いままでMEMSスピーカー(MEMSドライバー)は主にイヤフォンに応用されてきましたが、11月19日にxMEMS社は小型スピーカーにも応用できるMEMSスピーカー「Sycamore」(シカモア)を発表しました。
用途としては、いわゆる「ながら聴きの完全オープンイヤフォン」であるオープンワイヤレスステレオ(OWS)イヤホン、スマートウォッチ、スマートグラス、AR/VRヘッドセット、そしてPCスピーカーやスマートフォンスピーカーが考えられます。さらにカーオーディオやポータブルBTスピーカーも応用が考えられているようですが、この場合はツィーター用途になるようです。xMEMSではニアフィールドタイプのMEMSスピーカーと呼んでいます。
「Sycamore」のサイズはわずか8.41 x 9 x 1.13 mmで、重さはわずか150ミリグラムです。これは従来のダイナミックドライバー・パッケージのサイズの1/7、暑さは1/3です。またIP58規格の防水性能があります。
この技術は超音波変調を用いたxMEMS「Cypress」と、ICの空冷ファンであるxMEMS「XMC-2400」の技術を応用したもののようです。これにより超低域では従来のダイナミックドライバーを超え、中音域では同程度、高音域はより高性能というパフォーマンスを得られるようです。
xMEMS「Cypress」については下記のPhileweb記事をご覧下さい。
https://www.phileweb.com/review/article/202403/13/5517.html
xMEMS「XMC-2400」については下記の当ブログ記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/504455112.html
xMEMSでは「Sycamore」について次のように語っています。
「スマートフォンでは、Sycamoreはよりクリアな通話とプライバシーのため、車の中ではSycamoreのサイズ、重量、性能により、ヘッドレスト、天井部分、ピラーに搭載できるマイクロサイズのツイーターになります。そしてもちろん、Sycamoreのオーディオパフォーマンスは、スマートウォッチやメガネに最適なサウンド体験を提供するだけでなく、そのサイズにより、デザイナーはより洗練されたファッショナブルな製品を製作できます」
xMEMSは2025年第1四半期にSycamoreをサンプリングし、2025年10月から量産を開始するとのことです。おそらくはCES2025になんらかの展示があるでしょう。
ちなみにsycomore(シカモア)とは西洋カエデのことで過酷な環境で生育できるので、海外ではよく街路樹として使われているそうです。
参考リンク: xMEMSリリース
https://xmems.com/press-release/xmems-introduces-sycamore-the-worlds-first-1-mm-thin-near-field-full-range-mems-micro-speaker-for-smart-watches-xr-glasses-and-goggles-open-fit-earbuds-and-other-applications/