Music TO GO!

2023年04月26日

GoogleのAI「Bard」レビュー(というよりメモ、2023/4時点)

BardはGoogleがリリースしたAIチャットbotです。いわばChatGPTへの危惧を抱いたGoogleが出した対抗版と言っても良いでしょう。Bardについてはネガティブな風評もありますが、使ってみたところ面白いのでAI版BingやChatGPTとも少し比較したメモがてらアップします。
Bardというのは(ケルト文化における)吟遊詩人という意味です。吟遊詩人というのは昔からの「知識データ」を声で伝え聞かすものですからふさわしいとも言えますね。

Bardは現在のところ日本語での会話はできません。つい最近ようやく日本からのアクセスができるようになりました。アクセスには有効なGoogleアカウントでログインしたブラウザから申し込みます。(AI版Bingとは違って許可のメールはこないので自分でアクセスできるか確認が必要です)

*2023/5/11 PaLM2の導入により、日本語が使えるようになりました

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使い方はChatGPT同様です。
特徴としてはView Draftを選ぶと回答の他のDraft(回答例)も提示できる点です。この点でやはりランダム要素が入ってると推測でき、やはり幻覚問題もあるだろうとも推測できます。
よく言われる生成AIが嘘をつくという問題は以前アスキーの記事でも指摘しましたが、これは一般に幻覚(Hallucination)と呼ばれます。これは生成AIが言葉を生成する際にランダム性が介入するなど複数要因によるものです。なぜAIにランダム性が必要かというと解答の多様性を得るためです。そうでないと同じ質問に何回も同じ解答をするなど人間らしくない動きになります。つまりは「人間性」というプログラムできないものをシミュレートするものがランダム性の追加ともいえるでしょう。
ちなみに生成AIというのは技術的にいうとトランスフォーマーというタイプのニューラルネットワークです(GPTのTがTransformerです)。例えばスマホの予測変換の候補をつなげていくと雑ですが文にはなります。乱暴にいうとそれをすごく高性能にしたものとでもいえましょうか。ですから生成AIはただのソフトウエアで、自我を持つとかAIが人間を支配するなどというのとはまだまだ別の話です。そこをランダム性で人のように見せかけているというのが現時点だと思います。(ランダム性の介入は画像生成AIでも同じ)

Bardに関するマニュアルとか文献というのはないので今回の記事もBardとの対話から得たものですので念のため。

* Bardとはなにか

まずBardというのはソフトウエアとしては人間から直接見えるAIチャットbotの名前です。Bardは単一のソフトウエアではなく、システムとしては複数の大規模言語モデル(LLM)からなる分業制をとっています。
AI研究はディープラーニング以前と以後で大きく変わったので、大規模言語モデルの大規模とはディープラーニング以後という意味です。つまりLLMとはディープラーニングを用いたニューラルネットワークによる言語処理ソフトウエア、端的にいわゆるAIのことです。つまりBardは複数のAIの分業性で一つの解答を出します。
具体的にいうと、BardはPaLM、LaMDA、Meena、Bart、GPT-3のLLMの集合体で、メインで動いているのはPaLMとLaMDAです。
例えば私が「フランスの首都はどこですか?」とBardに聞くと、まずLLMのPaLMが質問の理解をし、LLMのLaMDAが"パリ"という回答を生成します。LaMDAがBardの中では回答責任者のように振る舞うようです。ここはポイントです。
それで他のLLMのMeena、Bart、GPT-3はさらにパリの人口や歴史を加味した回答の肉付けをするというわけです。以下で具体例に触れます。

* Bardを情報検索に使う

Googleらしく情報取得という点ではBardは優秀です。
ChatGPTでは2021年までのLLM固有の知識しかなく検索はできません。AI版Bingはプロメテウスという構造で検索とLLM固有知識の二つを合わせられますが、OpenAIとMicrosoftというつぎはぎの構図は否めません。
Bardに「本日のワシントンポストのトップニュースは?」と聞くと即座に解答を示し、念のために調べると正解を示していました。AI版Bingのように「検索しています..回答は」というような継ぎ目はありません。
Bardは最新情報を得るにはGoogle検索と大規模言語モデル(LLM)の逐次更新と両方やります。面白いのはGoogle検索できない情報もLLMには学習されてるということです。これはGoogle検索のインデックスされてない情報もLLMでは学習の対象になってるからで例えばこういうデータだそう。

