難しくさらには大きくなりやすいため、機械加工に長けたDITAならではのドライバーと言えるのかもしれません。

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ベント部分のパーツ

またベント穴も単純なホールではなく、5つのスリットになっています。これもより細かく音の調整をするためであり、背面パーツもそのような構造になっていますが、精密なので製品では固定されています。ちなみにこのベントもかなり音に影響しているとのこと。
またケーブルに関しては未定ということですが、試聴用のケーブルはAwesomeプラグでした。

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インプレッションはダニーおすすめのリファレンスモデル(灰色のケーブルのモデル)を貸してもらい試聴しました。
比較にPerpetuaを持って行きましたが、聴き比べしなくても一聴して音が違うのがわかります。ちょっと衝撃的なほどのいままで聴いたことがないようなサウンドです。サウンド体験というべきかもしれません。最初耳がバグったのかと思って一回耳からイヤフォンを外したほどです(ほんと)。
まずいままで聴いたことがないほど、音が立体的に感じられます。前方定位ではありませんが、空間が頭の中ではなく外にはみ出しそうになっているのかと思うくらいです。音響系の音源で音が飛び回るサウンドは立体感が面白いほどです。まるで立体音響のデバイスがついているのかと思うくらい。
そして音場の驚きが落ち着くと、次に音自体がとても洗練されているのに気がつきます。ウッドベースの低音がとても低く超低域がぶあっと出ています。高音域はまったくきつくありません。ヘルゲリエンの「take five」のドラムも鋭いのですが痛くありません。躍動感も高くロックもいけます。音自体は自然でやや暖かいかもしれないけれども着色感は少ないですね。いわゆるチューニングがとても上手くできているサウンドです。
ちなみにPerpetuaよりも能率は少し低めです。

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次にPreludeはシングルダイナミックのドライバーでフルCNCです。DITA社内でE-TOTLというようにエントリーだけれどもそのクラスではトップというほど音は良いモデルです。ちなみにTOTLとはTop Of The Lineのことで最上位機種といういみです。エントリーのTOTLということですね。
これはV4ドライバーの技術を流用していて、2個のバッフルを使用しているとのこと。振動板はPU(ポリウレタン)のドーム、PT(ポリエチレンテレフタレート)のエッジで、おそらくPUの柔軟性で低音を、PTの剛性で高音をバランスよく再現する目的だと考えられます。

音はあまり試聴時間が取れませんでしたが、クリアでシャープ、やはり音の広がりが独特です。エントリーですが、音傾向もドンシャリではなくHiFi向けに思えました。
また端子は交換できませんが、USBアダプタがついているようです。


「Ventura」は開発中のプロトタイプ、「Prelude」はほぼ発売間近というステータスです。どちらも価格は未定ですが、予定としては「Ventura」はおよそ4000USD - 5000USD、「Prelude」は160USDから170USDということです。
DITA Audioは2012年に初代モデルのAnswerをヘッドフォン祭でロンチして以来、まずヘッドフォン祭に出したいということで、週末のヘッドフォン祭でお披露目されます。
posted by ささき at 10:07 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月24日

トゥルー・ダイヤモンド振動板、final A10000発表会レポートおよび音のインプレ

final A10000はfinalの最新のフラッグシップモデルのイヤフォンで、ダイヤモンド振動板を採用している点が特徴です。
先週発表会があり、実際に音を聴いてきました。

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final A10000

A10000は4月24日(木)より予約開始、2025年6月予定です。また初回限定パッケージとして、本体色はゴールドカラーを採用、特別な桐箱に収めた全世界300台限定生産の「A10000 Collector’s Edition」も用意されています。
価格はfinal公式ストア発売価格が、A10000は398,000円(税込)、A10000 Collector’s Editionは428,000円(税込)です。

final公式ストアはこちらです。
https://final-inc.com/products/a10000-jp

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プレゼンする森氏と細尾社長

特徴

ポイントはダイヤモンド振動板といっても、コーティングやADLC(ダイアモンドライクカーボン)の類ではなく、B&Wのダイアモンドツィーターと同様に人工ダイヤモンドを使用した振動板です。A8000がベリリウムコーティングではなく、「トゥルー・ベリリウム」振動版であるとすれば、A10000は「トゥルー・ダイヤモンド」振動板といえるでしょう。開発は挫折と立ち直りの紆余曲折の歴史があったとのこと。

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上の写真が実際の振動板で、振動板は10mm相当です。息をかけると飛ぶくらい軽い。厚み自体は30ミクロンとベリリウムのものよりも厚めです。振動板の整形が難しく2-3割は壊れるそうです。
右が振動板のみ、中が分子間結合でポリウレタン系のエッジをつけたもの、左がボイスコイル付きで自社で線を巻いて空中配線になっています。

A10000の重要な要素は「エッジ」にあります。重たい振動板を駆動しても最低共振周波数(f0)が上がりすぎないようにするため、かつてJBLが使用していたポリウレタン製のエッジを採用したとのことです。ただすぐボロボロになるので、改良して加水分解しないものを見つけたとのこと。このエッジ技術はDX6000にも生かされています。

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A10000の歪み特性(赤はほとんど寝ています)

振動版のポイントは低歪みと、それにより超低域の再現力です。従来モデルと比べて100分の1以下とのことで、A8000でも2-3%あった低域の歪みが、A10000では0.02%程度になります。これにより音質低下なく超低域の音圧を上げることができるようになったと言うことです。
これはfinalの開発ポリシーを再考させるようなものであり、A8000 の上だけれども、さらに突き抜けたので10000 というより特別なナンバリングを冠したと言うことです。

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ケーブルは線材にシルバーコートOFC線を、絶縁被膜には従来のPFA(フッ素ポリマー)よりもさらに低い誘電率を誇るePTFE(発泡テフロン)を採用。基本的にはA8000のときの潤工社と開発したものをさらにアップグレードして新規開発、よりスーパーコンピューターの線に近いものだそうです。端子は4.4mmです。
端子はMMCXですが、基本はユーザーは交換できずに抜けません。MMCXアシストでも抜けずに特殊工具が必要とのこと。断線の際には交換可能な専用線と考えた方が良いと思います。

またイヤーピースはFusionGですが、Lサイズを標準に付けているとのこと。これはA8000の時に漏れによって真の性能が発揮できないことがあったからとのこと。
ハウジングの表面処理はA8000の磨きに対して、A10000では機械時計の裏と同じような切削加工とのこと。

インプレッション

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実際のハウジングを手に取るとベントが二つあるのがわかります。ただし聞いてみるとあまり積極的には使っていないとのこと。この辺はちょっとわかりません。

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左 A10000、右 A8000

試聴にはA8000を持参してA&K KANN Ultraで聴きました。ただし標準ケーブルでの比較を優先したのでA8000は3.5mm、A10000は4.4mmなので、正確な音の比較ではありません。

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A10000とKANN Ultra

端的に言うと、解像力的にはA8000を上回る基本性能で、音傾向的にはA8000とは大きく異なり、腰高だったA8000の印象に対してよりどっしりと腰が低いピラミッドバランスのサウンドがA10000だと思います。一聴すると音の厚み表現がだいぶ異なります。高音域はよくコントロールされていて、きつさは抑えられているように思う。

細かいところでは例えばよく試聴にも使われるTiffanyの「五木の子守歌/サマータイム」では聴き比べるとA8000では聴こえないような細かな音がA10000では聴こえてきます。
またパイプオルガンの重低音チェックの音源を使うと、A8000よりも低い音が鳴っているのが分かります。A8000も低音は出るのですが、やや上でなっている感じです。A10000ではさらにその下の超低音の沈み、重みがだいぶ違います。
オーケストラの「青少年の管弦楽入門」では冒頭の強奏部の迫力がA10000とA8000ではだいぶ違います。これも超低域の豊かさからきていると思います。

低域が出るからヴォーカルにかぶるかと言うとそうではなく、Shantiを聴くと声もA10000の方がA8000よりも明瞭に聴こえ、歌声の掠れ加減がA8000よりもA10000の方がより細かく階調再現が高いと感じられます。

音の切れ味はと言うと、ヘルゲリエントリオの「take five」のドラムスを聴いてみると、音が鋭いというよりはより正確になっているように感じられます。A8000よりもA10000の方が聴きやすく厚みがある音で、正確でかつ細かいと言う印象です。

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上がA10000、下がA8000

まとめ

A10000は、技術的な革新と実直な音作りが結実したfinalの技術開発の結晶です。A8000の先にある「透明感」と「重厚さ」の共存は、まさに次世代のフラッグシップと呼ぶにふさわしい完成度だと感じました。上の特徴部分とインプレ部分を合わせて読んでもらうと、A10000はfinalらしく技術研究の成果がそのまま音に表れているといえるでしょう。
ある意味で、A10000は原音忠実というか、音源忠実であり、音の情報がそのまま聴こえてくると言う印象です。それが進化した「トランスペアレントな音」なのかもしれません。
posted by ささき at 18:16 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月21日

finalからダイナミック型ヘッドフォンの新機軸「DX6000」登場

finalから新しいヘッドホンシリーズ「DXシリーズ」がアナウンスされ、その初めてのモデルとなる「DX6000」が2025年4月18日(金)より予約開始、2025年4月25日(金)に発売開始します。価格はfinal公式ストア発売価格248,000円(税込)です。

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「DXシリーズ」とは、これまでにない革新的なダイナミックドライバーの開発を軸とした新たなヘッドフォンシリーズです。シリーズ最初のモデルとなる「DX6000」は、新たに開発した「トランジェントコイルシステム」を搭載して、高いトランジェント性能と精細な低域を両立しているとしています。

* DX6000の特徴

DX6000の特徴は主に以下の3点です。

1 . フリーエア構造 → DX6000は開放型ですが、従来にはないドライバーの前室と後室と繋ぐ構造で、より音の広がり感を得るというもの
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2. 柔らかい発泡シリコンエッジ → 軽量な発泡素材の特長を活かし、厚みを持たせながら極めて軽く柔らかいエッジ
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3. トランジェントコイルシステム → コイルをドライバーユニットに直列に挿入して入力信号への正確なレスポンスを実現する仕組み

そしてこの3点の特徴はバラバラではなく実は全て繋がっています。それを以下に説明します。

まず聴きなれない「トランジェント・コイルシステム」とはなにかというと、ドライバーユニットに直列でコイル(インダクタ)を追加するということです。
つまり「入力 → コイル→ ドライバーユニット」ということになっていると思います。目的は「一種のクロスオーバーのように働くコイルを直列に入れることで高域をロールオフさせる」ということです。
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トランジェントコイルシステムの効果

別な言い方をすると、いままでのハイインピーダンス・ヘッドフォンから一部のコイルを分離して別にしたもの、さらに言い換えるとインダクタンスを上げる要因をドライバーコイルと分離したのがアイディアということになると思います。これはいわば新しいタイプの音のチューニング方式のようなものとも言えます。
ちなみによく言うインピーダンスは電流の流れにくさですが、インダクタンスとは電流の変化に対する抵抗(あるいは反発)のことです。周波数とは電流の変化ですから、インダクタンスが大きい機材はその特性が周波数で異なるわけです。ここではそれを逆手に取ってチューニングに用いています。
ちなみに振動板のサイズは40mmとのこと。

そしてなぜ「トランジェント・コイルシステム」を搭載したかというと、DX6000において「フリーエア構造」を搭載して「柔らかい発泡シリコンエッジ」を採用したからです。
これを説明すると、フリーエア構造を採用すると、音場感は上がるけれども低音が出なくなるので、柔らかいエッジと軽量振動系で音の基盤となる最も低い周波数(f0)を下げる必要があります。しかしそうすると高域が暴れてしまいがちなので、その高域をロールオフさせて安定させる手段として、「トランジェント・コイルシステム」が用いられているということです。

図式化するとこんな感じです。

1. **フリーエア構造の採用**
- ✅ **効果**: 開放感が向上し、イヤースピーカーのような音場感
- ❌ **課題**: 低音が弱まる


2. **低音強化のため、基本周波数(f0)を下げる**
- **解決策**: 柔らかい発泡シリコンエッジと軽量振動系を採用
- ✅ **効果**: 深い低音を実現
- ❌ **課題**: 高域の振幅が過剰になり、高音が暴れやすくなる


3. **トランジェントコイルシステムで高域を制御**
- **解決策**: コイルを直列に挿入し、高域をロールオフ
- ✅ **効果**: 高音を滑らかに整える


4. **結果**: スムーズで立体的なサウンド
- バランスの取れた深みのある低音と自然な高音を両立


このように各技術が互いに関連しあっているのがわかると思います。

*実際のDX6000

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デモ機を軽く聞いてみる機会がありましたが、DX6000の実際の音は、たしかに音の広がりがよく、低音が深い音で高域はよく抑えられているというこの仕組み通りの印象でした。これまでにない個性的な高音質サウンドという感じです。

今までfinalではD8000系で平面磁界型ヘッドホンを極めてきましたが、今回は普通のダイナミック型ヘッドホンとしてDX6000を開発しています。そのため平面磁界型ではなかったダイナミック型の問題を解決するためにトランジェントコイルという手法を考案した、とも言えるかもしれません。
いずれにしても新世代を感じさせるような新しいサウンドを持ったダイナミック型ヘッドフォンがDX6000と言えるでしょう。
posted by ささき at 14:26 | TrackBack(0) | ○ ホームオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月14日

サムスンのUWBワイヤレス特許とクアルコムXPanとハイブリッド技術

AV WatchでXPan説明会レポートとXiaomi実機レビューを執筆しましたが、この二つによりXPanの実像が浮かび上がってくると思います。

XPan説明会レポート
https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/2002406.html

Xiaomi 実機レビュー
https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/2004499.html

それは純粋なWiFiイヤフォンというよりも、BluetoothとWiFiのハイブリッド技術に近いと思います。つまり接続はBluetoothで行い、データ伝送はWiFiでやるという考え方です。
これは現在のワイヤレスイヤフォンの実態を踏まえてかつ、技術標準を活かしつつもBluetoothの限界を打破するという点で興味深いアプローチだと思います。

これについて連想できるのは最近サムスンが公開したUWBによるワイヤレスイヤフォン技術の特許です。
これはサムスンが提出したUS-20250039604-A1の「ワイヤレスイヤホンおよびその制御方法、コンピュータ機器および記憶媒体」です。
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この中では下図fig3のように、まずBluetoothで左と右のイヤフォンとの接続を確立した後に、音楽データをUWBで直接左と右のイヤフォンに伝送しています。

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この特許の背景では「BTテクノロジーは消費電力とオーバーヘッドリソースを節約し、ワイヤレスイヤホンのソフトウェア設計を簡素化するのに役立つが、進歩が遅いので高品質オーディオデータ伝送には向かない」ということが書かれています。
つまりBluetoothの簡易で標準という利点を活かして、かつUWBを併用することで高品質データの伝送を可能にするという「ハイブリッド・アプローチ」特許なわけです。

もしBluetoothを使わずにUWBのみだと、デバイス発見や接続確立、イヤフォンの操作にさらに独自プロトコルが必要となります。そこをBluetoothで補えば標準にも沿えるというわけです。

このUWBをWiFiに置き換えるとXPanに似たものであるということが言えるのではないでしょうか。ただしUWBとWiFiでは広範囲接続や精度などが異なりますので、そこからはまた別ものとなります。

こうしたハイブリッド・アプローチ技術がこれから伸びていくのか、Bluetoothの標準が高品質データを取り込むのか、まだわかりませんが着目して良い方向性であるとは言えると思います。
posted by ささき at 08:29 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月09日

AV WatchでXPanの実際の例としてXiaomi Buds 5 proのレビューを執筆

AV WatchでXPanの実際の例としてXiaomi Buds 5 proのレビューを執筆しました。
aptX Adaptive R4など面白い情報も取り上げています。カメラについてもちらっと触れています。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/review/review/2004499.html
posted by ささき at 06:25 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月02日

A&KがPS10システムを発表

Astell & KernがPS10というシステムを発表。
下記のHeadfi記事によるとクレードル込みのシステムのようです。DACの中身はSP3000に準じてますが、インピーダンスアダプティブ型のアンプが搭載されてます。これは高感度イヤフォンとヘッドフォンの両方に適合するようです。またスマートゲインというゲインの仕組みも採用。最近ポータブル機のハイパワー志向が強く、イヤホンでは適合しにくいケースもありましたが、この仕組みならば高感度イヤホンからヘッドフォンまで広く使えるかもしれません。
本体ではボリュームがボタン化されたのが特徴。
クレードルは据え置き用でXLRバランス出力端子がついています。

A&Kは昨年暮れに韓国のMiwanという不動産会社に買収されています。Miwanでは成長戦略としてオーディオを考慮しているようで、この据え置き志向のシステムもその一環かもしれません。

https://www.head-fi.org/threads/astell-kern-ps10-dap-with-docking-cradle-coming-soon.976374/
posted by ささき at 13:50 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

AV WatchにXPanの解説記事を執筆

AV Watchにクアルコムスタッフの説明会をもとにしたXPanの解説の記事と体験レポートを書きました。
ログの遷移を含めてかなり詳しく書いています。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/topic/2002406.html
posted by ささき at 13:43 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Philewebに平面型イヤフォンの聴き比べ記事を執筆

PhilewebにAstrolith, SOLO, Type821などの平面型イヤフォン聴き比べ記事を書きました。平面型の特徴についてもしっかり書いています。

https://www.phileweb.com/review/article/202503/26/5978.html
posted by ささき at 13:40 | TrackBack(0) | ○ ポータブルオーディオ全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする