日本時間9月10にAppleの恒例の発表会があり、iPhone 16/16 Proと共にAirPods 4が発表されました。
AirPods 4ではH2が搭載され、ANC採用のモデルもラインナップされています。カナルタイプではなく、オープンイヤータイプでANCが入ったのはポイントかもしれません。音響部分や装着感にも手が入っています。
なおAirPods Maxはカラバリが増えてUSB-C化されましたが、USB-C化はEU要求で必須ですので最小限度のみということのようです。この辺の匙加減には売り上げも影響しているのかもしれません。
今回注目点はAirPods Pro2に(OTC)補聴器モードが搭載される案内があったことです。国制限がありますが、日本にもこの秋にアップデートで提供されるようです。
Appleでは「聴覚の健康をサポートする体験」と呼んでいますが、これはつまり噂されていたAirPods Pro2のOTC補聴器モードです。
リリースでは「軽度から中程度の難聴が認められる方向けに処方箋不要のヒアリング補助機能」がAirPods Pro2に追加されるとありますが、この説明はアメリカにおけるOTC(Over The Counter)補聴器の説明と同じです。ちなみにOTC補聴器はアメリカの法に基づく呼称なので、Appleのようなグローバル企業では言い方は変えるでしょう。
ここ2-3年でアメリカからの情報では完全ワイヤレスイヤフォンを巡る話題に補聴器が絡むことも多くなっていました。この背景としてはアメリカで2022年の8月に米国FDAが医療従事者(オーディオロジストなど)の関与しないOTC補聴器が認可されたことが理由です。OTC補聴器とは店頭販売が可能な補聴器のことです。それまではアメリカでは補聴器の購入にオーディオロジストの処方箋が必要でした。
これによって軽度から中程度の難聴者にとっては従来よりもかなり安価に補聴器が入手できるようになったわけです。これは全米人口の15%に関係するというのでかなり大きな市場の話になります。
OTC補聴器は本格的な補聴器に比べるとかなり安価ですが、完全ワイヤレスイヤホンに比べると価格を上げることができます。
実際に世界的にはオーディオメーカーと補聴器メーカーが協業する動きが近年進んでいます。例えばSONOVAに買収されたゼンハイザー、ソニーもデンマークのWS Audiologyとの協業で業界参入をしています。JAVARAもすでにOTC補聴器を市場導入しています。
これは流通や互いの分野のノウハウの問題でどうしても協業体制が必要となるからのようです。
このようにOTC補聴器と完全ワイヤレスイヤホンの相互関係も注目したい流れの一つと言えます。
もともとLE Audioも補聴器をワイヤレス化するために低消費電力化しなければならないのでBluetoothオーディオ機能にBLEを適用するというところから始まっていますから。
アップルのアナウンス
https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/09/apple-introduces-airpods-4-and-a-hearing-health-experience-with-airpods-pro-2/