いままでMEMSスピーカー(MEMSドライバー)は主にイヤフォンに応用されてきましたが、11月19日にxMEMS社は小型スピーカーにも応用できるMEMSスピーカー「Sycamore」(シカモア)を発表しました。
用途としては、いわゆる「ながら聴きの完全オープンイヤフォン」であるオープンワイヤレスステレオ(OWS)イヤホン、スマートウォッチ、スマートグラス、AR/VRヘッドセット、そしてPCスピーカーやスマートフォンスピーカーが考えられます。さらにカーオーディオやポータブルBTスピーカーも応用が考えられているようですが、この場合はツィーター用途になるようです。xMEMSではニアフィールドタイプのMEMSスピーカーと呼んでいます。
「Sycamore」のサイズはわずか8.41 x 9 x 1.13 mmで、重さはわずか150ミリグラムです。これは従来のダイナミックドライバー・パッケージのサイズの1/7、暑さは1/3です。またIP58規格の防水性能があります。
この技術は超音波変調を用いたxMEMS「Cypress」と、ICの空冷ファンであるxMEMS「XMC-2400」の技術を応用したもののようです。これにより超低域では従来のダイナミックドライバーを超え、中音域では同程度、高音域はより高性能というパフォーマンスを得られるようです。
xMEMS「Cypress」については下記のPhileweb記事をご覧下さい。
https://www.phileweb.com/review/article/202403/13/5517.html
xMEMS「XMC-2400」については下記の当ブログ記事をご覧ください。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/504455112.html
xMEMSでは「Sycamore」について次のように語っています。
「スマートフォンでは、Sycamoreはよりクリアな通話とプライバシーのため、車の中ではSycamoreのサイズ、重量、性能により、ヘッドレスト、天井部分、ピラーに搭載できるマイクロサイズのツイーターになります。そしてもちろん、Sycamoreのオーディオパフォーマンスは、スマートウォッチやメガネに最適なサウンド体験を提供するだけでなく、そのサイズにより、デザイナーはより洗練されたファッショナブルな製品を製作できます」
xMEMSは2025年第1四半期にSycamoreをサンプリングし、2025年10月から量産を開始するとのことです。おそらくはCES2025になんらかの展示があるでしょう。
ちなみにsycomore(シカモア)とは西洋カエデのことで過酷な環境で生育できるので、海外ではよく街路樹として使われているそうです。
参考リンク: xMEMSリリース
https://xmems.com/press-release/xmems-introduces-sycamore-the-worlds-first-1-mm-thin-near-field-full-range-mems-micro-speaker-for-smart-watches-xr-glasses-and-goggles-open-fit-earbuds-and-other-applications/
Music TO GO!
2024年11月21日
2024年11月19日
Softears開発者インタビュー
先日当ブログでSoftears「Enigma」のレビューを書きました。実際に聴いてみるとかなり特徴のあるメーカーだと思いましたが、開発者たちが先日のヘッドフォン祭の時に来日した際にインタビューをしました。以下はそのインタビューとメールでのやり取りから構成した内容です。
Softears製品は国内ではJaben Japanから購入できます。
https://jabenjapan.thebase.in
* Softears開発メンバーインタビュー
今回来日したメンバーの名前と担当は以下の通りです。
(左から) ゼネラルマネージャ:杜(Crade Dio)、創業者・主任技術者:NKウォン(NK WONG)、海外担当マネージャ:翁昊(Hao Weng)
Q: みなさんが来日した今回の目的を教えてください
ヘッドフォン祭に参加して日本市場を調査するために来日しました。我々はこれから日本市場にもっと深く参入したいと考えています。
Q: Softearsの設計哲学について教えてください
まず我々の目標は中国を代表するハイエンド・カスタム・イヤホン・ブランドになることです。Softearsのスローガンは 「HEAR THE TRUTH (真実を聴く)」で、創業者のNKウォンは完璧をあくなき追求する人物であり、その性格はビジネスへのアプローチにも反映されています。彼はSoftearsが発売するすべての製品に美的な感覚も追求し、(音的に)クリアなモデルは見た目でも透明に見えるように作ろうとしています。接着部から隙間に至るまで、細部に至るまで綿密に管理され、そのすべてが均質でなければならないわけです。品質基準の適合度合いについては国や業界の基準を超えています。このように目に見える部分と見えない部分の両方で考え抜かれた設計がなされ、イヤホンひとつひとつが優れた職人技として扱われなければならないと考えています。
Softearsはクラフトマンシップの精神を持ち、常に卓越性を追求し、消費者に高品質でハイエンドの中国製イヤホンを提供することに尽力しています。
Q: Softearsのこれまでの歩みについて教えてください
創業者のNKウォンはイヤホンの研究開発で10年の経験を持っています。当初、Softearsは深センの華強北にあるスタジオとして、カスタムオーダーを受けるところからスタートしました。しかし、より大きな飛躍のためNKウォンは、自社ブランドの設立を決意。彼はMoondrop(水月雨)のCEO鄭氏とも協力し、成都に移ってSoftearsを設立しました。
2017年に設立されたSoftearsは、1000平方メートルの工場を拠点に、研究開発、撮影、販売、生産、管理、財務、倉庫スタッフを含む40人以上の従業員を擁しています。
いまでは優れた設計と革新的技術のおかげで、我々は国家ハイテク企業として認められるようになりました。
Q: Softearsの現在の業務について教えてください
我々はイヤホンの設計、チューニング、オーディオ検査機器の開発を専門とし、はダイナミックドライバー、バランスド・アーマチュア、その他各種スピーカーの開発にも注力しています。Softearsは若い会社ですが経験豊富な企業として、研究開発、製造、販売を総合的に行っています。我が社は独立した問題解決能力と研究開発能力、標準化された業務手順を有しています。また、2台の小型5軸CNC精密フライス盤や10台の3Dプリンターなど、さまざまな研究開発支援設備も保有しています。
Softearsは自社開発の他にOEMとODMサービスも行っており、国内外の数多くのブランドに研究開発と製造を提供しています。我々はほぼすべてのインイヤーモニタービジネスのニーズにワンストップソリューションを提供できます。
Q:Softearsの代表的なイヤフォン製品と技術について教えてください
2019年にSoftearsは最初の2つの製品、「RS10」と「ケルベロス」を正式に発売しました。特にRS10は、そのユニークで精巧な透明のデザインと、片側15個の部品からなる複雑な内部構造で際立っています。当時としては最も複雑なクロスオーバーのひとつであり、真の5ウェイ・クロスオーバーと10+1バランスド・アーマチュア・ドライバーの組み合わせが特徴です。
RS10は高音域に2基のKnowles製のBAドライバー、中音域に4基のeaudio(中国メーカー)製のBAドライバーを搭載、eaudioのドライバーはフルレンジタイプでNKウォンが設計しています。低音域には4基のSonion製BAドライバーを搭載、他にBAのパッシブドライバーを搭載しています(後述)。
中国では、オーディオファンの間でイヤホンのリファレンスとして知られるようになりました。この成功によりSoftearsは大きな注目と賞賛を集めることになったのです。その後、ユニークな外観と優れた音質の「Turii」は、さらに多くのユーザーを魅了して、高い評価を得ています。
Softears RS10(左)とEnigma
我々は技術と革新に重点を置いています。一例を挙げるとパッシブドライバーの開発に注力していることです。Enigmaにはダイナミックドライバーのパッシブドライバーを搭載していますが、RS10には革新的なBAドライバーのパッシブドライバーを搭載しています。
Q: BAドライバーのパッシブドライバーというのは聞きなれない言葉ですが、どのようなものですか
従来のBAドライバーからコイルとアーマチュアを取り外したBAドライバーのことです。このRS10の画像をみるとBAドライバーに結線されてなく、音導管のみで接続されているのが分かると思います。
RS10と赤丸部分がパッシブドライバー、ちなみにRS10のシェルは空洞ではなく樹脂が詰まっています
パッシブドライバーは他のBAドライバーから発生する音圧を吸収する吸音体として効果的に機能します。これによってより良いエアフローを作ることができ、鼓膜に対する圧力を軽減でき、低音の音質を向上させることができます。
Q: 今回の新製品について教えてください
まず人気のあった「Voleme」の後継機である「Volume S」です。Volumeにはなかった音質切り替えのスイッチを搭載し、低音の量感を変えることができます。
アルミとカーボンの筐体で、ドライバー構成はBAドライバー2基、ダイナミックドライバー1基、ダイナミックのパッシブドライバーを1基搭載しています。
位相を電気的に制御する技術も採用しています。
パッシブ・ダイナミック・ドライバーは、ウール素材から作られた素材を反転させて低音ユニットのドームに配置したものです。それにより低音ユニットの高域成分を吸収し、低音をよりピュアにしてエネルギー性能を向上させます。
Softears Volume S
新たなエントリーモデルは「Studio2」で、従来プロメーカー向けだったStudio4の下位機種ですが、リスニング目的にも向くように設計しました。
「22955(knowles)」、「29689(knowles)」という人気のある「クラシックな」構成に似た設計を採用しています。オールBAドライバーですが高域のBAには外部に通じるベントがあり、これによって鼓膜の負担を軽減します。
Softears Studio2、右の写真にベント穴が見えます
またUSB/3.5mmアダプターの「S01」も販売します。我々はこれを"Softtail"と呼んでいます。軽量化を念頭に開発しました。
"Softtail" USBアダプター、右はiPhoneにSofttail経由でStudio2を接続
Q: 今後の製品計画について教えてください
今度はダイナミックドライバー構成のみのマルチドライバー機を計画しています。3-4基の帯域別のダイナミックドライバーを搭載する予定です。
ダイナミックドライバーのマルチドライバーにしたのは低音を増やすためではなく、シングルダイナミックモデルは中音域が薄くなりやすいからです。これにより解像力とヴォーカルの魅力を引き出せるでしょう。
またシングルダイナミックでハイエンドの機種も検討しています。
ワイヤレスイヤフォンについても開発しています。まだ明かせませんがとてもユニークな特徴を搭載する予定です。
Q: 最後に日本のイヤフォンファンへのコメントをお願いします
日本のみなさん、私たちは研究開発と技術に専念するブランドです。真面目に心を込めて制作していますので、みなさんに我々の製品を気に入ってもらえたら幸いです。よろしくお願いします。
* 製品インプレッション
今回の新製品をいくつか聴かせてもらったので、そのインプレッションを最後に掲載します。
「Volume S」はクリアで鮮明な音で、低音のパンチが気持ち良いサウンドです。ヴォーカルの明瞭感も高く、全体にリスニングよりのサウンドです。
スイッチを切り替えて「クラシック」モードにすると低音が減ることで低域の量感が変化します。
「Studio」はプロ機ベースらしく、モニターライクなサウンドでスピード感があります。すっきりとした音調で音楽聴くにも躍動感があって歯切れが良い。音の開放感がある。解像度が高い。
それと「Softtailアダプター」も小さい割に優れた音質で躍動感があります。
Softearsはとてもユニークな技術を持っている技術志向のメーカーだと感じました。これからの展開にも期待できるメーカーです。
Softears製品は国内ではJaben Japanから購入できます。
https://jabenjapan.thebase.in
* Softears開発メンバーインタビュー
今回来日したメンバーの名前と担当は以下の通りです。
(左から) ゼネラルマネージャ:杜(Crade Dio)、創業者・主任技術者:NKウォン(NK WONG)、海外担当マネージャ:翁昊(Hao Weng)
Q: みなさんが来日した今回の目的を教えてください
ヘッドフォン祭に参加して日本市場を調査するために来日しました。我々はこれから日本市場にもっと深く参入したいと考えています。
Q: Softearsの設計哲学について教えてください
まず我々の目標は中国を代表するハイエンド・カスタム・イヤホン・ブランドになることです。Softearsのスローガンは 「HEAR THE TRUTH (真実を聴く)」で、創業者のNKウォンは完璧をあくなき追求する人物であり、その性格はビジネスへのアプローチにも反映されています。彼はSoftearsが発売するすべての製品に美的な感覚も追求し、(音的に)クリアなモデルは見た目でも透明に見えるように作ろうとしています。接着部から隙間に至るまで、細部に至るまで綿密に管理され、そのすべてが均質でなければならないわけです。品質基準の適合度合いについては国や業界の基準を超えています。このように目に見える部分と見えない部分の両方で考え抜かれた設計がなされ、イヤホンひとつひとつが優れた職人技として扱われなければならないと考えています。
Softearsはクラフトマンシップの精神を持ち、常に卓越性を追求し、消費者に高品質でハイエンドの中国製イヤホンを提供することに尽力しています。
Q: Softearsのこれまでの歩みについて教えてください
創業者のNKウォンはイヤホンの研究開発で10年の経験を持っています。当初、Softearsは深センの華強北にあるスタジオとして、カスタムオーダーを受けるところからスタートしました。しかし、より大きな飛躍のためNKウォンは、自社ブランドの設立を決意。彼はMoondrop(水月雨)のCEO鄭氏とも協力し、成都に移ってSoftearsを設立しました。
2017年に設立されたSoftearsは、1000平方メートルの工場を拠点に、研究開発、撮影、販売、生産、管理、財務、倉庫スタッフを含む40人以上の従業員を擁しています。
いまでは優れた設計と革新的技術のおかげで、我々は国家ハイテク企業として認められるようになりました。
Q: Softearsの現在の業務について教えてください
我々はイヤホンの設計、チューニング、オーディオ検査機器の開発を専門とし、はダイナミックドライバー、バランスド・アーマチュア、その他各種スピーカーの開発にも注力しています。Softearsは若い会社ですが経験豊富な企業として、研究開発、製造、販売を総合的に行っています。我が社は独立した問題解決能力と研究開発能力、標準化された業務手順を有しています。また、2台の小型5軸CNC精密フライス盤や10台の3Dプリンターなど、さまざまな研究開発支援設備も保有しています。
Softearsは自社開発の他にOEMとODMサービスも行っており、国内外の数多くのブランドに研究開発と製造を提供しています。我々はほぼすべてのインイヤーモニタービジネスのニーズにワンストップソリューションを提供できます。
Q:Softearsの代表的なイヤフォン製品と技術について教えてください
2019年にSoftearsは最初の2つの製品、「RS10」と「ケルベロス」を正式に発売しました。特にRS10は、そのユニークで精巧な透明のデザインと、片側15個の部品からなる複雑な内部構造で際立っています。当時としては最も複雑なクロスオーバーのひとつであり、真の5ウェイ・クロスオーバーと10+1バランスド・アーマチュア・ドライバーの組み合わせが特徴です。
RS10は高音域に2基のKnowles製のBAドライバー、中音域に4基のeaudio(中国メーカー)製のBAドライバーを搭載、eaudioのドライバーはフルレンジタイプでNKウォンが設計しています。低音域には4基のSonion製BAドライバーを搭載、他にBAのパッシブドライバーを搭載しています(後述)。
中国では、オーディオファンの間でイヤホンのリファレンスとして知られるようになりました。この成功によりSoftearsは大きな注目と賞賛を集めることになったのです。その後、ユニークな外観と優れた音質の「Turii」は、さらに多くのユーザーを魅了して、高い評価を得ています。
Softears RS10(左)とEnigma
我々は技術と革新に重点を置いています。一例を挙げるとパッシブドライバーの開発に注力していることです。Enigmaにはダイナミックドライバーのパッシブドライバーを搭載していますが、RS10には革新的なBAドライバーのパッシブドライバーを搭載しています。
Q: BAドライバーのパッシブドライバーというのは聞きなれない言葉ですが、どのようなものですか
従来のBAドライバーからコイルとアーマチュアを取り外したBAドライバーのことです。このRS10の画像をみるとBAドライバーに結線されてなく、音導管のみで接続されているのが分かると思います。
RS10と赤丸部分がパッシブドライバー、ちなみにRS10のシェルは空洞ではなく樹脂が詰まっています
パッシブドライバーは他のBAドライバーから発生する音圧を吸収する吸音体として効果的に機能します。これによってより良いエアフローを作ることができ、鼓膜に対する圧力を軽減でき、低音の音質を向上させることができます。
Q: 今回の新製品について教えてください
まず人気のあった「Voleme」の後継機である「Volume S」です。Volumeにはなかった音質切り替えのスイッチを搭載し、低音の量感を変えることができます。
アルミとカーボンの筐体で、ドライバー構成はBAドライバー2基、ダイナミックドライバー1基、ダイナミックのパッシブドライバーを1基搭載しています。
位相を電気的に制御する技術も採用しています。
パッシブ・ダイナミック・ドライバーは、ウール素材から作られた素材を反転させて低音ユニットのドームに配置したものです。それにより低音ユニットの高域成分を吸収し、低音をよりピュアにしてエネルギー性能を向上させます。
Softears Volume S
新たなエントリーモデルは「Studio2」で、従来プロメーカー向けだったStudio4の下位機種ですが、リスニング目的にも向くように設計しました。
「22955(knowles)」、「29689(knowles)」という人気のある「クラシックな」構成に似た設計を採用しています。オールBAドライバーですが高域のBAには外部に通じるベントがあり、これによって鼓膜の負担を軽減します。
Softears Studio2、右の写真にベント穴が見えます
またUSB/3.5mmアダプターの「S01」も販売します。我々はこれを"Softtail"と呼んでいます。軽量化を念頭に開発しました。
"Softtail" USBアダプター、右はiPhoneにSofttail経由でStudio2を接続
Q: 今後の製品計画について教えてください
今度はダイナミックドライバー構成のみのマルチドライバー機を計画しています。3-4基の帯域別のダイナミックドライバーを搭載する予定です。
ダイナミックドライバーのマルチドライバーにしたのは低音を増やすためではなく、シングルダイナミックモデルは中音域が薄くなりやすいからです。これにより解像力とヴォーカルの魅力を引き出せるでしょう。
またシングルダイナミックでハイエンドの機種も検討しています。
ワイヤレスイヤフォンについても開発しています。まだ明かせませんがとてもユニークな特徴を搭載する予定です。
Q: 最後に日本のイヤフォンファンへのコメントをお願いします
日本のみなさん、私たちは研究開発と技術に専念するブランドです。真面目に心を込めて制作していますので、みなさんに我々の製品を気に入ってもらえたら幸いです。よろしくお願いします。
* 製品インプレッション
今回の新製品をいくつか聴かせてもらったので、そのインプレッションを最後に掲載します。
「Volume S」はクリアで鮮明な音で、低音のパンチが気持ち良いサウンドです。ヴォーカルの明瞭感も高く、全体にリスニングよりのサウンドです。
スイッチを切り替えて「クラシック」モードにすると低音が減ることで低域の量感が変化します。
「Studio」はプロ機ベースらしく、モニターライクなサウンドでスピード感があります。すっきりとした音調で音楽聴くにも躍動感があって歯切れが良い。音の開放感がある。解像度が高い。
それと「Softtailアダプター」も小さい割に優れた音質で躍動感があります。
Softearsはとてもユニークな技術を持っている技術志向のメーカーだと感じました。これからの展開にも期待できるメーカーです。
2024年11月18日
DAP時代のCD再生機Shanling 「CR60」
中国メーカーではCDプレーヤーのアナウンスが相次いでいます。その中で本格的なCDプレーヤー「ET3」や可愛らしいCDプレーヤー「EC Smart」を開発してCDづいているShanlingがまた新たなCD再生機を発売しました。それが異色のCD再生機である「CR60」です。単純にCDプレーヤーと書かずに「異色の再生機」と書いたのは、CR60があまりいままでにない機材だからです。
*CR60の特徴
端的に言えば、CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能をスイッチで切り替え可能なオーディオ機材です。
ちなみにCDトランスポートというのは本体にDACが無く出力がデジタル出しのみという意味です。DACが搭載されていてアナログで出力できるものを一般にCDプレーヤーと言います。
トランスポートとして見ると、CR60のデジタル出力で特徴的なものはSPDIFや光デジタルなど一般的な出力の他に、USBデジタル出力がついていることです。これにより出力先にUSB DAC機能内蔵のDAPなどオーディオ機材を接続することができます。
またCR60のリッピング機能は一般的なPCに接続するCDドライブではありません。その代わりにスマホや一部のDAPに接続してリッピングすることができます。一般的なPCに接続するCDドライブではありませんが、PCに接続してリッピングすることもできます。
つまり、昔のCDトランスポートはオーディオラックに据えられた据え置きDACに接続するものでしたが、CR60はその接続先がより現代的になっています。
CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能を搭載した機材ですが、ひと捻りあるのはShanlingの強力なOSが搭載されている点です。CR60の前面には小さいながらも精細なカラー液晶画面(1.14インチ)が設けられていて、これが日本では見慣れた昔のCDプレーヤーとは異なります。画面横のボタンで機能や出力先を切り替えます。
背面を見ると興味深いことにUSB端子がたくさんついていて、USB-A、USB-B、USB-Cのすべての種類のUSB端子が勢揃いして、電源用のUSB-C端子まであります。それは互換性のためというよりも、CR60自体がデバイスにもホストにもなれるからです。ちなみにUSB端子のAはホスト用、Bはデバイス用という意味で、Cは両用です。USB機器としてみると、トランスポートとして出力する際にはホストになりますが、リッピングする際にはスマホやDAPからデバイスとして接続することになります。CR60はこれを背面のハードスイッチと内蔵OSで切り分けています。出力先は通常は自動に判別されますが、ボタンを使用して手動でも切り替えが可能です。
トランスポート機能はUSBで出力できる以外は普通に使えますが、リッピング機能は少々特殊です。
CDリッピングは通常の外付けCDドライブではなく、基本的には専用のアプリから使用します。この場合にはCDDBのようなデータベースからタグ(曲名やジャンルなど)付けができます。アプリを使用する場合にはアプリがタグを検索する機能を有しています。リッピング機能をフルに活用するには「Eddict Player 」アプリを使用します。これはAndroid端末とShanlingの特定のDAPから使用することができます。
PCの一般的な外付けCDとしては使用できませんが、PCではWAVとして保存することができます。そのためEAC(Exact Audio Copy)などは使えません。USBストレージデバイスを接続することで直接USBストレージにWAVで格納することもできます。こうしたWAVで保存する際にはタグ付けはできません。
CDリッピング機能はCR60のUSB-BまたはCを使用します(CR60はデバイスだから)。リッピング機能はiOSからは使用することができません。
つまりCR60は古風なCDと現代的なDAPのギャップを埋めて、それを結ぶことができる機材とも言えます。
*実際の使用について
CR60は説明するにはややこしい機材ので、実際に使用してみるのがわかりやすいかもしれません。
ここではDAPにShanling「M3 Ultra」を用いて説明します。M3 UltraはSnapdragon 665を搭載したAndroid 10ベースのDAPで、AGLO(Android Global Loss-less Output)というミキサーをバイパスする機能を有しています。DACはFPGAを用いたES9219Cのデュアル DAC方式です。シャープで鮮明なサウンドのDAPで、コンパクトなので持ち運んで使い回すのに良さそうです。
CDトランスポートとしてCR60はコンパクトなデスクトップ向けのサイズです。筐体は重く、がっしりとした作りです。機能からはガジェット的な感じがしますが、実物はオーディオ機器らしいがっしりとした作りです。本格的なオーディオ機材に先進的なOSを内蔵させるという点がShanlingらしいところです。
電源はUSB-Cの5V電源と12V DC電源を使用することが可能です。電源にUSB端子も使えるのが便利ですが、据え置きで使用する際には12V DCがおすすめです。(ただしDCケーブルは付属していません)
* トランスポートモードでの使用
1 付属のUSB A - Cケーブルを用いてA端子をCR60に接続、C端子をM3 Ultraに接続します
2 背面スイッチを「トランスポート」に変更します。CDを挿入します。CDの操作は一般的なCDプレーヤー通りです
3 M3 Ultraの画面上部からシステムステータスバーを表示させ、二段に広く表示させてDACモードをUSB-DACに変更します。すると自動的にUSB出力が選ばれます
4 CR60の再生ボタンを押下するとM3 UltraからCDの音楽が再生されます
トランスポートモードでのUSB DAC画面
トランスポートモードでのCR60画面
トランスポートモードでは、iBasso DX260やAstell & KernのDAPでもUSB DACモードにすることで簡単に使用することができました。USB出力のできるコンパクトなCDプレーヤーというのはほとんどないと思うので、オーディオ機器はDAPだけ持っていて、CDも使いたいという人にはこれだけでも便利に使えると思います。音質もなかなか良好です。
* リッピングモードでの使用
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とM3 Ultraを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します
3 M3 UltraはWi-Fiに繋ぎます。M3 UltraでEddict Playerアプリを立ち上げます。(Shanlingプレーヤーではありません)
4 Eddict PlayerのCDリッピングメニューを選択
5 自動的に曲情報をCDDBなどから取り出して、アルバムの候補をリストします。これは一致が複数あるためです。どれか選んで確定するとリッピングを開始します。リッピングは数分かかります。
6 終了すると曲名がついてM3 Ultra内に保存されます。アルバムアートは手動で設定できます
7 この後は普通にShanlingプレーヤーなどから再生できます。ジャンルや年代など曲情報も入っています
Eddict Playerのリッピング中画面
CR60のリッピング中画面
PC、MacではWAVでタグなしでリッピングが可能です。例えばMacでの手順は以下の通りです。
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とMacを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します。
3 MacのデスクトップでAudioというアイコンを探してクリック
4 アイコンを開けるとフォルダの中に楽曲がWAVとして見えます
5 それらを任意のフォルダーにコピーすると(ファイルのコピーではなく)リッピングが開始されます。そのため数分程度かかります
Macで開けたCR60フォルダの画面
Eddict Playerが動作すればShanling「M3 Ultra」など以外のAndroid DAP/スマホでも使えるように思えますが、iBasso DX260では使用できませんでした。ただしDX260でもAndroidからPCのような手順でWAVでのリッピングはできます。
* まとめ
CR60は今までにないタイプの製品ですが、前提として中国市場は経済発展の度合いにより日本よりも遅れてCDプレーヤーの全盛期を迎えているわけですが、現在はDAPやスマートフォン全盛期でもあります。つまりその時代のずれを是正することが必要になります。端的に言えばCR60はそうした意味で、CD時代と現在のギャップを埋める役目をする機材ということができます。つまりDAPからでも使えるCD機材ですね。
これは中国市場だけではなく、日本のスマホネイティブ世代の若者層にも物理メディアであるCDの人気が再燃していますし、同じ需要があるのではないでしょうか。
家では据え置きのオーディオ機材はなくて、スマホやDAP、USB DACなどだけで聴いている人が、CDを使いたいという時に便利な機材と言えると思います。
トランスポートモードは、DAC以外にもおそらくUSB DACモードのある多くのDAPで使用することができると思います。
ただしリッピングモードは対象機を選ぶと思います。Shanling DAPでEddict Playerが動作すればかなり快適に使えます。もしかするとAndroidスマホでも使えるかもしれませんが、店頭などで念のためにテストをさせてもらった方がよいでしょう。
CR60はまるでCDが最近発明された世界線の製品のような個性的でニッチな製品で、ニーズにはまると使いやすい製品といえるでしょう。
*CR60の特徴
端的に言えば、CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能をスイッチで切り替え可能なオーディオ機材です。
ちなみにCDトランスポートというのは本体にDACが無く出力がデジタル出しのみという意味です。DACが搭載されていてアナログで出力できるものを一般にCDプレーヤーと言います。
トランスポートとして見ると、CR60のデジタル出力で特徴的なものはSPDIFや光デジタルなど一般的な出力の他に、USBデジタル出力がついていることです。これにより出力先にUSB DAC機能内蔵のDAPなどオーディオ機材を接続することができます。
またCR60のリッピング機能は一般的なPCに接続するCDドライブではありません。その代わりにスマホや一部のDAPに接続してリッピングすることができます。一般的なPCに接続するCDドライブではありませんが、PCに接続してリッピングすることもできます。
つまり、昔のCDトランスポートはオーディオラックに据えられた据え置きDACに接続するものでしたが、CR60はその接続先がより現代的になっています。
CR60はCDトランスポート機能とCDリッピング機能を搭載した機材ですが、ひと捻りあるのはShanlingの強力なOSが搭載されている点です。CR60の前面には小さいながらも精細なカラー液晶画面(1.14インチ)が設けられていて、これが日本では見慣れた昔のCDプレーヤーとは異なります。画面横のボタンで機能や出力先を切り替えます。
背面を見ると興味深いことにUSB端子がたくさんついていて、USB-A、USB-B、USB-Cのすべての種類のUSB端子が勢揃いして、電源用のUSB-C端子まであります。それは互換性のためというよりも、CR60自体がデバイスにもホストにもなれるからです。ちなみにUSB端子のAはホスト用、Bはデバイス用という意味で、Cは両用です。USB機器としてみると、トランスポートとして出力する際にはホストになりますが、リッピングする際にはスマホやDAPからデバイスとして接続することになります。CR60はこれを背面のハードスイッチと内蔵OSで切り分けています。出力先は通常は自動に判別されますが、ボタンを使用して手動でも切り替えが可能です。
トランスポート機能はUSBで出力できる以外は普通に使えますが、リッピング機能は少々特殊です。
CDリッピングは通常の外付けCDドライブではなく、基本的には専用のアプリから使用します。この場合にはCDDBのようなデータベースからタグ(曲名やジャンルなど)付けができます。アプリを使用する場合にはアプリがタグを検索する機能を有しています。リッピング機能をフルに活用するには「Eddict Player 」アプリを使用します。これはAndroid端末とShanlingの特定のDAPから使用することができます。
PCの一般的な外付けCDとしては使用できませんが、PCではWAVとして保存することができます。そのためEAC(Exact Audio Copy)などは使えません。USBストレージデバイスを接続することで直接USBストレージにWAVで格納することもできます。こうしたWAVで保存する際にはタグ付けはできません。
CDリッピング機能はCR60のUSB-BまたはCを使用します(CR60はデバイスだから)。リッピング機能はiOSからは使用することができません。
つまりCR60は古風なCDと現代的なDAPのギャップを埋めて、それを結ぶことができる機材とも言えます。
*実際の使用について
CR60は説明するにはややこしい機材ので、実際に使用してみるのがわかりやすいかもしれません。
ここではDAPにShanling「M3 Ultra」を用いて説明します。M3 UltraはSnapdragon 665を搭載したAndroid 10ベースのDAPで、AGLO(Android Global Loss-less Output)というミキサーをバイパスする機能を有しています。DACはFPGAを用いたES9219Cのデュアル DAC方式です。シャープで鮮明なサウンドのDAPで、コンパクトなので持ち運んで使い回すのに良さそうです。
CDトランスポートとしてCR60はコンパクトなデスクトップ向けのサイズです。筐体は重く、がっしりとした作りです。機能からはガジェット的な感じがしますが、実物はオーディオ機器らしいがっしりとした作りです。本格的なオーディオ機材に先進的なOSを内蔵させるという点がShanlingらしいところです。
電源はUSB-Cの5V電源と12V DC電源を使用することが可能です。電源にUSB端子も使えるのが便利ですが、据え置きで使用する際には12V DCがおすすめです。(ただしDCケーブルは付属していません)
* トランスポートモードでの使用
1 付属のUSB A - Cケーブルを用いてA端子をCR60に接続、C端子をM3 Ultraに接続します
2 背面スイッチを「トランスポート」に変更します。CDを挿入します。CDの操作は一般的なCDプレーヤー通りです
3 M3 Ultraの画面上部からシステムステータスバーを表示させ、二段に広く表示させてDACモードをUSB-DACに変更します。すると自動的にUSB出力が選ばれます
4 CR60の再生ボタンを押下するとM3 UltraからCDの音楽が再生されます
トランスポートモードでのUSB DAC画面
トランスポートモードでのCR60画面
トランスポートモードでは、iBasso DX260やAstell & KernのDAPでもUSB DACモードにすることで簡単に使用することができました。USB出力のできるコンパクトなCDプレーヤーというのはほとんどないと思うので、オーディオ機器はDAPだけ持っていて、CDも使いたいという人にはこれだけでも便利に使えると思います。音質もなかなか良好です。
* リッピングモードでの使用
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とM3 Ultraを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します
3 M3 UltraはWi-Fiに繋ぎます。M3 UltraでEddict Playerアプリを立ち上げます。(Shanlingプレーヤーではありません)
4 Eddict PlayerのCDリッピングメニューを選択
5 自動的に曲情報をCDDBなどから取り出して、アルバムの候補をリストします。これは一致が複数あるためです。どれか選んで確定するとリッピングを開始します。リッピングは数分かかります。
6 終了すると曲名がついてM3 Ultra内に保存されます。アルバムアートは手動で設定できます
7 この後は普通にShanlingプレーヤーなどから再生できます。ジャンルや年代など曲情報も入っています
Eddict Playerのリッピング中画面
CR60のリッピング中画面
PC、MacではWAVでタグなしでリッピングが可能です。例えばMacでの手順は以下の通りです。
1 USB-C - Cケーブル(別売)でCR60とMacを接続。USB-CケーブルはOTGではなく通常のデータケーブルです
2 背面スイッチを「リッピング」に変更します。CDを挿入します。
3 MacのデスクトップでAudioというアイコンを探してクリック
4 アイコンを開けるとフォルダの中に楽曲がWAVとして見えます
5 それらを任意のフォルダーにコピーすると(ファイルのコピーではなく)リッピングが開始されます。そのため数分程度かかります
Macで開けたCR60フォルダの画面
Eddict Playerが動作すればShanling「M3 Ultra」など以外のAndroid DAP/スマホでも使えるように思えますが、iBasso DX260では使用できませんでした。ただしDX260でもAndroidからPCのような手順でWAVでのリッピングはできます。
* まとめ
CR60は今までにないタイプの製品ですが、前提として中国市場は経済発展の度合いにより日本よりも遅れてCDプレーヤーの全盛期を迎えているわけですが、現在はDAPやスマートフォン全盛期でもあります。つまりその時代のずれを是正することが必要になります。端的に言えばCR60はそうした意味で、CD時代と現在のギャップを埋める役目をする機材ということができます。つまりDAPからでも使えるCD機材ですね。
これは中国市場だけではなく、日本のスマホネイティブ世代の若者層にも物理メディアであるCDの人気が再燃していますし、同じ需要があるのではないでしょうか。
家では据え置きのオーディオ機材はなくて、スマホやDAP、USB DACなどだけで聴いている人が、CDを使いたいという時に便利な機材と言えると思います。
トランスポートモードは、DAC以外にもおそらくUSB DACモードのある多くのDAPで使用することができると思います。
ただしリッピングモードは対象機を選ぶと思います。Shanling DAPでEddict Playerが動作すればかなり快適に使えます。もしかするとAndroidスマホでも使えるかもしれませんが、店頭などで念のためにテストをさせてもらった方がよいでしょう。
CR60はまるでCDが最近発明された世界線の製品のような個性的でニッチな製品で、ニーズにはまると使いやすい製品といえるでしょう。
2024年11月05日
ヘッドフォン祭2024秋レポート
先週末に恒例のヘッドフォン祭が開催されました。場所は今回もステーションコンファレンス東京で、約80社が展示しました。いくつか興味をひいたものを紹介します。
まずDITA AudioではCEOダニー氏が来日、注目の新モデル「KA1」についていろいろ詳しく聞くことができました。
まずKA1のヘッドバンド付きでイヤーピース無しというセミオープンのコンセプトについては、アイディアとしては最近流行りのフルオープンタイプのように外の音を聞くことができる開放型イヤホンというコンセプトです。しかし、フルオープンだと低音のコントロールができないので、そこはDITAらしく音質を高めるためにセミオープンという形式を採用したとのこと。
日本の地下鉄でも使用できるだろうということ。音漏れも最小限とのことです。
実際に低音もよく出るようです。ドライバーはダイナミックで、詳細は明かせませんがかなり良いものを使用していますので音質は期待できます。
もう一つのポイントはケーブル端子がMMCXと2ピンの二つあるということです。これは音質重視のイヤフォンなので、どちらでもケーブルが使えるようにするという意味もありますが、ポイントは2ピンが側面についているということで、これはShure掛けを可能にするとともに、フォステクスTM2やiFi GO PodなどのTWSタイプのBTアダプターを使用可能とするためだそうです。
このほかにも稼働部はかなり考え抜かれた設計になっており、多機能性も期待できます。価格はターゲット価格がUSD299近辺ということです。
DITA KA1プロトタイプ
DITA Audioはこのほかにも「Mecha」という新製品が登場。
比重がアルミニウムの約半分という超軽量なLiMa(リチウムマグネシウム)合金振動板+高効率デュアルマグネットを採用したメカっぽいイヤホンです。ちなみにDITA Audioの関連会社は金属加工に長けています。価格は12万前後とのことで、音はシャープで鮮明、クリアな音で、ニュートラル傾向でした。
DITA Mecha
finalでは11月14日に発売される「A6000」がおそらく関東初出展ではないかと思います。かなり小さく、低域も深く中高域もシャープです。A4000の上位機種という感じで、音傾向はA4000に似ているがより高品質なサウンドという感じでした。A3000とはちょっと違うように思います。
また高音質TWSの草分けだった「ZE3000」にANCがついた「ZE3000SV」も展示。ANCは音質重視でマイルド調整ということ。ANC以外にも音質はより向上していて、よりクリアで特に空間再現力が高くなったように思います。
fina A6000(左)とZE3000SV(右)
次にお馴染みのFitEarですが、今回は一層怪しい「謎のイヤフォン・大」と「謎のイヤフォン・小」を展示。
これはいままでのFitEarにない設計を試行したもので、特に大きい方は新設計のフィット感を試してほしいとのこと。小さい方はIMargeに似た造形のようです。
どちらもノズルの音導管の奥に「白い何か」が詰まっているのが特徴で、これも新採用のようです。
聴いてみると、両方とも今までのfitearとちょっと違うサウンドで、最近のシャープ傾向の堀田サウンドよりも柔らかくリッチで、開放感が感じられます。大きい方はより音楽的で、装着感はやや大きめですが悪くはないです。小さい方は大きいのに比べると正確系ですが一般的にはリスニング寄りと思えます。
FitEar謎のイヤフォン大小(左)と謎のイヤフォンの謎の白い何か
アユートブースではFir Audioの新製品に注目。Fir Audio「Projeck K」は全域高性能で、大きなベントホールはATOMのものだと思います。「第二の鼓膜技術」に共通したATOMらしい音抜けがよいイヤフォンでひときわクリアなリスニング寄りの音です。
Fir Audio「FR10」はエレクトロダイナミック形式というよくわからない形式のシングルドライバーですが、かなり音は良く、モニター的でやはりATOMらしく音抜けが良い印象です。
四角く回転しないMMCX端子も特徴。
FiR Audio Project K
MUSINブースではiBasso Audioの新製品「DX340」の先行版を展示。位置付けとしてはDX260の上で、MAXラインとは異なるそう。特徴は「D16 TAIPAN」で採用された1bitディスクリートDACを採用していること。電源をデジタルとアナログで完全に分ける方式を採用し、設定画面ではDACとアンプで別々のゲインが設定できるのが面白い。
音はDX260系統の音で、より鮮明な感じです。DX260は音が細かい、DX340は音がシャープという感じでしょうか。
iBasso DX340
Jaben JapanのブースではSoftearsの新製品を展示。「Volume S」は人気のあったVolumeの後継機ですが大幅に改良されています。低音の強さを二種類選べるスイッチ搭載。
「Studio2」はモニター傾向の音だけど躍動感があって、リスニングでも使いやすいと思います。また「Soft Tail」というUSB-C/3.5mmアダプターも展示していましたが、これは小型ながら音は良かったです。
Softears Volume S(左)とStudio2(右)
Softearsは技術力に長けていて、「RS10」にはBAドライバーのパッシブタイプ(ダイナミックのパッシブラジエーターに相当)なども搭載しています。
下の図では赤丸のBAに結線されていないのでそれがわかります。効果についてはまた後で書きます。
RS10と赤丸部分がパッシブBA
FIIOでは「RR11」という普通のポータブルFMラジオが展示されていたのがユニーク。日本は災害時の必要性もあって意外と出そうな気がします。
FIIO RR11
またNIPOという中国のメーカーではヘッドフォン祭初展示となる「N2」というDAPを展示していました。
AndroidベースのDAPでES9039を搭載しています。音は解像力が高く、試聴曲の手嶌葵の声の掠れ具合もよく再現していました。ニュートラルでややドライのESSらしい音です。
また面白いのは「A100」というスティックDACとは言えませんがスマホ用のDACです。これはまだ開発中ですが、やや平たい筐体の背面が磁石(magsafe?)でスマホにくっつくというもの。音質はN2の90%近くまで持って行きたいとのこと。
NIPO N2(左)とA100(右)
Campfire AudioではCamJamに登場していた「Clara」は展示がありませんでした。
今回は平面磁界型イヤフォンの共演も聴きどころでした。Campfire Audioの「Astrolith」の他に、ミックスウェーブでは64 Audioの初の平面磁界型イヤフォン「SOLO」を展示。
どちらかというとリスニングよりの音で、音が速いのもAstrolithと似ています。歯切れが良く、低音もたっぷり出ていて、パンチが強く、正確性も高いのもAstrolithと共通の特徴に思えます。ただ高域がややきつい点があり、ここは2wayで高域専用チャンバーのあるAstrolithに部がありそうです。ちなみにSOLOも高域で共振するヘルムホルツ・レゾネーター方式のチャンバーを備えています。
FIIOも「FP3」という平面型のイヤホンを展示していました。こちらもクリアさが高く、きれいなサウンドが楽しめました。
64 Audio SOLO(左)とFIIO FP3(右)
こうした平面型イヤフォンの音質性能の高さを考えると、今後ともますます平面磁界型イヤホンが加熱していくのかもしれません。
まずDITA AudioではCEOダニー氏が来日、注目の新モデル「KA1」についていろいろ詳しく聞くことができました。
まずKA1のヘッドバンド付きでイヤーピース無しというセミオープンのコンセプトについては、アイディアとしては最近流行りのフルオープンタイプのように外の音を聞くことができる開放型イヤホンというコンセプトです。しかし、フルオープンだと低音のコントロールができないので、そこはDITAらしく音質を高めるためにセミオープンという形式を採用したとのこと。
日本の地下鉄でも使用できるだろうということ。音漏れも最小限とのことです。
実際に低音もよく出るようです。ドライバーはダイナミックで、詳細は明かせませんがかなり良いものを使用していますので音質は期待できます。
もう一つのポイントはケーブル端子がMMCXと2ピンの二つあるということです。これは音質重視のイヤフォンなので、どちらでもケーブルが使えるようにするという意味もありますが、ポイントは2ピンが側面についているということで、これはShure掛けを可能にするとともに、フォステクスTM2やiFi GO PodなどのTWSタイプのBTアダプターを使用可能とするためだそうです。
このほかにも稼働部はかなり考え抜かれた設計になっており、多機能性も期待できます。価格はターゲット価格がUSD299近辺ということです。
DITA KA1プロトタイプ
DITA Audioはこのほかにも「Mecha」という新製品が登場。
比重がアルミニウムの約半分という超軽量なLiMa(リチウムマグネシウム)合金振動板+高効率デュアルマグネットを採用したメカっぽいイヤホンです。ちなみにDITA Audioの関連会社は金属加工に長けています。価格は12万前後とのことで、音はシャープで鮮明、クリアな音で、ニュートラル傾向でした。
DITA Mecha
finalでは11月14日に発売される「A6000」がおそらく関東初出展ではないかと思います。かなり小さく、低域も深く中高域もシャープです。A4000の上位機種という感じで、音傾向はA4000に似ているがより高品質なサウンドという感じでした。A3000とはちょっと違うように思います。
また高音質TWSの草分けだった「ZE3000」にANCがついた「ZE3000SV」も展示。ANCは音質重視でマイルド調整ということ。ANC以外にも音質はより向上していて、よりクリアで特に空間再現力が高くなったように思います。
fina A6000(左)とZE3000SV(右)
次にお馴染みのFitEarですが、今回は一層怪しい「謎のイヤフォン・大」と「謎のイヤフォン・小」を展示。
これはいままでのFitEarにない設計を試行したもので、特に大きい方は新設計のフィット感を試してほしいとのこと。小さい方はIMargeに似た造形のようです。
どちらもノズルの音導管の奥に「白い何か」が詰まっているのが特徴で、これも新採用のようです。
聴いてみると、両方とも今までのfitearとちょっと違うサウンドで、最近のシャープ傾向の堀田サウンドよりも柔らかくリッチで、開放感が感じられます。大きい方はより音楽的で、装着感はやや大きめですが悪くはないです。小さい方は大きいのに比べると正確系ですが一般的にはリスニング寄りと思えます。
FitEar謎のイヤフォン大小(左)と謎のイヤフォンの謎の白い何か
アユートブースではFir Audioの新製品に注目。Fir Audio「Projeck K」は全域高性能で、大きなベントホールはATOMのものだと思います。「第二の鼓膜技術」に共通したATOMらしい音抜けがよいイヤフォンでひときわクリアなリスニング寄りの音です。
Fir Audio「FR10」はエレクトロダイナミック形式というよくわからない形式のシングルドライバーですが、かなり音は良く、モニター的でやはりATOMらしく音抜けが良い印象です。
四角く回転しないMMCX端子も特徴。
FiR Audio Project K
MUSINブースではiBasso Audioの新製品「DX340」の先行版を展示。位置付けとしてはDX260の上で、MAXラインとは異なるそう。特徴は「D16 TAIPAN」で採用された1bitディスクリートDACを採用していること。電源をデジタルとアナログで完全に分ける方式を採用し、設定画面ではDACとアンプで別々のゲインが設定できるのが面白い。
音はDX260系統の音で、より鮮明な感じです。DX260は音が細かい、DX340は音がシャープという感じでしょうか。
iBasso DX340
Jaben JapanのブースではSoftearsの新製品を展示。「Volume S」は人気のあったVolumeの後継機ですが大幅に改良されています。低音の強さを二種類選べるスイッチ搭載。
「Studio2」はモニター傾向の音だけど躍動感があって、リスニングでも使いやすいと思います。また「Soft Tail」というUSB-C/3.5mmアダプターも展示していましたが、これは小型ながら音は良かったです。
Softears Volume S(左)とStudio2(右)
Softearsは技術力に長けていて、「RS10」にはBAドライバーのパッシブタイプ(ダイナミックのパッシブラジエーターに相当)なども搭載しています。
下の図では赤丸のBAに結線されていないのでそれがわかります。効果についてはまた後で書きます。
RS10と赤丸部分がパッシブBA
FIIOでは「RR11」という普通のポータブルFMラジオが展示されていたのがユニーク。日本は災害時の必要性もあって意外と出そうな気がします。
FIIO RR11
またNIPOという中国のメーカーではヘッドフォン祭初展示となる「N2」というDAPを展示していました。
AndroidベースのDAPでES9039を搭載しています。音は解像力が高く、試聴曲の手嶌葵の声の掠れ具合もよく再現していました。ニュートラルでややドライのESSらしい音です。
また面白いのは「A100」というスティックDACとは言えませんがスマホ用のDACです。これはまだ開発中ですが、やや平たい筐体の背面が磁石(magsafe?)でスマホにくっつくというもの。音質はN2の90%近くまで持って行きたいとのこと。
NIPO N2(左)とA100(右)
Campfire AudioではCamJamに登場していた「Clara」は展示がありませんでした。
今回は平面磁界型イヤフォンの共演も聴きどころでした。Campfire Audioの「Astrolith」の他に、ミックスウェーブでは64 Audioの初の平面磁界型イヤフォン「SOLO」を展示。
どちらかというとリスニングよりの音で、音が速いのもAstrolithと似ています。歯切れが良く、低音もたっぷり出ていて、パンチが強く、正確性も高いのもAstrolithと共通の特徴に思えます。ただ高域がややきつい点があり、ここは2wayで高域専用チャンバーのあるAstrolithに部がありそうです。ちなみにSOLOも高域で共振するヘルムホルツ・レゾネーター方式のチャンバーを備えています。
FIIOも「FP3」という平面型のイヤホンを展示していました。こちらもクリアさが高く、きれいなサウンドが楽しめました。
64 Audio SOLO(左)とFIIO FP3(右)
こうした平面型イヤフォンの音質性能の高さを考えると、今後ともますます平面磁界型イヤホンが加熱していくのかもしれません。