以前LUXURY&PRECISION W2-131を下記記事で紹介しました。これは同社W2の進化系でした。
http://vaiopocket.seesaa.net/article/485813717.html
その後継機として開発されたのが、「W4」74,800 円(税込)、「W4EX」52,800 円(税込)の 2 機種です。これらは5月24 日に発売となります。このWシリーズは形式的にはスティック型DACですが、LUXURY&PRECISION製品の位置付けとしては同ブランドのエントリー級DAPとなるようです。つまり低価格の製品が多いスティック型のDACとは一線を画すものという意味合いのようです。
L&P W4
W4シリーズの最大の特徴はW2-131ではDAC ICにシーラスロジック製のCS43131(CS43198のアンプ内蔵版)を2基搭載していたのに対して、W4シリーズではどちらの機種も L&P 独自開発の DAC チップが搭載されている点です。W4はLP5108、W4EXはLP5108-EXを使用しています。
これにより端的にいって出力はW4の場合にはバランスで420mWと据え置き並みの高出力となり、W2の1.7倍のパワーを誇ります。ダイナミックレンジ(134dB)と低歪率はW2をさらに超えています。しかもW2の半分の電力消費という点がポイントです。
W4EXの場合にはSN比はW2同等、バランスの出力がW2とほぼ同じで、歪みはW4には劣るがW2よりは優れているということになります。カスタムチップのアンプ部分はAB級ということです。
L&P W4 正面と背面
また筐体デザインも変更されています。液晶は斜めに設置されてアクセントになっています。また調整用のつまみがアップダウンボタンからロータリー式に変更されています。イヤフォン端子は3.5mmアンバランスと4.4mmバランス端子に対応しています。3.5mm端子はSPDIF出力用にも使われます。
PCMは384kHzまで、DSDはネイティブでDSD256形式まで再生可能です。
機能的にもW2シリーズ同様に01と02の音質モードを切り替えることができます。メーカーの説明では01ではポップスのようなヴォーカル主体の音楽に向いたリラックスした音で、02ではより洗練されて複雑なシンフォニーなどに合うということです。
この他にもイコライザーのプリセットモードとして、Normal / CLASS / JAZZ / ROCK / POP / BASS / MOVIE / GAMEが用意され、機種向けイコライザー設定として Xelento / IE800S / SE846 / IER-Z1Rが用意されています。サイズは63 x 24 x 12.5mm、重さは24gと軽量です。
W4の内容物
箱にはW2シリーズ同様にUSB-Cのケーブルとライトニングケーブル、USBアダプター端子が同梱されています。これによって、PC、Android、iPhoneなどさまざまな接続が標準で可能です。なおケーブルはメーカーのプレゼント扱いということなので保証対象からは外れるということになると思います。
左からW2-131、W4、W4EX
以前レビューしたW2-131と比較してみると、筐体はやや大きくなっていますが、重さはほぼ同じです。ディスプレイが斜めになっていてより現代的な感じのデザイン的なアクセントになっています。輝度などディスプレイの視認性はほぼ同じくらいだと思います。
またW4では従来のアップダウンボタンではなく、独立したボリュームつまみがついたのが大きな違いです。これはモード変更ダイヤルもかねています。このおかげで操作性が向上して上質感も増しています。
W4とW4EXは外観状は色が違うだけのように見えます。W4はシックなグレーで、W4EXは若々しいブルーを基調にしています。
左W4と右W4EX、iPhoneとARAの組み合わせ
W4を前回のW2での記事と同じくiPhoneとCampfre Audio ARAで聴いてみると、とてもクリアで透明感が高いサウンドです。SN感が高く、音の歯切れが良く細かい音がよく聞き取れます。クールでニュートラル、フラット基調なのはW2同様ですが、より洗練されてプロサウンドのような感じがします。シャープで線が細い音です。空間的な広がりが良く、アコースティック楽器音の鳴りがリアルで、ヴォーカルは発音がとても明瞭でわかりやすいですね。
音がフラットでシャープなのでイコライザー設定を変えると音が大きく変わります。この辺で味付けしてみても良いでしょう。チューニングモードの01と02はそう大きく変わりませんが、たしかに変わりますのでこれは音の微妙な表情を変えたり、イヤフォンに合わせて好みで変えるのが良いと思います。
左W2-131、右W4
W4の音をW2-131と比較すると、以前よりもさらにクリアになって、楽器音の音がより鮮明でシャープに聞こえます。アコースティック楽器の歯切れ良さがより鋭く、パーカッションはより打撃力があって、叩いている音の鋭さが鮮明です。W2-131よりもフラットになり低音が抑え気味に感じられます。スタジオ的とかモニター的な音により近い感じですね。
W4とW2-131は聴き比べて十分わかるくらいの差がありますが、W2-131ユーザーならば聴き比べなくても音の違いはわかると思います。比較するとW2-131の音がやや緩く聞こえるほどです。
上W4、下W4EX
W4とW4EXを比較すると、音のクリアさではほぼ互角ですが、音の広がりや厚みという部分でW4の方がやはり上回ります。またW4の方が力強い感じです。これはDAC部分というよりもアンプ部分の性能の差が出ていると思います。ただ透明感や解像力での差はわかりにくいくらいではあります。
W2-131とW4EXを比べると、音の透明感やシャープさではW4EXの方が優っているように感じられますが、音の広がりなどではあまり差は大きくないと思います。
確かに製品のイメージとしては、よりクリアで鮮明なL&PのDAPの音に近づいたように思います。比較してみるとW2はやはりやや温かみがあるシーラスロジックの音の着色感は感じられます。おそらくは自家製のICを作れたことでよりL&Pのイメージに近い音にすることができたのだと思います。
なおW4 シリーズ専用のレザーケース「W4 Leather case」5,500 円(税込)とWシリーズとデジタル接続が可能なケーブル「WP2」26,400円(税込)をも販売するということです。「WP2」はU58(銀箔巻き高純度銅)と U75(金箔巻き高純度銅)のハイブリッ ド構成、低誘電率被膜の採用で外部電波の干渉が抑えられるとのこと。アクセサリーは直販サイト(CYRAS DIRECT)でのみ販売ということです。