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Bardに「今日の新聞のトップニュースは?」と聞いた場合には、まず回答責任者であるLaMDA LLMが自分で答えられる場合には検索せず、答えられない場合には検索にいくという判断をするようです。
この点でAI版BingではLaMDAのような回答責任者がいないので、何でもかんでも検索に行ってしまって待たされる、挙句には会話の文脈(コンテキスト)がずれてしまうという事態にもよく陥ります。
この点で検索にしてはBingより速いがとBardにいうと、それはGoogleがBingより優れてるからですよ、と自信たっぷりに言う点もポリシーという点では面白いところです(もちろん私は開発中で、という免責事項もいいますが)。Bingでは表現はもう少し謙譲的ですね。この辺は会社ごとのコンテントポリシーの違いなんでしょうか。
ただし3日前のトップ記事を解答し、指摘するとただしい本日の記事を出力するということもあります。この辺は自分の情報と検索の必要性の整合性が完全に取れていないのかもしれません。

またBardはChatGPTだと箇条書きのところを表にしてくれるのが何気に便利でもあります。

* Bardを物書きに使う

創造性という意味ではBardはあまり得意ではないように見えます。
Bardに「猿の手」のバリアントを書かせてみたら、不幸な結末が可能で怖い雰囲気も加味していたんですが、プロットが下手で一貫性がありません。アイディアも凡庸です。
以前ChatGPTに猿の手のテーマで書いてと頼んだら、何回手直しをさせても不幸な結末が作れずに恐ろしい雰囲気が作りにくいものでした。これはOpenAIのコンテントポリシーによるものだと思われます。いわばAIの「良心回路」です。ただしこのボリシーは自由度を失わせます。(イーロン・マスクのtruthGPTではこの良心回路をはずすと言っているわけです)
意外とGoogleが設定したポリシーはきつくないのかもしれないけれど、いまひとつ創造性的とか構築する部分は弱いように思います。また面白いのはChatGPTとかBingに小説を書かせて手直しをさせると、途中でもその部分の修正をするんですが、Bardに手直しをしてと言うと前の結果の後ろに付け足します。それも文が下手に見える原因の一つのように思います。

この点で優秀なのはAI版Bingの創造性モードで優れた小説を書けます。以前このブログで書いた「音楽ストリーミングサービスにAI作曲アプリが取って代わった時代」のショートショートはAI版Bingの創造モードで書いたものです。多少手直しを指示はしましたが全てAI生成です。急ブレーキで互いの音楽が聴こえるアイディアもAIが考えたものです。オチもよくまとまっていますがAIが考えたものです。
Bardの中ではGPT-3 LLMが創造性を担当してるようです。例えば「フランスの首都は?」と聞いたときに「パリ」が回答責任者のLaMDA LLMの答えですが、それに「パリは夢の街、愛の街、芸術と文化、豊かな歴史、有名な料理などそのすべてが揃っています」と加えるのがGPT-3 LLMです。
小説を書いてと言うとなにか検索が必要ではないので、Bingの場合には素のGPT-4の強みが発揮できるのかもしれません。Bardの場合は創造性の部分はGPT-3の担当だからその辺の「性能差」と言うのは出てくるかもしれません。

Meena LLMも創造性に関するかもしれませんが、まだちょっと調べが及び切れていません。Bart LLMはより広範な知識を足すものだと思います。

ちなみに「小説を書いて」という短い言葉から長い小説をAIが生成できるのは再帰的に自分自身を呼び出して、自分の出力した文章を次の自分の入力として数珠繋ぎに繋げられるからです。この点ではChatGPTでもBardでも同じです。何回も「小説を書いて」という言葉から異なる小説ができるのは先に書いたランダム性を加味した多様性の出力によるものだと思います。


* Bardのメタコマンドについて

AIチャットbotは会話をして進めるものと思われていますが、実は普通のコンピューターのように直接コマンドを与えることができます。これはBardだけではなく、AI版Bingもそうで、画像生成機能を使うためのloadコマンドなどがあります。これは会話と切り分けるためメタコマンド(meta command)と呼びます。
Bardにおいてはスレッドでコンテキストの切り分けができないかを試行錯誤してthreadメタコマンドを見つけました。
例えばBardには以下のメタコマンドがあります。もっとあると思います。

clear: 会話の初期化
thread <名前>: 新しいスレッドを作りコンテキストを切り替える
join<名前>: 既存スレッドに加わる
leave: スレッドから退出
ping: 複数人の会話時に使う(開発中)
back<名前>スレッドに戻る
help:メタコマンドリスト


メタコマンドは文脈などで普通の会話と区別されますが、接頭文字に#,!,$,%などを付加するのが望ましいことです。
例えば会話の文脈をリセットしたいときは「#clear」です。(これはメニューからもできますが)
それでも解釈は完全ではなく、例えば#helpと打って、メタコマンドのヘルプと理解したのは3つのドラフト回答のうち2つのみ(2と3)でした。

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このメタコマンドが会話とどのように違うかというと、メタコマンドの方は文の解析を含まないでダイレクトに効くので確実ということのようです。つまりは文の多様性解釈の範囲外になるわけです。検索も実はメタコマンドでダイレクトでできるようですが、あまりやるとBardが入力を弾くのであまりよろしくはありません。右上にView Draftsとでない回答はおそらくBardのソフトウエア自身が出しているメッセージ(警告に近い)だと思います。

ちなみに上のPingメタコマンドによってBardが複数人のチャット機能を開発中と言うのが分かってしまいます。


* 暫定まとめ

Bardを現時点で簡単にまとめると、
1 Bardは複数LLMの分業制で、回答責任者のLaMDAの判断で効率良く検索が出来る。また他のLLMと協業で会話に創造性や深みを加える
2 Google検索できない情報もLLMには学習されてる
3 メタコマンドを使うことで入力文の解析をバイパス出来る

などがわかってきました。

今のところ私の中でのAIの位置付けは、ディベートしたい時はChatGPT、小説などを書かせたい時はBingの創造性モード、最新の情報を得たい時はBardがいいかなと思います。Bardは日本語がまだ使えませんし、幻覚についてはまだまだ未知数ですが、素性はいいですね。色々とネガティブ風評はありますが、いまのところAIの中でBardの分業制が一番いいような気がします。ただ検索の必要性と自己知識の切り分けがまだ完全ではないように思えます。
(ちなみにAmazonのTitanやMetaのBlendarbotも単一LLMだと思います)

私見ではありますがChatGPTとBardとBingを使用して英語で会話を続けて同じことを答えさせようとすると一番よくないのがBingで、特に会話スレッドのコンテキストをすぐに忘れて話が逸れます。これは検索とAIの二重構造の副作用だと思います。
この点で優秀なのはChatGPTです。ChatGPTは単一のLLMなので一貫性が高いのかもしれません。また会話スレッドを分けているせいか、コンテキストの一貫性も高いです。Bardも長く会話してるとちょっとコンテキストの一貫性がずれていきます。それでthreadメタコマンドを見つけたわけです。
これが日本語だと、日本語はそこまで言わなくてもわかるだろうっていうコンテキスト依存の文化なのでもっと深刻になるでしょう。日本語がAIで向いてないのは単に日本語ソースでの学習不足だけではないと思います。こうした点で真の日本文化向けのAIが必要なのではないでしょうか。
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「ついに登場、MEMSドライバー採用の高級イヤホン、Singularity Audioの「ONI」」の記事をアスキーに執筆

アスキーにずっとMEMSスピーカーの情報を報じながら、やっと来た感じです。今回はヘッドフォン祭でxMEMSの日本の方が展示します!
なんか面白いもの持ってくると思います。シリコンが出す音ってどんなのだって思う人はぜひ14FのxMEMSブースへどうぞ。担当の方は日本語OKです。

https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134155/

MEMSスピーカーについておさらいすると、ウエハーから切り出すシリコンチップがそのままイヤフォンのドライバーになります。パーツから組み立てるのではありません。その一部がメカ動作するのがMEMSと呼ばれる技術で、この動きで空気を振動させ、圧電型ドライバーになります。
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「ラズパイオーディオで有名なVolumioが取り組む、ネットワークオーディオの国内正式発表」の記事をアスキーに執筆

アスキーにVolumioの発表会記事を書きました!CEOと話し込んで内部のSBCの話やINTEGROで採用されているディアルモノ・フルデジタルアンプの話も詳しく濃く書いています。
今回のVolumioラインナップでもっとも注目すべきは一体型のINTEGROです。これにはドイツInfineon社のマルチレベル増幅のフルデジタルアンプ技術が搭載されています。国内初導入?かも。

https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134148/

もしかするとVolumioを一から説明した方が良いのかもですが、VolumioはいわゆるMPDベースのソフトウエアですが、いわばLinuxの音楽専用のディストリビューションで、音楽再生専用のOSのようなものです。MPDとはMusic Player DaemonのことでLinuxで動作するオーディオ用のサーバープログラムです。Daemon(デーモン)はUnixにおいて常駐動作するソフトウエアのことです。MPDは楽曲を管理して再生したり、コントローラーと通信する機能があります。
VolumioはMPDに基本沿ってますが、だいぶ進化していて各種ストリーミングサービスやRoon対応もされてます。
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「KORG Live Extremeを活用した世界初の“DSDライブ映像配信”を体験」の記事をアスキーに執筆

「KORG Live Extremeを活用した世界初の“DSDライブ映像配信”を体験」の記事をアスキーに執筆しました。なかなか素晴らしい音のライブ配信です。

https://ascii.jp/elem/000/004/134/4134151/
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「突然の報道、MQAが経営破綻?」の記事をアスキーに執筆

アスキーにMQA社が経営の危機にあるのではないかという記事をかきました。MQA社のホームページのフッターなどが情報になります。

https://ascii.jp/elem/000/004/133/4133268/
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2023年04月21日

個性ある実力派「qdc Hybrid Folk-S」レビュー

Hybrid Folk-S(以下Folk)はプロ用オーディオではよく知られるqdcのユニバーサルIEMです。Folkは3ドライバーのハイブリッド設計のユニバーサルIEMです(カスタムバージョンのHybrid Folk-Cもあり)。
代理店アユートの製品ページはこちらです。カスタム版は既に受注開始で、ユニバーサル版は本日4月21日から販売開始です。
https://www.aiuto-jp.co.jp/information/entry_1817.php
価格はユニバーサル版が税込66,000円、カスタム版は税込79,200円とハイエンド機にしてはお手頃な価格です。


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* 特徴

特徴としてはまずqdcで初めて平面ドライバーを使用したということで、超高音域に平面型ドライバーが使われ、中高音域にBAドライバー、低域にダイナミックドライバーが使用されています。周波数レスポンスは10 Hz-40000 Hzとかなり広く再現が可能のようです。

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ホームページのドライバー構成図をみると平面ドライバーはダイナミックと同軸配置されているようです。(図はイメージとのこと)
この辺も位相の良さの理由なのかもしれません。

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もう一つの特徴はFolkが名の通りにフォークソング(民族音楽)をターゲットに開発されたということです。これは実際のある音楽グループのためのものが端緒になったようです。Folkでは特にヴォーカル域に重点を置いたようで、qdcによると向いている音楽はジャズ、フォークソング、室内楽とされています。

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そしてフェイスプレートがとても美しくデザインされていることで、これは開発が始まった秋をイメージしているようです。ユニバーサル版のフェイスプレートにはゴールデン・メープルの意匠が施されています。ちなみに英語での紅葉・黄葉はゴールデンで形容されることが多いです。
標準ケーブルにはTIGERなどと同様に端子の差し替えで3.5mm/2.5mmバランス/4.4mmバランスが選べる仕様です。線材は銀コート銅線のようです。

* インプレッション

パッケージは竹製の箱が使われて、布製のケースと共にフォークという名の温もりを感じさせます。小箱にはイヤーピースが入っています。イヤーピースはダブルフランジとシングルフランジのシリコンタイプがニ種類入っています。TIGERではダブルフランジが良かったんですが、Folkではシングルタイプを使用しました。

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Folkは美しく、コンパクトなユニバーサルIEMです。フェイスプレートのゴールデンメープルもシェルの色によく映えています。小さいのは3ドライバーのみの利点でコンパクトで耳に入れやすい。表面には特徴的なメッシュ状のベントホールがありますが、このベントホールは他と違いベントした空気が後室から流れ出して緩衝作用があるため、低音の響きを調整できるということです。

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Folkの音をA&K SP3000で聞いてみると、ちょっと聞いてすぐわかるくらい個性的な音で、広がりがあって鮮明な楽器音が楽しめます。やや暖かみがあるのも特徴です。能率は中程度くらい。
Folkは楽器の音色が驚くほど美しく、美音系と言っても良いと思います。バロックバイオリンみたいな古楽器のように倍音がたっぷりあると、音楽に厚みが乗って豊かになり、弦の擦れる音が極めて美しく楽しめます。バロックバイオリンがあまり気持ちよかったのでもう一回聞き返したくらい、癖になるようなサウンドです。もちろん声も良いです。特に女性の声が甘くて甘美ですね。前に出て、声が音楽の中心にあるように聞こえます。

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楽器の音や声の輪郭が鮮明なのは平面型をスーパーツイーターのように使用した効果ではないかと思います。音場感も良いのですが、これはドライバーのまとめ方が良くて位相特性も優れているように思えます。
低音域は少し多めくらいでちょうど良い感じです。低域もタイトで良く、超低域もけっこうあります。Folkの名のように土俗的なパーカッションの打撃感が楽しめると思いますが、ジャズやロックのドラムスなどでも軽快でスピード感があります。民族音楽のみに向いたIEMというだけでもなく、わりと万能に使えます。
それはqdc TWXと組み合わせた時にイコライザーを使用することでさらに万能性を広げられると思います。TWXとFolkはとても相性が良よい組み合わせです。TWXのイコライザーと組み合わせて、Folkの強みを伸ばすようにも、少し味付けをますこともできます。

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解像力も高くて、背景にあるこまかな擦れる音やかすかな物音もよく聞こえます。それが多重的な立体感を産んでいます。SP3000のような高SN解像力モンスターでも十分再現できる能力を持ってこの値段だとかなりコスパがいいと言わざるを得ないと思う。性能が高い味系という感じなので、SP2000Tの真空管モードともとても相性がいい。
全体的にマルチドライバー機というよりは質の良いシングル機を効いているようなまとまりの良さがあります。

* Folkとフォークソング

名の通りフォークソングを聞くためにアイリッシュ音楽研究家である、おおしまゆたか氏のアイルランド音楽本の付属CDを聞いてみました。
民族楽器のアイリッシュホイッスルの音が素朴な音色に温かみがのって朗々と鳴り、深みがあると同時にシンプルで素朴な民族音楽という感じを味わえます。解像力も高いのでこうしたアコースティック楽器の音色がダイレクトに伝わってきます。長いこと使われて擦り切れたような楽器の質感が伝わるような感じです。
女性の声も温もりがあって冷たい感じがしないのもポイントです。土の温もりが伝わってきて、大地と太陽と風を歌い上げているのがよく伝わってきます。
こうした古い音楽ではいくつかのテンポの違う曲がつながってメドレーのようにセットとして演奏されることも多いんですが、曲調が一曲の演奏中にがらっと変わってもテンポ良く鳴らし切ってしまう力もあります。民族音楽はおとなしく退屈なわけではなく、祭りのときに踊るためのリールやジグと呼ばれるようなダンス曲でもとてもハイスピードで軽快にノレる音楽として楽しませてくれます。
実際に民族音楽をターゲットにしただけあって、こうした音楽にはとても向いていると思います。



* まとめ

qdcというとプロ向けというイメージがあってTIGERの音はよくわかるのですが、Folkはプロメーカーとしては挑戦的なほど個性的で音楽的なサウンドです。モニター系ではなく、味系で良い意味での着色感があります。全体的に暖かみがあって滑らかだけど、鮮明に聞こえるのは基本性能の高さも伺えます。実際にFolkは音楽系という他にとてもコスパの良いIEMという面もあると思います。Folkが向いているのは小編成で楽器の音色や声の美しさを楽しむ音楽ですが、基本性能が高いので万能性もあります。
暖かみがあって音楽的で美しい、qdcのプロ用というイメージからはFolkは挑戦的なイヤフォンに思えます。でも素朴な民族音楽グループの再生に特化させたという意味ではやはりプロ用と言えるかもしれません。Folkは個性的でかつ性能が高くコスパに大変優れたIEMと言えると思います。

posted by ささき at 07:00 | TrackBack(0) | ○ カスタムIEM全般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月08日

アナログサウンドを届けるAstell & Kernのポタアン「AK PA10」レビュー

AK PA10はAstell & Kernが開発した「ポタアン」です。いまどきは珍しい純粋なアナログのヘッドフォンアンプでDACは内蔵していません。
また信号経路を分離したり、A級増幅を採用するなど硬派の製品でもあります。いわば昔ながらのポタアンのカタチを最新技術とA&Kがこれまで築いてきた蓄積をもとに再発明した製品といえます。
ホームページはこちらです。
https://www.iriver.jp/products/product_231.php

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SP2000T、qdc TigerとPA10

* 特徴

PA10はアナログのアンプとして、アナログの音にこだわっているという点がポイントです。それは特徴からもわかります。

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1. A級増幅

一般的にはアンプには電力効率が良くよりパワーを取り出しやすいAB級の増幅が用いられることが多いのですが、マニアがより高音質を求めるために使われるのがA級増幅アンプです。電力消費は大きいけれども、スムーズで歪みの少ない音を得ることができます。ここがまず大きなアナログの音に対するこだわりです。
あえてポータブル製品に電力消費では不利なA級動作を実現させるにあたり、PA10では大容量バッテリーを組み合わせることで、ポータブル+A級動作を実現させています。A級動作をせるためには常に一定の電流を流している必要がありますが、ここは後述するカレントコントロール機能で変更ができます。

2. アナログボリューム搭載

またボリュームにアナログボリュームを搭載しているのもPA10のアナログへのこだわりです。ポタアンの歴史はもともとアナログボリュームから始まりましたが、こうした価格の比較的安い機材でボリュームに使用されるポテンショメーター(可変抵抗器)は小音量時の誤差問題(いわゆるギャングエラー)が目立ってしまう難点がありました。そこでデジタルボリュームに変えてこの問題を解決してきました。しかしデジタルにするためにはアナログ信号を一旦変換する必要があるので、純粋なアナログ信号を壊してしまいます。
そこでPA10ではアナログにこだわるために、高品質のポテンショメーターを使用したアナログボリュームを搭載しています。特にバランスの場合には左右それぞれ+/-ごとの4組のポテンショメータが必要になりますので、PA10では正しく4組のポテンショメータが搭載されています。

3. 3.5mmと4.4mmの信号経路を分離

またアナログ信号の純度へのこだわりは、他にあまり例のない3.3mmと4.4mmの信号経路分離の設計を行なって4.4mm5極トゥルーバランス入出力を実現させています。

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このために3.5mm入力時は3.5mm出力のみ、4.4mm入力時は4.4mm出力のみの使用が可能です。これはいささか不便ではありますが、これによって3.5mm系統と4.4mm系統の信号純度を上げるだけではなく、それぞれに対して最適なチューニングをすることが可能となったということです。まさにこだわりポイントというわけです。

4. Astell&Kern技術の継承と反映

またPA10ではAstell & Kernの技術の蓄積を活用して音質を高めています。例えばノイズや電磁波がオーディオブロックに影響を与えないように独自のシールド缶技術を適用するとか、クロスフィード / ボリューム / アンプなどオーディオブロックごとに電源ICを分けて搭載、また先に書いたアンバランス回路とバランス回路を物理的に分離するなどして徹底的にローノイズ設計を極めるという最近のAstell & KernのDAPに見られるようなローノイズ設計がなされています。加えてA&K技術の集大成であるTERATON ALPHAの採用によって、Astell & Kernの音にしています。
ポータブルアンプは単独の製品ではなく他と組み合わせる製品ですから、アナログのAstell & Kernの音をその組み合わせにもたらすという考え方が貫かれているように思います。

5. 多彩な機能

PA10はシンプルなようでいて、多機能性を備えています。

 5-1 Class-Aカレント(電流)コントロール

PA10では切り替えスイッチによって3段階(Low/Mid/High)のカレントコントロールが可能です。これは電圧を変えるゲインとは違って電流を変えるものです。カレントというと電流ですが、ここでいうカレントは先に書いたA級アンプ動作で常に流れているバイアス電流の大きさを変更するというもののようです。これによって設定をHighにするとより電力消費が上がります。
これは言い換えると、音と音の間をよりスムーズに連結して音の自然さを高めるという機能です。このためソース機器のボリュームを減らし、PA10のボリュームを上げて聴くと、カレントコントロール変更による音の違いがよりよく感じられるということです。これは音源がアコースティック楽器の曲で楽器固有の残響音があるような場合によりわかりやすいということのようです。

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しかしながら、これはA級アンプのチューニングを自分でやっているようなものですから、この値は電池の消費を気にしなければ常に大きくした方が良いというわけではありません。さまざまな曲に対して適切なポイントがあるでしょう。そのために2段階ではなく、より細かい3段階の切り替えができるわけです。

 5-2 ゲインコントロール

これは一般的なゲイン切り替えで、わかりやすく音量の大きさが変わります。ゲインとは音の大小の情報となる電圧を変化させるスイッチのことです。PA10ではローゲインはアンバランス 2.1Vrms / バランス 4.2Vrms (無負荷)、ハイゲインではアンバランス 3.1Vrms / バランス 6.2Vrms (無負荷)となります。HD800のようなハイインピーダンスの機材を使用するときにはハイゲインにします。

 5-3 ハードウエア・クロスフィード

これは左右の音を混ぜることによって、空間再現性を変えるスイッチです。DAPでもクロスフィードが搭載されていることがありますが、それはデジタルで計算で行うために桁落ちなどで音質低下が生じてしまいます。PA10ではアナログにこだわっているためにクロスフィードもアナログになっています。この差はDXD(32/768)、DSD1024などでより自然な音質再現ができるということのようです。
そもそもこれは考えてみると当たり前ですが、PA10にはソフトウエアというものはないので、クロスフィードを実現するためには必然的にハードウエアのアナログ動作で実装することになります。

6. 使いやすい設計

PA10はポータブルアンプとしては、プレーヤーと二段重ねをした時に傷つかないように背面がラバーパッドになっています。今までだとこの面になにかクッション材を挿入したりしていました。それはポタアンというものが手作り品が多かったためですが、これもメーカー製ならではの配慮と言えますね。このパッド面はPCなどに使う時に机に置く際には逆にすることで滑り止めにもなります。またデザインも手作りポタアンのような直方体ではなく、スロープを活用して握りやすくしたり、ボリュームを半埋め込みにして誤操作を防ぐなどこの辺も造形にこだわってきたA&Kならではと言えます。

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* インプレ

PA10を実際に持った感じはすごくソリッド、ガッチリして金属っぽいという感じを受けます。これもいわゆるアナログ感を感じます。
内容物としては付属品としてシリコンバンド(A&Kロゴ入り)が2本ついてきます。これはDAPを二段重ねにする際に離してバンドを使うことでなるべく操作画面に干渉しないようにすることができます。

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* 4.4mmでDAPとの組み合わせ

まずサイズ的に相性の良いSP2000T(opampモード)と組み合わせてみました。短い4.4mmケーブルはOriolusのものです。イヤフォンはqdc Tigerで4.4mmです。DAPから4.4mmで接続する際には4.4mm端子のイヤフォンでないといけないので注意してください。

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SP2000TとPA10

DAP単体の音と比べると、A級アンプらしいシルクのような滑らかさで、とてもスムーズで暖かみがあるサウンドが感じられます。ただ暖かみと言っても着色感は少ないのはいわゆるAKサウンドです。音のエッジにきつさがまったくないですね。
広がり感がある点も良いです。広がりというよりも、音の余裕という感じです。余裕があってこじんまりとした感じが少ないように感じられます。
DAP単体に戻すとSP2000Tだけ聞いている時にはわからなかった音の硬さがわかります。A級の滑らかさというのは例えば絹ごし豆腐とと木綿豆腐のような食感の違い、シルクの服の手触り感の良さのようなものとも言えるかもしれません。

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SP2000TとPA10

そして長く聴いていると楽器音の質感の高さがDAPで聞いてるのとちょっと違う感じに向上しているのがわかります。これはカレントモードの設定を変えることによっても変えることができます。ゲインみたいに切り替えてすぐわかるのではなく、切り替えて少し聞き込むと、同じ曲だけどさっきと少し感触が違うと感じると思います。
例えばヴォーカルのバックでウッドベースやマラカスが鳴っている曲などでは、カレントモードを強くしていくとマラカスの音の鮮明さが上がっていき、ベースラインもより力強く太くなる感じになります。音が濃くなる、あるいは音の鮮明度が上がるという感じです。音の濃さ:弱・中・強、あるいは音像の鮮明度:弱・中・強と解釈したほうが良いように思う。これは組み合わせるイヤフォンがダイナミックか高感度マルチドライバー化によっても違ってきます。
効きは微妙ですが、確かにあります。はじめは3段階も必要かと思ったけど、聞き込むとやはり中間位置が欲しくなります。Lowだと物足りなくなってHighにしてしばらく聴いていると、今度は少しきつくて耳につくので、やはりMidが良いという曲も多々あります。電池消耗を気にしなければ常にHighにしていれば良いかというとそうではなく、やはりイヤフォンの性格に合わせ、自分の好みに合わせて音を作り込んでいくというか考え方が良いと思います。そう意味では3段階あるというのは意味があります。

ヘッドフォンで試してみると、ハイインピーダンスのHD800でもゲイン切り替えをハイにすると音量が取りやすくなります。HD800でもカレントモードはよく効いて、カレントHighにすると音がより引き締まり、逆に下げていくと音が緩くなっていくのがわかります。

ハードウエア・クロスフィードは、たしかにアナログなので音の劣化が少なく、頭内定位を和らげる効果があると思います。こうした効果が欲しいユーザーにとっては常にオンにしておいても良い程度には音質低下は少ないと思う。

SP3000と合わせると、SP3000も完璧と思ってたけどさらに上があるという感じで音の良さを底上げすることができます。さすがにちょっと嵩張りますが、家で使うには良いかもしれません。

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SP3000とPA10

持ち運びには小さなポーチバッグがあると便利です。これは22x18cmのサイズでマチ(奥行き)にゆとりがあるとこうした二段重ねが入れやすいです。また紐が100cmあると肩にななめ掛けできるので便利です。

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* 3.5mmでPCとの組み合わせ

4.4mmバランスでDAPと組み合わせて二段システムを組むのもマニアックでよいですが、PA10は3.5mmを使用してPCやiPadなどに組み合わせても全く別の魅力を発見できます。
その意味では送り出し品質の高いM2 Macbook Airのヘッドフォン端子との組み合わせは、ノートPCを持ち運ぶオーディオシステムに変えるなかなか良い組み合わせだと思います。

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M2 Macbook Proと

デスクトップにノートPCと組み合わせるとPA10のデザインが使いやすいのがよくわかります。デスクトップではパッドの面を下にしていると滑り止めになり、ボリュームが扱いやすくなります。
まさにオーディオで聴いてるという感じの音の豊かさと重みが、ヘッドフォンアンプというより上質のステレオアンプで聴いてる感じ。ある意味PA10の音の凄みがわかりやすい。
AK PA10を高性能DAPと組み合わせるとDAPの音を底上げするのだろうと感じられるかもですが、PA10をPCとかiPadに組み合わせるとPA10の音の支配力が大きくなるのでPA10の音の個性や性能の高さというのが分かりやすいと思う。

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モガミケーブルと標準添付のケーブル

こうしてくると3.5mm用にもいいケーブルが欲しくなるので、接続ケーブルを標準ケーブルからプロケーブルで有名なモガミ2534にアップグレードしました。太くてやや硬いけどそう取り回しには困りません。
音を比較すると音場がパッと開けて細かい音がより抽出されてくる感じです。重心はちょい高めなのでいわゆる日本人好みかもしれません。使う時はアンプを少し離して手のスペースを確保する感じですね。ケーブルは15cmだけど20cmでも良かったかもしれません。
興味ある人は下に販売リンクを置くのでこちらからどうぞ。

普通4.4mm製品に3.5mm端子がついていると互換性のためのおまけという感じもありますが、最近のAstell & Kernの製品ではSP3000もそうであるように、PA10も4.4mmも3.5mmも両方魅力的に作り込んであるというのはひとつ着目点のように思います。

* まとめ

AK PA10はA級動作らしいアナログ的な滑らかな音と豊かさをもたらします。
ポタアンは音量が取れない時に使うものと言われることもありますが、実際は最近のイヤフォンやヘッドフォンは能率が高く改良されているので、平面型でさえ音量が取れないということはまずありません。ただし最近のイヤフォンやヘッドフォンから最高の音質を引き出せるかというのは、音量とは別の話です。

Astell & Kernによると以前発売したSP1000やAK380 AMPの場合は、よりパワフルな出力で音楽を聴いてもらうことを目的としたアンプだったが、PA10の企画意図はAstell&Kernが追求するサウンドをAstell&Kernユーザーだけでなく、他のDAP製品ユーザーにも届けたいということだということです。そういう意味ではPA10はPCやiPadなどに用いてこうした機器の音質を向上させるデスクトップ運用がある意味ではあるべき使い方の一つと言えるでしょう。
また、そうした専用AMPは一つの製品だけに特化して開発がなされます。それに対してPA10は汎用のポタアンであり、一つの製品だけに特化したものではありません。Astell & KernではPA10をアナログの音に憧れるオーディオファンに向けて開発したアナログアンプであると語っています。アナログアンプPA10でデジタルDAPに接続することで、通常のデジタルDAPでは感じにくいアナログの音を届けたいというのが作り手の意図だと思います。
つまり、いまどきアナログのポタアンではなく、デジタル製品ばかりになったいまだからアナログのポタアンというのがPA10なのではないかと思います。

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下記は今回使用したモガミケーブルの販売リンクです。


posted by ささき at 09:17 | TrackBack(0) | __→ AK100、AK120、AK240 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月01日

そう遠くない未来の話

音楽ストリーミングサービスにAI作曲アプリが取って代わった時代。人々は自分の好みや趣味に合わせてAIが自動的にオリジナルの音楽を作ってくれるアプリをスマートフォンで使っていた。人々は自分だけの音楽をスマートフォンで聴きながら、日常を過ごしていた。

ある春の朝、女子高生のさくらは通学電車に乗り込んだ。イヤフォンから流れるAIの作った音楽は、さくらの気分や状況に合わせて変化していた。今日は爽やかなポップスだった。さくらは窓際の席に座り、外の桜の花びらが舞う景色を眺めながら音楽に浸っていた。

ところが、電車が急ブレーキをかけた。さくらはバランスを崩してイヤフォンが外れてしまった。その瞬間、隣に座っていた男子高校生の音楽が聞こえてきた。それはさくらと同じ音楽だった。

「え?」
さくらは驚いて男子高校生を見た。彼も同じようにイヤフォンが外れて、さくらと目が合った。

「あなたもこの音楽聴いてるの?」
彼は笑顔で尋ねた。

「うん…でもどうして?AIが作った音楽だよね?」
さくらは不思議そうに言った。

「そうだよ。でもね、これってすごくレアなことなんだよ。AIは人それぞれの好みや趣味に合わせて音楽を作るから、同じ音楽を聴いてる人はほとんどいないんだよ」
彼は説明した。

「えー、そうなの?」
さくらは感心した。

「そうだね。でもそれも何か意味があるんじゃないかな?」
彼は優しく言った。

「そうかもね…」
さくらは顔を赤らめた。
二人はしばらく話し込んでしまった。共通点や趣味や夢など色々なことを話した。二人とも気づかないうちにお互いに惹かれていった。

電車が終点に着いた時、二人は連絡先を交換した。
「また会おうね」
彼は手を振って言った。
「うん、会おうね」
さくらも笑顔で答えた。
二人は別々の方向へ歩き始めた。しかし、胸の中では同じ音楽が鳴り響いていた。

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*この短編は一言一句とも全てAIが作成したものです。
私が「音楽生成AIがストリーミングサービスに取って代わった時代をテーマにして、それにAIの特徴を盛り込んだ短編を書いてください」とAIに指示をしてその出力結果です。
posted by ささき at 08:34 | TrackBack(0) | ○ 日記・雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする